(上段)Mrs. GREEN APPLE(下段)あの、JUNG KOOK(ジョングク)(C)モデルプレス

関ジャム、プロが選ぶ「2023年の年間マイベスト10曲」発表 Mrs. GREEN APPLE・ano・JUNG KOOK…2人が藤井 風の楽曲を同時選出<トップ10一覧>

2024.01.22 22:05

テレビ朝日系音楽番組「関ジャム 完全燃SHOW」(毎週日曜よる11時~)では14日・21日と2週に渡って、2023年のミュージックシーンを独自目線で振り返る「プロが選ぶ年間マイベスト10曲」の最新版を放送。14日の放送で10位から5位、21日の放送で4位から1位までが発表された。


関ジャム、プロが選ぶ「2023年の年間マイベスト10曲」発表

川谷絵音(C)モデルプレス
川谷絵音(C)モデルプレス
毎年恒例のこの企画だが、今回はおなじみの音楽プロデューサー・蔦谷好位置、作詞家/歌詞プロデューサー・いしわたり淳治に加え、3年ぶりに本企画に参戦したミュージシャンの川谷絵音が選者として登場した。

Mrs. GREEN APPLE(C)モデルプレス
Mrs. GREEN APPLE(C)モデルプレス
それぞれが独自の目線で2023年の音楽シーンを回顧。川谷がMrs. GREEN APPLEの「Blizzard」、いしわたりはanoの「スマイルあげない」、蔦谷は“ヒップホップ界のクイーン”の異名を持つラッパーのAwichの「THE UNION」など話題のアーティストの楽曲を選出。さらに、いしわたりが「Workin’ Hard」、川谷が「花」と、藤井の楽曲を2人がそれぞれ選曲するなど注目が集まった。ほかにも、BTS(ビーティーエス)・、JUNG KOOK(ジョングク)のソロ曲「Seven」、HIPHOP/R&B ガールズグループ・XG(エックスジー)の「X-GENE」といったグローバルに活躍するアーティストの楽曲もランクインした。

XG(左から)ハーヴィー、ヒナタ、ジュリア、ジュリン、チサ、ココナ、マヤ(C)モデルプレス
XG(左から)ハーヴィー、ヒナタ、ジュリア、ジュリン、チサ、ココナ、マヤ(C)モデルプレス
この日放送された後編では、2022年にメジャーデビューしたシンガーソングライター・TOMOO(トモオ)の「Super Ball」がいしわたりの1位にランクイン。蔦谷は、2014年からギタリストとして音楽活動をしているミュージシャン・君島大空の「c r a z y」、川谷は俳優の多部未華子、松下洸平、今田美桜、神尾楓珠が“クアトロ主演”を務めたフジテレビ系木曜劇場「いちばんすきな花」の主題歌としても注目を集めた藤井の「花」をそれぞれ1位に選んだ。

JUNG KOOK(ジョングク)(C)モデルプレス
JUNG KOOK(ジョングク)(C)モデルプレス

いしわたり淳治のトップ10

10位:乃紫「接吻の手引き」

まだ得体が知れなくて謎が多いがキャッチーなフレーズを作るということにおいて新しい世代ならではの軽やかでキラキラとしたセンスを感じます。最近は音が作り込まれていて、ここから先本格的にやっていくんだなと感じた1曲。

9位:ラッキーセベン「ぼくらのまま」

ボーカルの声・メロディーライン・Saxがいるバンド編成とその音楽性・歌詞の明るさどれもかっこよくて新鮮に聴こえました。この仕事をしていると音楽がどんどん趣味ではなくなっていくけれど彼らは暗いことはほとんど歌わないしなんだか平和で久々に気持ちいいと感じたバンドです。

あの (C)モデルプレス
あの (C)モデルプレス
8位:ano「スマイルあげない!」

演劇などで俳優を決めてからその人をイメージして脚本を書くことを「当て書き」といいますが、ケンモチヒデフミさんという人はつまりは「当て書き」の名手なのだということに改めて気付かされた曲。この曲も「マクドナルド」「ano」という2つ要素に対する完璧な当て書きです。塩対応という言葉が市民権を得て久しいですが「塩を振る」なんて特殊な言葉をさらりとサビの仕舞いの歌詞に料理してしまうセンスは並大抵のものではありません。

