10年ぶりに再会した同級生からまさかの告白 5年彼氏ナシの29歳沙友理を変えた性格診断とは【恋愛小説】
2018.11.29 22:30
20代最後の年。高校生の頃に仲の良かった4人組と久しぶりに会うことになった沙友理(29歳)。過去の苦い経験で恋に臆病になり、久しぶりに訪れた恋の予感にも足踏みしてしまう。しかし、あることをきっかけに沙友理の恋は急展開を迎える。
提供元:株式会社リクルートキャリア
10年ぶりに仲の良かった4人が集結
早く起きて準備を始めたつもりだったのに、時計を見れば家を出る予定の時間からすでに5分遅れている。私ってば高校の頃からまったく変わっていないな。「ごめん!お待たせ!」
「ほらね、やっぱり沙友理が一番最後でしょ?」
彼女は小学生からの幼馴染の美咲。美咲とは今でも2人でよく会っており、一緒に海外旅行へ行くこともある。何でも言い合える親友だ。
「ほら、俺の予想が当たっただろ」
彼は純平。ずっとサッカーをしていて、高校の頃は結構モテてたみたい。ただちょっとガサツで空気が読めない性格がたまに傷。4年前から美咲と付き合い始めた。
「おかしいな。沙友理ちゃんはやれば出来るはずなんだけどな」
私を妹みたいに扱うのは亮くん。高校の頃から小説家を目指していて、まだ夢は叶ってないけど大手出版社で働きながら小説を書き続けているらしい。純平とは正反対で、いつも冷静沈着。同い年だけど、年上のお兄さんって感じ。
「早く起きたつもりなんだけどさ。いつの間にか出る時間過ぎてて」
今日は久しぶりに、高校生の頃仲の良かった4人組で集まり、温泉旅行に行こうと約束をしていた。純平と亮くんに会うのは10年ぶりだからちょっと緊張したけど、2人とも変わらなくて嬉しい。最近は唯一の楽しみである海外旅行も行けず仕事ばかりだったから、今日は思いっきり楽しもう!
突然訪れた恋の予感
食事と温泉を満喫した私達は男子の部屋で飲み直していた。私が考えた旅行プランに対して、純平から心無い言葉を言われるかもと思っていたけど、その心配もないようだ。「すごい良い旅館じゃん。ご飯は美味しいし、温泉も最高だったね。ちょっと沙友理を見直したよ」
「でしょ。趣味・海外旅行を舐めないでほしいわ」
「そういえば昔、沙友理ちゃんCA目指すって言ってなかったっけ?今は何してるの?」
うっ…。あまり話したくない話題を亮くんに振られてしまった。
「事務みたいな感じ。ほら、CAって美人じゃないと無理でしょ?私なんてとうてい無理な夢だったのよ」
「そんなことないと思うけどな。沙友理ちゃんは十分魅力的だと思うよ」
「そうかな?私も捨てたもんじゃないわね。あ、お酒ないじゃん。ちょっと下の売店で買ってくるよ」
亮くんの言葉で赤面しているのを隠すように、急いで部屋を飛び出した。なんかドキドキが止まらない。お酒のせい?とりあえず、宿の中庭にあるベンチで風にあたろう。
高校生の頃、好きだった男子と美咲が付き合った経験は今でも私の中でトラウマになっている。美咲は私の好きな人を知らなかったから、誰も悪くない。でも、美咲と付き合った好きな人とは、もう付き合うことは無いんだろうなと思ったら、すごく悲しくなった。
それから付き合った男性もいるけど、正直好きな気持ちがあったのかは分からない。あの経験は私の恋する気持ちをそぎ取ってしまっただろうか。最近では私の人生に恋愛は無くてもいいとすら思い始めている。
「こんな所にいた」
「亮くん」
「なかなか戻ってこないからさ。気分が悪いんじゃない?大丈夫?」
「うん、ちょっと酔いを覚ましてるだけ」
急に現れた亮くんに正直かなり焦った。せっかく落ち着いてきたのにまたドキドキしてしまった。
「横座っていい?」
「うん」
「あの2人付き合ってるんだってね。さっき知ってビックリしたよ」
「そっか、私は美咲から聞いてたから。10年前に4人で集まったじゃん。あれからちょくちょく2人で会ってたんだって。でもビックリだよね、高校の頃あんなに喧嘩してたのに」
「分からないもんだよね、将来どうなるかなんて。…沙友理ちゃんはどうなの?」
「どうって?」
「浮いた話というか。恋人はいないの?」
「最近は仕事ばっかりで、恋人候補すらいないんだから。仕事が恋人って感じ(笑)」
「そっか、じゃあ僕が立候補しようかな」
「え?」
「僕じゃ沙友理ちゃんの恋人候補にはならない?」
何を言っているのかすぐに理解することが出来なかった。だって高校生からの同級生だし、何より今までそんな素振りも無かったから。曖昧な返事しかできず私はビールを持って一人女子部屋に急ぎ足で戻ってしまった。
沙友理を変えた美咲の一言
翌朝、亮くんと顔を合わすのが気まずかった。でも亮くんは変わらない様子。なんだか昨日の夜の出来事は夢なんじゃないかって錯覚してしまうほどに。私は終始ドキドキして、亮くんを直視することができなかった。きっと亮くんも酔っ払っていたんだろうと思っていたけど、みんなと別れる時に小さな声で「いつか返事聞かせてね」と亮くんは確かに言った。夢じゃなかったんだ。
恋することに臆病になっていた私は亮くんになんて返事をすればいいのか、ずっと悩んでいた。1週間、1ヶ月と、亮くんのことが頭から離れないのに連絡は出来ず終い。そして3ヶ月が経った頃、美咲に呼び出せれて叱られてしまった。
