田中圭の悲しみの乗り越え方「簡単に忘れられるものではない」 犬と本格初共演で感じたこと<「ハウ」インタビュー>
2022.08.16 07:00
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8月19日公開の映画『ハウ』で主人公・赤西民夫を演じる俳優の田中圭(たなか・けい/38)が、モデルプレスのインタビューに応じた。『総理の夫』『そして、バトンは渡された』『あなたの番です 劇場版』『女子高生に殺されたい』など近年立て続けに映画に出演し、異なるジャンルと幅広い役柄で作品に彩りを与えている田中だが、本作を語るうえで外せないのが“もう1匹の主人公”であるハウを演じた俳優犬・ベックの存在。犬と本格初共演で、田中は何を思い、何を感じたのか―――。
映画「ハウ」
本作は、『ゼロの焦点』『のぼうの城』などで日本アカデミー賞監督賞を受賞、日本を代表する映画監督・犬童一心と、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』などで同賞脚本賞を受賞、『余命1ヶ月の花嫁』『キセキ ーあの日のソビトー』など、人と人との温かい繋がりや大切な人への想いを丁寧に描き続け、本作の原作者でもある斉藤ひろしが初のタッグを組み、“人と犬の絆”を描く感涙必至の感動作。ハウ役の俳優犬・ベックは、『南極物語』『ハチ公物語』『クイール』『犬と私の10の約束』など数々の名だたる犬映画のドックトレーナーとして活躍し続けている宮忠臣から、本格トレーニングを受け、監督をも唸らせる演技を披露。田中演じる主人公・民夫と運命の出会いを果たし、優しく寄り添い、そっと支えるかけがえのない存在になっていく「ワン」と鳴けない保護犬を好演している。
田中圭「良いパートナーになった」犬と本格初共演で感じたこと
自身も犬を飼っていた経験があり、バラエティー番組や雑誌などでもたびたび犬と共演している田中だが、作品で本格的に共演するのは本作が初。20年以上のキャリアで、人との演技経験は豊富ななか、犬と演技をすることについて、田中は何を感じたのか。「もちろん大変なところはたくさんありました。台本を読んだ時に、人間の願望というか妄想で書かれている動作が多かったので、『これ、ベックどうやってお芝居するの!?』って思いました(笑)。実際の撮影では、目線一つにしても、立ち位置にしても、すごく大変でしたが、とにかくベックがいい子で、集中力があるんです。普段は本当にやんちゃなのに、『よーい』という声がかかると雰囲気がガラッと変わって、しっかりお芝居モードに入るので、そこの切り替えにはすごく驚かされました。
難しいお芝居を要求されることもあったので、僕が出ていないシーンのベックの撮影はどうだったのかなと、楽しみ半分、怖さ半分、という気持ちで完成した作品を観たのですが、本当に最高でした。もうハウでしかなかったので、ハウとしての感情が伝わってきて、これは天才だなと思いました。ベック自身はもちろん、トレーナーの宮さんや、スタッフの皆さんも含め、ただただ素晴らしかったです」
ベックとはすぐに打ち解けられたのかを尋ねると、「ベックと顔合わせをした時に、僕としっかりコミュニケーションをとって、僕に懐くようにと、他のスタッフの皆さんはあえてベックに構わないようにしていて。ベックとお芝居をしていくなかで、だんだん僕に懐いてくれて、撮影の合間も一緒に遊んでくれて、すごく良いパートナーになったんじゃないかなと思います」と目を細めた。
物語では、ハウ視点のシーンも多く描かれる。田中がグッときたシーンについて聞いた。
「ハウがひとりで『クーン』って言いながら伏せて雨宿りをしているところは、『あ~!たまらん…!』って思いました。もともと毛並みがふわふわで白いのに、798kmを横断しているので、どんどん泥だらけになっていく姿だけでも、見ていて胸にくるものがありました。犬に感情移入するというか、犬の気持ちがこんなにダイレクトに入ってくることが、僕の中ではすごく新鮮でした。
僕はこの映画を観て『感動した』というより、『なんて多幸感あふれる映画なんだろう』と思ったのが正直な感想です。観終わった後に、びっくりするくらい幸せな気持ちになれたので、もうそれだけで良かったなと。本当に心が温かくなるというか、とにかくハッピーで。とにかくハウが可愛いし、すごく素敵なハウの物語を見ることができたので、それだけで十分でした」
田中圭の悲しみの乗り越え方「簡単に忘れられるものではない」
田中が「とにかくハッピーだった」と語る一方、作中では悲しいシーンも。田中自身は、誰かとお別れする悲しさを、普段どのようにして乗り越えているのか。「お別れの種類にもよると思いますが、共演者とのお別れは寂しいと思ったことがないです。それは『きっとまたどこかで会えるだろう』と思っているから。でもたとえば、誰かが亡くなってしまったなど、一生のお別れに関しては、民夫も言うように忘れることは絶対になくて、どうやってその人の存在を自分の心にしまえるか、そしてその先に進んでいくかは、時間が必要な時も絶対にあると思います。どれだけ時間がかかるのかは、人によっても、相手によっても違うと思うので難しいですが、その悲しみは簡単に忘れられるものではないと思うので、無理に忘れる必要はないんじゃないかな」とひとつひとつ言葉を選びながら、真摯に語ってくれた。
田中圭、初共演の池田エライザは「独特なリズムでお芝居をされる方」