7位:KIRINJI「指先ひとつで」

普通なら「素敵な予感で満たされてる」の言葉で終わってもいい歌なのにそう歌う自分を客観視するかのように「自分を騙すのもアリなんだぜ!」と最後に付け加えるセンスが素晴らしいです。言葉のバランス感覚にハッとさせられました。

6位:藤井 風「Workin’ Hard」

「あなたは頑張っている」といったフレーズは一般的には癒やしのメロディーの上で優しく歌われるような言葉でした。“働く”という頑張る曲を書くのが難しい中それをクールなビートの上で「You’ve been workin’hard」と歌うとことで「あなたは頑張って働いている」としっかり“仕事”にフォーカスした歌になり今の時代の“頑張る歌”を書くことに成功していてその瞬間時代を捕まえたように聴こえました。

5位:虹のコンキスタドール「君がいて良かった!了解です。」

なぜか「了解です」はこれまであまり歌になってきませんでしたがこの曲を聴いた時に「ああ、スゴい料理法があるんだな」と驚きました。

YOASOBI/Ayase、幾田りら(C)モデルプレス
YOASOBI/Ayase、幾田りら(C)モデルプレス
4位:YOASOBI「アイドル」

この曲は米ビルボードの“Global Excl.U.S.”1位を獲得しましたがスゴいのは、YOASOBIYOASOBIのまま彼らの音楽性を突き詰めていった先で結果を残したという事実だと思います。こういったボカロP系の音楽というのは日本で生まれたMADE IN JAPANの音楽です。昨年、大谷翔平選手は「アメリカに憧れるのをやめましょう」と言いました。音楽でも「日本人ならではの何かを武器にする」というのは、これから世界で戦う上でとても大切なことだろうと思います。

3位:クリープハイプ「真実」

いわゆる「お化け」のような“いるかいなか分からないもの”と「真実」という“必ずあると思っているもの”を並列に並べて全く正反対の性質の2つなのにそれを知った時の私たちのリアクションは同じだとさも当たり前のように書き抜くその冷静な視点と世界観に感服。どうして今までこれに気づかなかったのだろうと素直に悔しい気持ちになりました。

ちゃんみな (C)モデルプレス
ちゃんみな (C)モデルプレス
2位:ちゃんみな「命日」

徐々に日本の音楽シーンの中で“歌謡曲”の要素を感じる曲が増えてきているように感じます。とはいえ、歌謡曲はアクが強いためその混ぜ方や料理法にはセンスが必要。この曲は、彼女らしさと歌謡曲的な要素のミックス具合が絶妙で結果として気持ち良いくらいのエンターテインメントな1曲に仕上がっていて2023年らしさ、新しさを最も感じた1曲でした。

1位:TOMOO「Super Ball」

声とメロディーセンスその言語感覚がとにかく素晴らしいです。自分のオリジナルな理屈や考えを歌で伝えようとすると、説明文みたくなってしまって聴いた時にもたついてしまう事があるのですが彼女は自分の思いを自然な言葉の中で涼しげに歌として伝えられてしまう才能の持ち主という感じがします。「眼の前の壁を壊せ」「未来を切り開け」みたいな歌詞はこの世に沢山あるけど…「尖らずに丸いままつらぬけ」というメッセージは他ではあまり聴いたことがありません。ちょっとした違いのようだけどどこか耳新しくて、力強い言葉として届いてくる。彼女はこれからメジャーシーンのど真ん中で長く活躍していく気がします。

川谷絵音のトップ10

JUNG KOOK(ジョングク)/Photo by Getty Images
JUNG KOOK(ジョングク)/Photo by Getty Images
10位:JUNG KOOK「Seven」

シンプルなUKガラージ的サウンド(1990年代にイギリスで生まれたダンスサウンド)に乗せて曜日を順番に歌う部分の中毒性がスゴい。UKガラージの中でも1番キャッチーな曲。1回聴いただけでも誰でもノリノリで歌えてしまう。UKガラージにするとこういう歌詞もオシャレに歌えるんだなと気付いた作品です。

