恋愛中も不安でたまらない……強い「見捨てられ不安」への対処法
【公認心理師が解説】恋愛依存でも多く見られる「見捨てられ不安」。幼少期に身近な大人との関係がうまく築けないことが原因で、人との関係に過剰に不安を感じてしまうケースがあります。対処法も含めて、解説します。
Q. 彼氏に見捨てられないか不安でたまりません
Q. 「いつも同じパターンで恋愛がうまくいかなくなり、悩んでいます。いい雰囲気で過ごせていても、何の根拠もなく『浮気されていたらどうしよう』『別れを切り出されたらどうしよう』と、不安でたまらなくなり、相手を束縛するようなことをしてしまいます。
結局、それが原因で距離を置かれたり、『重い』と別れを切り出されたりします。心配性な性格なのかもしれません。性格を直すには、どうすればいいでしょうか?」
A. 「見捨てられ不安」が強い可能性があります。「思いぐせ」を直す訓練を
「見捨てられ不安」とは、家族や恋人などの信頼する人が離れていくことに、強い不安を感じてしまう心理状態です。
恋愛中、相手に見捨てられないか不安になったり、一緒にいないと相手が何をしているか気になり、何度も確認したい衝動に駆られたり、他の異性と話しているところを見ただけで嫉妬してしまったり……。
見捨てられ不安が強いと、そのような考えを消せなくなるため、恋愛がうまくいっていても、つらくてたまらなくなる、という人もいます。
見捨てられ不安の原因として考えられるのは、幼いころからの「思いぐせ」です。人間は、最初から安心感や心の安定を持っているわけではありません。
小さな赤ちゃんの頃から、「泣いたときに抱っこしてもらった」「かんしゃくを起こしても、受け止めてもらえた」といった、身近な大人との経験を通して、心の「安心感」や「安定感」を培っていきます。そのように成長することで、一人でいても不安にならない心ができていきます。
一方で、幼少期に身近な大人との関係で不安を感じた経験が多いと、成長してからも、 人との関係に強い不安を感じてしまうことがあります。「失いたくない」という過剰な不安が生まれ、相手を束縛してしまったり、不安をぶつけてしまったりするのは、このためです。
大切なのは、考え方や行動を見直してみることです。
・不安の背景・原因となっている出来事を知り、その時の気持ちを見つめる
・強い不安が生じたときの、折り合いのつけ方を身につける
・心の中の「子どもの私」の気持ちに寄り添い、安心させる
もし、この3つのポイントを押さえても見捨てられ不安が強く、自分一人ではどうにもできないと感じたら、カウンセラーや医師に相談することも大切です。子どものころから抱え続けている「思いぐせ」に気づき、できるところから不安をやわらげていきましょう。
公認心理師、精神保健福祉士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタントの資格を持つメンタルケア・コンサルタント。ストレスマネジメントやメンタルケアに関する著書・監修多数。カウンセラー、コラムニスト、セミナー講師として活動しながら、現代人を悩ませるストレスに関する基礎知識と対処法について幅広く情報発信を行っている。
執筆者:大美賀 直子(公認心理師)
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