モデルプレスのインタビューに応じた窪田正孝(C)モデルプレス

窪田正孝が“同棲ルール”を作ったら…<「ヒモメン」インタビュー>

2018.07.28 08:00

俳優の窪田正孝(くぼた・まさたか/29)が主演を務めるテレビ朝日系土曜ナイトドラマ『ヒモメン』(毎週土曜よる11時15分~)が28日よりスタートする。働き方改革が叫ばれる今、働かない男と働く女性という新しい恋愛の形を描く同作で、窪田が挑むのは“楽に生きたい”をモットーに、働かないことに全力を尽くすヒモ男。モデルプレスでは、窪田にインタビューを行い、役作りから自身の恋愛観まで語ってもらった。

「ヒモメン」

鴻池剛氏のコミック『ヒモメン~ヒモ更生プログラム~』を原作とする同作。窪田演じる“楽に生きたい”をモットーに、働かないことに全力を尽くすヒモ男“翔ちゃん”こと碑文谷翔と、川口春奈演じる彼を更生させたい恋人の看護師・春日ゆり子の同棲生活を描く。

働き方改革時代のニューヒーロー=“ヒモメン”にスポットを当てた前代未聞の社会派コメディであり、ダメダメカップルの成長を描くサクセスストーリーとなる。

窪田正孝「モップガール」以来のテレビ朝日ドラマ「おっさんずラブ」への意識は?

窪田正孝(C)モデルプレス
窪田正孝(C)モデルプレス
― ではまず今回、翔ちゃんを演じるのが決まったときの率直な感想からお願いします。

窪田:スーツを着なくて良いので楽だなあ、と1番最初に思いました。実際に現場に入ってみると、意外と衣装替えが多くてびっくりしましたけど(笑)。原作は4コマ漫画のように話が進んでいき、ページを開いたら全然違う顔になっているので、そういう感覚はすごく面白かったです。なので是非に、と思って受けさせて頂きました。

また、個人的にテレ朝のドラマがほぼ初なんです。片山修監督とは、10年ほどに北川景子さん主演の「モップガール」でご一緒させて頂き、第7話に高校生の不良3人組の1人として一瞬出たのですが、それ以来!正直、個人的には嫌われてるんじゃないかなって思ってたんですよ(笑)。なので今回、本当に親交を深められたら嬉しいなと思っています。

― 今回の枠では「オトナ高校」や「おっさんずラブ」といった攻めた作品が多いですが、それに対する印象はいかがですか?

窪田:この枠ではメッセージ性よりも1時間見て面白い作品、というのがすごく求められてるのかな、と思っています。土曜の夜は、皆さんにとっても貴重な時間だと思いますし。その期待に応えられるように、現場で本当に葛藤しながら作らせて頂いています。

「おっさんずラブ」は僕も見ていて、ちょうど撮影していたときに瑠東(東一郎)監督らと一緒にご飯を食べて話を聞くこともありましたね。でも田中圭さんからのアドバイスは特になかったです(笑)。「おっさんずラブ」と「ヒモメン」とでは、テイストも違いますが、ぜひ次もそのまま見て頂きたいです。そして楽しく見て頂いて、気持ちが良い感覚のまま眠りにつける感じの作品になれば1番ベストだと思っています。

窪田正孝“ヒモメン”へのこだわり

窪田正孝(C)モデルプレス/<ヘアメイク>糟谷美紀<衣装クレジット>ニット(フィルーズ・ダルボー)
窪田正孝(C)モデルプレス/<ヘアメイク>糟谷美紀<衣装クレジット>ニット(フィルーズ・ダルボー)
― 翔ちゃんは“働かないことに全力を尽くすヒモメン”という役柄ですが、演じる上でのこだわりは何かありますか?