9位:bed「mother ship」

ギターのリフのカッコ良さそれだけでは終わらない多彩なメロディー。そしてライブ版のカッコ良さ。こういうバンドをやりたいと誰でも思うでしょう。とにかくライブに行きたいバンド。

Mrs. GREEN APPLE (C)モデルプレス
Mrs. GREEN APPLE (C)モデルプレス
8位:Mrs. GREEN APPLE「Blizzard」

大森くんが歌が上手いのはみんな知っていると思うが地声でもない、声楽の分類上は裏声、ミックスのどちらかのでしょうがそれだけでは説明できない突き抜けた特殊な歌声。もしかしたら人間ではないんじゃないかとこの曲を聴いて思った。あまりにも凄すぎて…サビの歌声、こんな歌い方が出来るんだと度肝を抜かれました。

7位:Khaki「Undercurrent」

今、最注目のバンド。1曲を#1、#2、#3に分けた今作。シンプルでフォーキーな歌から複雑でジャジーな間奏に向かい最後はロックになるという好き勝手な曲なのだがとにかく歌声のバリエーションと演奏力が素晴らしい。

6位:離婚伝説「愛が一層メロウ」

サビの「愛が一層メロウ」のキャッチーさにシティーポップ的なサウンドが合わさり随一の口ずさみ率でした。イントロのコーラス、Aメロからサビまで全てを歌いたくなるカラオケ欲を刺激しまくる曲。絶対に売れるユニットです。

5位:Cody・Lee(李)「おどる ひかり」

「たまには会いに来て」の部分がBメロなんだと思いますがサビでも良いくらい素晴らしい。その後のサビが、Bメロの素晴らしさを超えるメロディーなのだから更にびっくりしました。

4位:CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN「tradition」

キューバに留学していたメンバーや世界各国さまざまな音楽の影響が垣間見える異国感溢れるサウンドに変な歌詞。とにかく組み合わせが面白い。何故かちゃんとポップスになっているし違和感が最後には親近感に変わるメロディーが素晴らしい。日本の音楽業界に一石を投じる曲。

3位:Laura day romance「sweet vertigo」

歌い出しの「冴えない」の低いメロディーには冴えない感じが宿っているしBメロが急に「のベッド」から始まるのにもビックリしたし、毎回来ると思わない音程が来るのに何故か心地良い。まさにメロディーのデパート。懐かしさを感じるのに聴いたことがないメロディーを作り出すのが上手すぎる。

2位:betcover!!「翔け夜の匂い草」

歌謡曲的な懐かしさの中から危うさと色気がごちゃ混ぜになったロックが顔を出す。どう考えても他にはない音楽。聴いたことがない歌詞ばかりが登場するがこの独特な言葉遣いも彼の魅力。欲しくても手に入らないと諦めていたものが見つかった感覚が彼の音楽を聴くとあるんです。

1位:藤井 風「花」

2023年1番のポップソングです。シンプルな言葉しか使っていないのにどんどん深くなっていく歌詞。いつも子どもでも分かる擬態語や擬音語がお洒落なメロディーに乗っているが藤井 風だから出来ること。他の人がやればたちまちダサくなってしまう。針の穴を通すような言葉とメロディーの組み合わせの妙には唸るしかありません。

蔦谷好位置のトップ10

10位:lilbesh ramko「namique.」

Hyperpopやdigicoreと呼ばれるムーブメントの中でも一際異彩を放っているlilbesh ramko。ネット音楽特有の匿名性の高さの中にも肉体的な衝動とエネルギーが美しく爆発するような感覚があります。従来、ノイズやエラーとされていたようなデジタルの歪みやグリッチ(機械の故障などで発生するような音)が手法として確立しつつある中それをここまで刹那的に美しく響かせることが出来る稀有な存在です。

9位:Bonbero,LANA,MFS,Watson「Makuhari」

ZOT on the WAVEとdubby bunnyによるメロディアスでエモーショナルなドリルチューン(シカゴで2010年頃から流行し始めたヒップホップのサブ・ジャンル)に参加ラッパーたちの多彩なフロウが楽しめるドリーミーな1曲。

