更年期からも筋肉は増やせる! 2カ月以上サボっても効果が続く筋トレで、賢く「筋肉貯金」するコツ
【医師が解説】40代以降の女性は、年間0.5~1%ずつ筋肉を失っていきます。「続けないと無駄」という思い込みで、運動のハードルを上げていませんか? 実は筋トレはサボっても効果が続くのです。ストレスなくできる筋肉貯金のコツをご紹介します。(※画像:amanaimages)
健康にいいと分かっていても、運動を習慣化するのはなかなか難しいものです。
やる気が保ちにくい理由の1つに、「運動は一度始めたらしばらく続けないと意味がない」という思い込みが挙げられます。「今週は忙しくて全然できなかったから、これまでの分は無駄になってしまった……」と、自分を責めてしまった経験はありませんか?
せっかく頑張っていても、少し間が空くことで「また最初からやり直しだ」と感じると、やる気がしぼんでしまいますよね。
しかし、実際は違います。筋肉にはある「メカニズム」があり、「貯金」できるのです。途中で運動を休んだとしても、筋トレの成果は「セーブ」されます。つまり、筋トレは多少サボっても大丈夫なのです。今回は、最新の研究で分かった「筋肉を賢く貯金する方法」について解説します。
2.5カ月休んでも結果は同じ!? 科学的に証明された、驚きの研究データ
まずは、2024年にフィンランドのユヴァスキュラ大学から発表された研究をご紹介しましょう。
この研究では、それまで運動習慣がなかった55名(平均年齢32歳、約45%が女性)を対象に、以下の2グループに分け、30週間にわたって筋肉の変化を追跡しました。
・グループ1「ずっとコツコツ続けるグループ」
20週間、毎週欠かさず筋力トレーニングを実施しました。
・グループ2「途中でガッツリ休むグループ」
最初の10週間トレーニングをした後、10週間(約2.5カ月)一切のトレーニングを中止し、その後再び10週間トレーニングを行いました。
普通に考えれば、2.5カ月も「サボって」しまえば、ずっと続けていた人に大きく差をつけられてしまう気がしますよね。しかし、驚くべき結果が出ました。
全期間終了時の「脚の筋力」増加率は、連続グループが21.7%だったのに対し、お休みを挟んだグループも21.0%と、ほぼ同じ数値だったのです。筋肉の太さについても、両グループの間に目立った差は見られませんでした。
つまり、一時的に長いお休みを挟んだとしても、最終的に得られる効果は「休まず続けた場合」と変わらないことが、科学的に証明されたのです。
「マッスルメモリー」とは……筋トレを休んでも努力が無駄にならないワケ
一度つけた筋肉が、お休みしても無駄にならないのは、私たちの体に「マッスルメモリー(筋肉の記憶)」という仕組みがあるからです。
筋肉を動かして負荷をかけると、筋肉の細胞の中にある「核」の数が増えるといわれています。近年の研究では、運動をやめて筋肉のサイズ自体が細くなったとしても、この「増えた核」は簡単には消えず、筋肉の中に残り続けることが分かってきました。
いわば、筋肉の設計図を保管する「記録媒体」が増えた状態です。そのため、しばらくお休みした後に運動を再開すると、残っていた核が再び働き出し、ゼロから始めるよりもずっとスムーズに筋肉を元の状態へ戻してくれます。これが「筋肉は貯金できる」といえる理由です。
40~50代の皆さんが「今、少し頑張っておくこと」は、仮に将来病気やけがで動けない時期があったとしても、その後の回復を助ける大きな資産(貯金)になるともいえます。
40~50代女性は年間0.5~1%ずつ失う筋肉……守るためにできることは?
特に女性の場合、40代を過ぎると女性ホルモン(エストロゲン)の減少により、筋肉量が年間で約0.5~1%ずつ自然に減っていくといわれています。何もしないでいると、まさに「貯金が勝手に引き落とされている」ような状態です。
さらに怖いのは、1日中ベッドで寝込んで全く動かないと、数カ月分から1年分に相当する筋肉量が失われることもあるという点です。これを「サルコペニア」と呼びます。だからこそ「今ある筋肉を守る」意識が重要なのです。
「始めたら、完璧に続けなければならない」というプレッシャーは不要です。まずは「毎日スクワットを数回だけ」といった超スモールステップから始めてみてください。仕事や家事、育児や介護などで忙しいときは、1カ月くらい休んでも大丈夫です。筋肉はあなたが努力したことを忘れません。
「落ち着いたらまた再開しよう」という気軽な気持ちで戻ってくれば、体はちゃんと応えてくれます。そう考えると、続けられるのではないでしょうか。
今日からできる! 無理なく「筋肉貯金」を続けるコツ
運動習慣ゼロの方でも実践しやすいコツを3つ挙げます。
歯磨きをしながらつま先立ち、椅子に座る瞬間に5秒かけてゆっくり腰を下ろす。これだけで、一生歩ける脚を作るための「最低限の負荷」になります。
運動をお休みしている期間でも、肉・魚・大豆製品などのタンパク質をしっかり取ることを心掛ける。筋肉の減少を緩やかにできます。
「今日は10回スクワットができた!」「駅で階段を使った!」という小さな行動を、しっかり「貯金成功!」と認めてあげてください。
筋肉との付き合いは、短期決戦ではなく「一生続くお付き合い」です。ストイックにならず、賢く、時には休みながら、継続することが一番です。自分のペースで筋肉という名の資産を上手に積み立てていきましょう。
■参考文献
Eeli J.Halonen,Idda Gabriel,Milla M. Kelahaara,et.al.Does Taking a Break Matter―Adaptations in Muscle Strength and Size Between Continuous and Periodic Resistance Training.Scand J Med Sci Sports.2024 Oct;34(10):e14739.
文:秋谷 進(医師)
小児神経学・児童精神科を専門とする小児科医・救急救命士。プライベートでは4児の父。子どもの心と脳に寄り添う豊富な臨床経験を活かし、幅広い医療情報を発信中。
執筆者:秋谷 進(医師)
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