窪田:現場で演じていると「働いた方が楽じゃない?」と思うことがすごくあるんです。翔ちゃんは、働く以上に身体を動かしてるし…なんでそこまで頑なに働くことを拒絶するんだろうと個人的には思います。ですが、働かないということが周りの人には理解されづらくても、翔ちゃんにとってゆり子という好きな人への一種の愛情の形だと思うので、そこはブレずにやるべきだと思って演じています。

実際、ゆり子の母性本能に訴えるような翔ちゃんなりのずる賢いところもあるんですよ。でも憎まれるキャラクターになってはいけないので、どこか愛嬌がある可愛らしい人物、というイメージは、監督やプロデューサーからも言われていますし、頑張っています。

― 可愛らしさはどういった部分で出しているんですか?

窪田:セリフでちょっと甘えた言い方をする。でもだんだんゆり子もガチで怒ってきちゃうんです(笑)。なので、彼女を包み込む愛情プラス、彼女がホッとする言葉を投げてあげるとか…。精神的に支えるのが彼の役割であるから、そこは意識しています。正直、翔ちゃんもダメだけどゆり子もダメなんですよ(笑)。でも、だから関係が成立していると思うし、それで2人が幸せならそれで良いと思うんです。本当に辛ければ別れれば良いのに、それはしない。2人がそこに絆を持っているということがとても大切だと思うんです。お互い欠けている部分はあるし、2人で1つな部分もあるので。演じる側もそこはちゃんと意識しながら春奈ちゃんとやっています。

窪田正孝、役との共通点は?

窪田正孝、川口春奈/「ヒモメン」第1話より(C)テレビ朝日
窪田正孝、川口春奈/「ヒモメン」第1話より(C)テレビ朝日
― そんなずる賢さもありつつ、愛嬌のある翔ちゃんですが、ご自身との共通点がありますか?

窪田:なんだろう…愛嬌ないしなぁ(笑)。翔ちゃんは彼女に尽くすことに一生懸命だけど、僕は仕事に対して一生懸命やっているつもりなので、そこは共通しているかもしれないです。「これをやりたい」「これをしなければいけない」と課題を決めたら、ちょっと周りが見えなくなるくらい、のめり込む気持ちは分かります。

― ちなみに「ヒモメン」のように自分よりも収入の高い女性と付き合う、というのは窪田さん的にアリですか?

窪田:僕はナシです。ご飯に行くならお金を出したいと思いますし…。お金がなくてもそこは見栄を張りたいです。

― 結婚したら、稼いで養いたい派ですか?

窪田:「絶対に専業主婦になってくれ」とは思いません。しばるのもしばられるのも嫌なので、好きなことをやってほしいです。例えば「明日、海外に行ってくる」と言われても「どうぞどうぞ」という感じですね。

― 翔ちゃんはゆり子と同棲していますが、窪田さんがルールを作るとしたら、どんなものがありますか?

窪田:なんだろう。家事は得意なので、家のことは自分がやりたいです。あ、料理は作って欲しいですね。でも洗濯物は自分で畳みたいです。基本的に手洗いしたくて。自分のものは自分でやるから全然ほっといてくれていいよ、という感じです。

窪田正孝「ヒモメン」での苦労

― これまでとはまた違う役ですが、苦労しているところはありますか?

窪田:答えが広いところ。基本的に喜劇なので、演じる中でどうにでも動けるんです。台本があって、その中で翔として生きなきゃいけないけど、その中だけで生きていると世界観が縮まってしまう感じもする。それに台本を真面目になぞるんですけど、普通にやるだけだとつまらなく終わってしまうんです。

でも、笑わせようとして演じるのもだめで。というのも、2人がすごく狭い世界、2人の世界で至って真面目に話していたり動いていたりする様子を外から引いて見ると面白く見える、というのがこの作品の面白さだと思うから。どうしても笑わそうという気持ちにもなりますが、それを極力取り除いてやろうと思います。

やっぱり喜劇の難しさってありますね。シリアスものよりも頭を使う気がしますね。

川口春奈と初共演 “お兄ちゃん”勝地涼にはジェラシー?

窪田正孝(C)モデルプレス
窪田正孝(C)モデルプレス
― 川口さんとは初共演ですが、どんな印象でしたか?

