「母さんの味と違う」と言い続けた夫が、義母から受けた一喝で黙り込んだ夜
比べられる食卓に慣れていた私
結婚してから、夫は何かにつけて「実家のほうが美味しい」と口にしていました。最初は冗談かと思っていましたが、平日の夕食でも、休日のお昼でも、ふとした瞬間にこぼれます。 角が立たないよう「じゃあ次は同じ味付けにしてみるね」と笑って答えていましたが、何度作り方を変えても夫の答えは同じでした。
特につらかったのが、月に一度の義実家訪問。義母の前でも夫が同じことを言うので、私はいつも作り笑顔でやり過ごすしかなかったのです。 義母にどう思われているのだろう、嫁失格と思われていないだろうか。気がつけば、義実家へ向かう車の中で言葉数が減るのが、私の毎月の習慣になっていました。
肉じゃがを一口食べた夫の言葉
その日も、私は前日から仕込んだ肉じゃがを持参しました。義母の好きな里芋を多めに入れ、薄味の出汁にもこだわった一品です。 食卓には私の肉じゃがと義母手作りの煮物が並び、3人で「いただきます」と手を合わせました。夫が私の肉じゃがを口に運んだ瞬間、その表情がほんの少し曇ります。 「やっぱり母さんの味と違うな」 普段通りの軽い口調でした。けれど、義母の前で言われるのは何度目だろうと考えると、もう何も返せませんでした。私は箸を止めたまま、皿を見つめていたのです。
箸を置いた義母が、夫を叱った瞬間
そのときでした。義母が箸を置く音が、ダイニングに響きました。「いい加減にしなさい」 普段の柔らかな声とはまるで違う、はっきりとした口調でした。夫が驚いた顔で母親を見上げます。 「お嫁さんが毎日作ってくれてるのに失礼でしょう」 義母は続けました。 「私の料理だって最初はお父さんに文句言われたのよ」 夫は何も言い返せず、視線を落として黙り込みました。私は思わず義母の方を向いてしまいました。誰かに守ってもらえたのは、結婚してから初めてのことだったのです。
そして...
帰りの車の中で、夫は一度も口を開きませんでした。私もあえて何も話しかけませんでした。 その夜、リビングでテレビを観ていた夫が、ふと立ち上がって私の隣に座り直しました。 「いつもありがとう」 たったそれだけの言葉でしたが、ずっと聞きたかった一言だったように思います。義母が夫に言ってくれた言葉は、夫だけでなく、私の中の張り詰めていた何かもほどいてくれたのかもしれません。完璧に解決したわけではありません。それでも次の食卓は、少しだけ違って見えるはずです。
(30代女性・パート事務)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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