XG(左から)ハーヴィー、ヒナタ、ジュリア、ジュリン、チサ、ココナ、マヤ(C)モデルプレス
XG(左から)ハーヴィー、ヒナタ、ジュリア、ジュリン、チサ、ココナ、マヤ(C)モデルプレス
8位:XG「X-GENE」

人は超絶なものを体験した時、興奮より先に口が空いて固まってしまう、もしくは笑ってしまうような瞬間があると思いますがこの曲を初めて聴いた時、まさにその状態でした。わずか1分26秒の中に7人全員の卓越したスキルとセンス、個性が詰まったマイクリレーを堪能できるドリルチューン。激しいトレーニングを乗り越えて特別な存在になった彼女たちがこれから魅せてくれる未知の体験の序曲のように感じられます。

7位:Enfants「Play」

コロナ禍に自室に篭り鬱屈とした行き場のないエネルギーを爆発させるような曲です。アボイドノート(コードの機能を邪魔する音)やノンダイアトニックコード(調の音以外の音が入っているコード)を多用することで、歪んだ景色や強制的な明るさを表現し、爽快感さえ与える高度な作曲構成能力に驚がくしました。

6位:Awich「THE UNION」

Chaki Zukuによる極限まで削ぎ落とされた全く誤魔化しの効かないトラックがAwichという人間を浮き彫りにしています。全てを引き連れていくが如く快進撃を続けるAwichのクイーンとしての葛藤、苦悩や覚悟がストレートな言葉で吐露されており互いに全身全霊の情熱で音楽に向き合っている姿に大きく心を動かされました。

5位:原口沙輔「人マニア/重音テト」

作詞・作曲・編曲・歌唱、多彩で超絶な楽器演奏とダンスなど、一体何刀流なのかという20歳原口沙輔によるボーカロイド新アンセム。2022年、2枚の驚異的なクオリティのオリジナルアルバムを出しながらフィジカル的に優れた音楽能力を持つ彼が肉体性を極限まで排除したボカロでも大きなバズを作ってしまう時代性も持ち合わせておりおよそ音楽プロデュースに必要な能力は全て兼ね備えている凄まじい才能です。

4位:PAS TASTA「river relief ft.崎山蒼志」

2010年代はSoundCloud(誰でも簡単に曲を投稿できる音楽プラットホーム)を中心にナード・ギーク(コンピュータなどの知識が豊富な人)なトラックメイカーやアーティストが渦巻いていました。10代の多感な時期にその時代を過ごしサウンドメイクに取り憑かれた6人による激しく強烈な音とドリーミーな展開。彼らの精神性に呼応するシンガーソングライター崎山蒼志の言葉とメロディーも相まって…インターネットの混沌からどこまでも遠く響く希望とエモーショナルを感じます。

3位:Ado「唱」

ボーカロイドや歌い手の時代を経てボーカル表現の可能性は大きく進化し現在は人類史上最も多彩な歌唱表現が存在すると言えるでしょう。その最先端であり最高峰に君臨するAdoの歌唱、発送はもはや演奏家と同じようにヴィルトゥオーゾ(音楽家においての名手)と呼ぶに相応しいです。彼女のポテンシャルを最大限に引き出したTOPHAMHAT-KYOの歌詞とGiga & TeddyLoidの仕事が最高です。

2位:TOMOO「Grapefruit Moon」

何気ない日常をどう切り取り表現するかというのはポップスにおいて役割の1つですが…TOMOOは歌詞だけでなく作曲においても心情や情景描写が出来るシンガーソングライターです。瞬間を切り取るだけではなく時間の経過も感じさせる作詞作曲能力、歌唱表現に言葉を失うほどの感動した1曲です。

1位:君島大空「c r a z y」

この作品が収録されている「no public sounds」を聴いた時いつの間にか泣いていました。この感情が何なのか考えたのですが言語化できない。しかし、懐かしいような感覚でした。記憶を辿っていくとこの感情は音楽でしか得られないものであるという結論に至りました。それは説明できないものですが説明できなと言うことがまさに彼の音楽の魅力であり唯一無二の作家性によるものだと思います。

(modelpress編集部)

情報:テレビ朝日
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