窪田:さっきのくじ引きのゲーム(※)は大失敗じゃないですかね(笑)。お客さんに「仲良くないんじゃないか」と思われたかな?まともなことを全然言えていなかったですよね。春奈ちゃんもまともなこと言わないし…(笑)。まぁそのくらいの関係でいいのかな、とも思いますし、良い距離感だとは思っています。

※この日は、取材前に会見が行われ、その中でくじ引きで王様ゲームを実施。川口と窪田は良いところを言い合い「顔」をお互い回答するなど、仲睦まじい雰囲気で盛り上げた。

― 良い距離感なんですね。

窪田:お互い、作品に対してああしよう、こうしよう、と密になって話すことがあまり得意ではなくて。でも逆に僕は楽なんです。…ぶっちゃけそんなに会話は続かないです(笑)。春奈ちゃんは夜中の3時までサッカーを見ていたんですけど、僕そんなにサッカー見てなかったんで…。サッカーに対する熱がすごかった(笑)。なので、共通の話題をちょいちょい探して、仲良くなっている感じです。

でも彼女は本当にさばさばとした性格で、そこが魅力だなと思うんですけど、掴みどころがなくて。たまに「今、近づけたかな?」と思う瞬間があっても次のときには「あれ、勘違いだったかもしれない」と。…僕にあんまり興味ないのかな?(笑)でも、とても良い距離感を保てている気がします。お互い話したいときは話すし、話さないときは話さない、という関係がとても楽でした。

それがいて、芝居になると、バチっとはまる、そんな感覚が好きですね。芝居は、どれだけ2人で嘘をつけるかじゃないですか。僕たちは、良いものにするためにお互い密かに、こうしたい、ああしたいという熱意を持っていて、それを芝居の中で答え合わせしていき、調和を合わせるという部分が結構あります。受け止めてくれる方です。

― 今日の壇上では、イケメン医師・池目亮介役の勝地涼さんともすごく仲が良さそうでした。

窪田:勝地くんは、月9「SUMMER NUDE」でご一緒させてもらって、こないだ映画「銀魂」で久しぶりに会って。本当にお兄ちゃん的な存在です。今回の役で言うと、やっぱり予想通りだけど、ずるいなって思います。1話を見ましたが、池目は1人で確立しちゃっているんです。面白いし「全部持ってってんな、チクショー」と思いましたよ(笑)。本当にオイシイ役!ドラゴンボールでいうベジータですよ!(笑)池目をやりたかったな、と結構思っています。

― 気にいっているキャラクターなんですね。

窪田:そうですね。しかも、それで春奈ちゃんがツボっているのにも個人的にジェラシーを感じています(笑)。「いいな、心掴んでるじゃん」と思うこともあって(笑)。でも、物語的に勝地くんがこれからかき混ぜてくれるので、その渦に巻き込まれていきたい、と思っています。

窪田正孝の仕事論「これから頂く仕事を守りたい」

― 今回“働かない”主人公ですが、窪田さんにとって“働く”とは?

窪田:うーん。好きなことを守ることでしょうか。守るものは家族なのか、ものなのか、人それぞれで違うと思いますが、働くことはイコール大なり小なり稼ぐことなので、そこで守れる部分もあると思います。

― 今は何を守るために働かれてるんですか?

窪田:僕は、今、守ると言うよりも確立しているところです。もっと仕事を安定させたいし、自分自身、安心したい。全然、安心できないんですよね。

― 順風満帆に見えましたが、どういったところが不安なんですか?

窪田:いつ飽きられるか分からないじゃないですか。本当に厳しい世界だとは思います。今は仲良く仕事をしていたとしても、何か残せなければ、それで終わり。その危機感はすごく持っています。もちろん今、一緒に仕事をしている方たちとは仲良くさせてもらっていますが、もう会えないかもしれない、と思うこともあります。もう使ってもらえないんじゃないか、という不安はあります。何かのきっかけで終わりになることだってある。やってきたものも全て無になるし…そうはなりたくないから余計に不安に思うのかもしれないです。これから頂く仕事も守りたいものだから。

― なるほど。では逆にどうなったら安心できると思いますか?