「断るなら断るで、ちゃんと連絡してあげないとかわいそうでしょ」
亮くんは温泉旅行での出来事を純平に相談し、純平は美咲に話したらしい。純平に相談するなんて亮くんも変わり者だ。
「どうなの?言いにくいなら私から伝えておくけど」
「もうちょっと待ってほしい」
「いい加減に変わろうとしないと。あれから5年でしょ?いつまで経ったって彼氏できないよ」
「誰のせいよ!」と叫びそうになりぐっどこらえた。美咲は別に悪くない。私がずっと過去の経験を引きずっているだけ。でも、自分でも変わりたいという気持ちはある。5年前、美咲に後押しされて告白された男性とも付き合ってみたけど、やっぱり上手くいかず1ヶ月で破局。どうしたら変われるのか、その答えはまだ見つけられそうにない。
「最近、沙友理は働いてばかりで海外旅行にも一緒にいけてないじゃない。この前の温泉旅行も死んだような顔してたし」
「ほんと?」
「亮、すごい心配してたんだから。私から見てもなんか変だったよ。働きすぎじゃない?」
4人で集まれたのは嬉しかったし、楽しかった。でも、仕事やプライベートが充実している3人を見ていると、自分だけ置いていかれたような気がして寂しかった気持ちもある。自分だけ高校生の時代に取り残されたみたいに。
「もっと楽しめる仕事に転職するのも一つの方法じゃない?今メール送るから、これ試してみなよ」
美咲からURLが送られてきたけど、その場で開く気にはなれなかった。今の私にこれ以上問題を増やす体力はなかったから。
自分自身も知らない性格が明らかに
美咲と会った帰り道、家に帰ってお風呂に入っている時、布団に入った後も、ずっと美咲の言葉を思い返していた。私のトラウマの原因は美咲かもしれない。でもいざという時に助けてくれたのも美咲。何でも話し合える中だから、本気で私のことを心配していることもわかる。
私は美咲のメッセージを開いてみることにした。
「強みを診断?なにこれ?」
なんでこんなものを送ってきたんだろうと思いながら、私は美咲から送られてきた性格診断を試してみることにした。
18種類の中から私に合う5つの強みを教えてもらえる診断なのだが、正直驚いてしまった。仕事や恋に悩んでいたけど、今私が欲しい言葉が詰まっていた。
バランスの『どんなシーンにおいても常に全体のバランスを意識しながらいま何が必要なのかを見極めようとします』という言葉と、感受性の『できるだけ心地よい状態を創り出そうとします』という言葉は、CAにはなれなかったけど旅行代理店で働いてみたいと思っていた私の決意を固めてくれた。
それに親密性にある『深い信頼関係を構築できた相手とは互いの思いや内に秘めたパワーをしっかりと理解しあえている』という言葉は、私の恋心を後押ししてくれているような気がした。
そっか、私は過去の経験がトラウマになっていると言い訳しているだけだったのかもしれない。思い返せば、自分を変えられるキッカケは今までに何度もあった。
どうせ変えることなんて出来ないと諦めていた。それは変わろうと思って、変わることが出来なかった自分を見るのが怖かったからなのかもしれない。いつのまにかプライドの高い嫌な女になっていたのかな。
気持ちにブレーキをかけていた変なプライドは捨てて、もう少し自分の好きなことをしてみよう。今の状況が変わらなくても、自分の気持ちはきっと変えられると信じてみよう。
沙友理の出した答えは?
4人で行った温泉旅行から半年。私はやっと亮くんと顔を向かい合わせている。「返事、待たせてごめんね」
「遅刻魔の沙友理ちゃんにしては意外と早かったよ」
「なにそれ(笑)」
顔を合わせればやっぱり昔のような関係に戻れる。きっとこれからもそんな二人でいられる。今の関係を変えようとしなければ。
「答えは決まった?」
「もう少しだけ待ってほしい。やりたいことがやっと見つかって、それが叶ってから答えてもいい?」
「もちろん」
「でも亮くんに他に好きな人が出来れば、待って無くていいから」
「どれくらい待てばいい?」
「3ヶ月か、もしかしたら半年になるかも」
「高校生の頃、僕が沙友理ちゃんのことが好きだったの知ってる?」
「そうなの?」
「あれから10年。半年なんて短いものさ」
30歳で掴んだ沙友理の幸せ
半年後、私は旅行代理店でお客様の旅行プランを考えている。旅行は趣味だったけど、その楽しさを色んな人に伝えたいと思い、転職を決意した。好きなことを仕事にできている喜びもあるけど、『最高のプランでした』『またプランを考えてほしいです!』そんな言葉を聞くために今は働いている。そして今日は温泉旅行から1年ぶりに仲良し4人組が再び顔を合わせる日。しかも、おめでたいことに純平と美咲の結婚式で。先を越されちゃって少し悔しいけど、私も十分幸せ。
「本当にやばいよ!急がないと式が始まっちゃうって」
「ごめん!タクシー拾っといて」
私は相変わらずの遅刻魔。でもこれから私が遅刻すれば、一緒に住んでいる亮も遅刻になっちゃう。次は遅刻グセを直すのを頑張らなくちゃ。(modelpress編集部)[PR]提供元:株式会社リクルートキャリア
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