「不登校の子を甘やかしすぎ」と批判する保護者→その子の作品展で全員が言葉を失った
「甘やかしすぎ」と口にした春の午後
5月のお茶会のことでした。誰かが「あの子、3年生からずっと来てないらしいよ」と話を振り、私は深く考えずに答えました。
「不登校の子をずっと家にいさせるのって、甘やかしすぎじゃない?」と。続けて「うちならとっくに、無理にでも連れて行くわ」とも言いました。
周りのママたちは曖昧にうなずいていました。私は正論を言ったつもりでした。親には通わせる義務がある。それだけのことだと思っていたのです。
あの子のお母さんの顔は、はっきり浮かんでさえいませんでした。
6月の地域行事で挨拶を交わして
翌月、地域の行事であの子のお母さんと顔を合わせました。短く会釈を交わしただけでしたが、少し痩せたように見えました。「忙しいんだろうな」くらいに思って、私はすぐに別の知り合いの方へ歩いていきました。
その後も、スーパーや公民館で何度か姿を見かけました。挨拶を返してくれる声は穏やかで、こちらをまっすぐ見て会釈してくれました。
私の発言があの人の耳に届いているかもしれない、なんて想像は一度もしていませんでした。自分の言葉の重さに、私はまだ気づいていなかったのです。
文化祭の作品展で
10月、地域の文化祭で子どもたちの作品展がありました。息子の絵を見に立ち寄ると、会場の奥に人だかりができていました。何だろうと近づいて、私は足を止めました。
並んでいたのは、夕暮れの町、雨上がりの空、暗い部屋の窓辺。光と影の表現が、子どもの絵とは思えない深さで描かれていたのです。
「これ、本当に小学生が描いたの?」周りの大人たちが口々に言っていました。作品の名札に書かれていたのは、あの男の子の名前でした。
学校に来ていないあの子が、毎日この絵に向かっていたのだと、ようやく気づいたのです。
そして…
絵の前で立ち尽くしている私に、視線を感じて振り返ると、あの子のお母さんが少し離れたところに立っていました。
気づけば私は近づき、頭を下げていました。「ごめんなさい。私、何も知らずに勝手なことを」と、それだけ伝えるのが精一杯でした。
お母さんは少し驚いた顔をしたあと、穏やかな声で答えました。「いいんです。私も、最初は同じことを自分に言っていましたから」その言葉に、私はますます顔を上げられなくなりました。
学校に行く、行かないという一つの線の外側に、こんなにも豊かな世界があったのに、私はその線の中だけで人を測っていたのです。
(40代女性・専業主婦)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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