窪田:分かりやすく契約ができれば良いですよね。1年に1回「このテレビ局で仕事します」とか、そういう契約書があれば安心します(笑)。それは安心しますよ。でも無い…(笑)。

ありがたいことに自分の好きなこともやらせてもらっていますが、やっぱりお仕事は頂くものだし、応援してもらえる人がいて初めてできるので、それが芯にないと勘違いして段々ズレていっちゃうんじゃないかなと思います。

窪田正孝の夢を叶える秘訣

窪田正孝(C)モデルプレス
窪田正孝(C)モデルプレス
― では最後になりますが、モデルプレス読者に向けて“夢を叶える秘訣”をお願いします。ちなみに、ちょうど1年前にお伺いしたときは「逃げないこと」だと教えて下さいました。

窪田:偉そう(笑)!偉そうなこと言ってるなー(笑)。今思っているのは、夢を叶えるためには多少ワガママになって良い、ということです。本当にやりたいことがあったら、誰かを巻き込んでもやるべきだと思います。その先に納得させられればいいので。でも結局、逃げないことに繋がるのかな。

― 素敵なお話ありがとうございました。

インタビューこぼれ話

撮影前「上着を脱いだほうが良いですか?着たほうが良いですか?」と声をかけて下さった窪田さん。「どちらでも大丈夫ですよ」と伝えたところ、「じゃあ僕が勝ったら脱ぎます。最初はグー!」とじゃんけん。気さくな姿にすっかり魅了されてしまいました。(modelpress編集部)

窪田正孝(くぼた・まさたか)プロフィール

1988年8月6日生まれ。神奈川県出身。2012年6月「平清盛」に平重盛役でNHK大河ドラマに初出演し、2014年NHK連続テレビ小説「花子とアン」、その後TBS系ドラマ「Nのために」や「アルジャーノンに花束を」への出演、さらに日本テレビ系ドラマ「デスノート」、「MARS~ただ、君を愛してる~」など話題作への主演が続き、様々な役をこなす演技力が各界から高く評価され、世代を問わず注目を集める実力派俳優。

2017年7月には映画『東京喰種』で主演、2018年1月、TBS金曜ドラマ「アンナチュラル」に出演し、2月には、映画「犬猿」で主演を務めた。テレビ朝日土曜ナイトドラマ「ヒモメン」は7月28日から、放送スタート。

「ヒモメン」第1話あらすじ

窪田正孝、川口春奈/「ヒモメン」第1話より(C)テレビ朝日
窪田正孝、川口春奈/「ヒモメン」第1話より(C)テレビ朝日
看護師・春日ゆり子(川口春奈)のマンションに、実家を追い出された彼氏・碑文谷翔(窪田正孝)が転がり込んできて、3週間…。後輩看護師・浜野このみ(岡田結実)らには、イケメンの彼氏がいることをうらやましがられるが、実はゆり子には誰にも言えない秘密があった。翔は女の金で暮らす無職の男――そう“ヒモ”だったのだ…!

できる限り楽をして生きたいヒモ男・翔はまるで働こうとしないばかりか、ゆり子から頼まれた“ゴミ出し”すら、面倒がる始末。たまりかねたゆり子は、翔が居候をはじめてから出費が増え、貯金も底をつきかねない現状をぶつける。それを聞いた翔は突然、部屋を飛び出していく。ゆり子は、翔もようやく仕事を探す気になったのかと喜ぶのだが…翔は決意の行動に出る!?

そんな中、ゆり子の勤務先に、VIP患者・矢沢(宇梶剛士)が入院してきた。病院の出資者でもある矢沢はいばり散らし、“ペット持ち込み禁止”という院内規則などおかまいなしに、愛鳥を特別個室で飼いはじめる。ゆり子は看護師長・尾島和子(YOU)から矢沢の担当を押し付けられるが、金の無心に現れた翔のために病室を離れたところ、その隙に小鳥が消えてしまった!責任を取らされ意気消沈するゆり子に、好意を寄せる医師・池目亮介(勝地涼)が優しく声をかけ…。

「ゆり子に捨てられたくない…でも、働きたくない」。人生最大の選択を迫られるヒモ男・翔がとった行動とは…!?
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