ヒロインを演じる池田エライザとは、本作が初共演。彼女の印象について、開口一番に「すごく独特なリズムでお芝居をされる方」と答えた。「今回の役あってのことなので、他の役ではどうなのかはわからないですけど、彼女の持っている芯のパワーと、彼女の独特なリズムがすごく新鮮で、共演できて楽しかったです。お互い気負うことなく、変に気を遣うこともなく、自然に相手を見ていた気がします。そんなに無理して気合十分でお芝居をされる方ではないと思うし、僕も多分そっちのタイプなので、波長が合って良かったんじゃないかな。もちろんあれがすべてではないのはわかっていますが、一部でも覗けて楽しかったです」
また、『あなたの番です』でも共演した野間口については「安心・安全!さすが!という感じ。僕は野間口さんのお芝居が好きですし、野間口さん自身も大好きです。野間口さんとお芝居をやることによって引き出された自分の中の感情もあったので、またご一緒できて嬉しかったです。ありがとうございます!」と笑顔で感謝していた。
田中圭の夢を叶える秘訣
モデルプレスでは、田中に2年前にインタビューをした際、“夢を叶える秘訣”について聞くと「叶えようと願って、挑戦すること。頑張るしかない。ベタですけど、“諦めない”というのはすごく大事だと思います」と語ってくれたが、着実にキャリアを積み重ねている田中に、今改めて“夢を叶える秘訣”を聞いた。「夢を叶えるためには『動くこと』だと思います。まずは進まないことには何も始まらない。夢と目標ってすごく曖昧だと思いますが、『夢』というと壮大なので、その夢のレベルを少し下げて、とりあえずの『目標』にして、一歩ずつ進んでいくことが夢に近づく方法なんじゃないかな。ビッグマウスで口に出していくのもいいけど、口だけにならないようにしっかり行動することが大事だと思います」
インタビューこぼれ話
初夏に行われた今回のインタビュー。撮影時にはハウを演じたベックも登場し、元気いっぱいのベックを捕まえて「ベック、こっちだよ~」とカメラに目線を誘導していた田中。ベックは田中の顔を舐めたり、田中の腕の中で安心したような表情を見せたりと、映画さながらに仲良しで息ピッタリだった。映画の撮影から久々の再会ということで、田中のことを覚えてくれていたのか尋ねると「どうなんだろう?覚えてくれているのかな?(笑)会った瞬間、喜んでいる感じでテンションが上がって『ハッハッ』って興奮していたけど、あれは僕に対してなのかはちょっとわからないです(笑)」とベックの本心は曖昧な様子だったが、ベックはきっと田中との再会に喜んでいたに違いない。
田中は「最後の結末がすごく素敵で、優しすぎる結末を迎えます。もちろんワンちゃんやペットを飼っている方にはたまらないと思いますが、そうじゃなくても、『あ~、ワンちゃん飼いたい~!』と思うくらい、温かい気持ちにさせてくれる映画なので、何も考えずに観ていただいて、幸せになってほしいです」とメッセージを伝えた。
(modelpress編集部)
ストーリー
婚約者にあっさりフラれ、人生最悪な時を迎えていた役所職員・赤西民夫(田中圭)。横浜で一人空虚な日々を送る彼は、上司から飼い主に捨てられて保護犬になってしまった真っ白な大型犬を飼うことになってしまう。犬はワンと鳴けず「ハウッ」というかすれた声しか出せない。とびっきり人懐っこいこの犬を、民夫は“ハウ”と名付け、1人と1匹の優しくて温かい日々が始まった。民夫にとって最初は戸惑うことも多かったハウとの暮らしだったが、何をするにもいつも一緒な“2人”の絆は次第に深まり、いつしかかけがえのない存在となっていった。ハウと民夫の最高に幸せな時間はずっと続くと思っていたのだが―…。田中圭(たなか・けい)プロフィール
1984年7月10日生まれ、東京都出身。2000年にCMで芸能界デビュー。2003年放送のドラマ『WATER BOYS』(フジテレビ系)で主人公の親友役を演じ注目を集める。近年の主な出演作は、ドラマ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系、2018年)、『あなたの番です』(日本テレビ系、2019年)、『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(フジテレビ系、2020年)、『ナイト・ドクター』(フジテレビ系、2021年)、『らせんの迷宮 ~DNA科学捜査~』(テレビ東京系、2021年)、『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~』(TBS系、2022年)など。映画『ハウ』(8月19日公開)、舞台『夏の砂の上』(11月上演)が控える。映画「ハウ」作品情報
作品タイトル:『ハウ』公開表記:8月19日(金)全国ロードショー
原作:『ハウ』斉藤ひろし(朝日文庫)
出演:田中圭 池田エライザ 野間口徹、渡辺真起子、モトーラ世理奈、深川麻衣、長澤樹、田中要次、利重剛、伊勢志摩、市川実和子、田畑智子、石田ゆり子(ナレーション)、石橋蓮司、宮本信子
監督:犬童一心
脚本:斉藤ひろし 犬童一心
音楽:上野耕路
主題歌:GReeeeN「味方」(ユニバーサル ミュージック)
企画・プロデュース:小池賢太郎
プロデューサー:丸山文成 柳迫成彦
企画・製作プロダクション:ジョーカーフィルムズ
製作幹事:ハピネットファントム・スタジオ 東映
配給:東映
映画クレジット:(C)2022「ハウ」製作委員会
【Not Sponsored 記事】
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