「嘘の戦争」劇中カット/山本美月、安田顕、藤木直人(画像提供:関西テレビ)

草なぎ剛「嘘の戦争」演技絶賛の声に本人は…もう気軽に“つよぽん”って呼べない?<取材中の無邪気な様子もたっぷり紹介>

2017.02.21 05:00

現在放送中の関西テレビ・フジテレビ系ドラマ『嘘の戦争』(毎週火曜 後9:00)。主演は草なぎ剛。視聴率は放送開始以来2桁をキープしているが、その健闘を支えているのは間違いなく草なぎの演技によるところが大きい。ドラマは中盤、21日に第7話が放送される。“嘘”“詐欺師”“復讐”…劇の中心ワードがいずれも草なぎとかけ離れているなかで、草なぎは主人公・一ノ瀬浩一をどのように演じているのか?――――<取材中の無邪気な“つよぽん”もたっぷりお届け!>

考えすぎずにお芝居をやってる僕にとっては本当にぴったりな役

同ドラマは、幼いころ無理心中に見せかけて家族を殺された一ノ瀬(本名:千葉陽一)が、詐欺師となって事件関係者に積年の恨みを晴らしていく復讐劇。草なぎが怒りと悲しみ、嘘か真かわからない笑顔を、表情もしくは目だけで表現し、視聴者を唸らせている。

「草なぎの表情の演技が素晴らしい」「表情が微妙にコロコロ変わるから一瞬も見逃せない」「冷徹な表情からいろんな感情が見え隠れする」「迫真の演技にドキドキしっぱなし」「今の表情はどういう意味?次の展開が気になる」など、絶賛の声が相次ぐ。

しかし当の本人は「実は僕自身、浩一の気持ちはあまり考えてなくて。その場にいて『こういう方が楽しいな』っていう方に、自分が感情をシフトしているだけ。僕も浩一に関してはどれが本当なのかよくわからない。監督がいい顔を抜いてくれて、上手く繋いでくれてる。だから編集で助かってるんですよね(笑)。でもそれが浩一なのかな?とも思ったり。どれが本当なのかわかんないっていう。だから考えすぎずにお芝居をやってる僕にとっては本当にぴったりな役ですね」とあっけらかん。人一番努力する人でありながら、それを見せてこなかった彼らしい答えといえばそうなのだが。

信頼してくれているんです、こんな怠け者の僕を。

『嘘の戦争』は2015年に放送された同じく草なぎ主演『銭の戦争』のスタッフが再集結している。『銭の戦争』も草なぎの鬼気迫る演技が話題になった。いわば草なぎの“活かし方”を知っているチームなのかもしれない。

「僕の性格をわかってくれていて、あまり細かいことも言わないですし、自由にさせてくれる。前後の繋がりをあまり考えないのは僕のダメなところ(苦笑い)。でも僕は一つひとつのシーンに集中していれば、あとはそれを完璧に繋げてくれる。僕を上手く操ってくれるというか、そういう環境を作ってくれる。信頼してくれているんです、こんな怠け者の僕を。だから僕もやらなきゃなって思うんだよね。普通だったらぶっ飛ばされると思う、バカなことばっかり言っているから(笑)。第5話のパイロットに扮したところも『その時その時で剛くんはやってくれればいいんだよ』って。

『いいひと。』(※1997年。草なぎの出世作と言われる)からもう20年くらい俳優をやっていて、当時は右も左もわからなくて、でも毎日走ってた。それは今も変わってない。『走れ』って言われたら走るし、『転べ』って言われたら転ぶ、言われたことだけをやるっていうのは。僕は演じる時、何も考えてない。そういう積み重ねが今のチームの信頼関係にも繋がっていると思う。『とりあえずやってみようぜ!』みたいなところが僕にはあって。だから『リハーサルなんてやらないで早くやればいいのにな』とかも思ったりする(笑)。でもそういうわけにはいかなくて、みんながちゃんと考えてくれてる。全部はそのニュアンスを伝えきれないんだけど、家族みたいな。そんな僕の性格をすべてひっくるめてわかってくれてるので、みんな僕の引き出し方が上手いんだと思う。『ちゃんとやろう』って気にさせてくれるから(笑)」

もう気軽に“つよぽん”って呼べない?

「嘘の戦争」劇中カット/平岳大、水原希子(画像提供:関西テレビ)
「嘘の戦争」劇中カット/平岳大、水原希子(画像提供:関西テレビ)
いまや日本のドラマシーンに欠かせない存在ながら、決して驕りはない。癒し系でいつもニコニコ、“無邪気”という言葉がとても似合う。でもドラマの浩一を見て「もう気軽に“つよぽん”って呼べない」なんて声も上がるほど、草なぎの演技は神がかっている。しかし私たちの質問に答える姿は紛れもなく“つよぽん”だった。

「このドラマ、正直、ツッコミどころも満載だと思っていて(笑)。まぁそれも楽しんでるんですけど。だって5話で、九島(平岳大演じる九島亨)が百田(マギー演じる百田ユウジ)とカズキ(菊池風磨演じる八尋カズキ)から逃げる時、なぜかちゃんとエレベーターが来てるの(笑)。おかしいでしょ?(笑)あそこで捕まっちゃったらさ、百田とカズキは取調べをしないといけなくて、だからちゃんと九島を逃さないといけないわけで。もしかしたらハルカ(水原希子演じる十倉ハルカ)がエレベーターをあそこに待たせてたのかなとか思ったり。でもそんなことできるのかな?とか。だってあれは九島が逃げないと浩一に電話しないわけだし(笑)。

だからツッコミどころもたくさんあるんだけど、でもみんなそれを楽しんで演じてる。みんなわかっていながら上手い嘘のバトンみたいなものを渡し合ってるのがいいんですよね。だってどう考えてもおかしいでしょあれ(笑)!例えばあのエレベーターホールの前で、百田とカズキが九島を捕まえた場合は、どういうことを彼らはしたのかな?って、そればっかり気になっちゃって。だいたい九島は最初のところで逃げなきゃいいわけだから。でもやっぱり昔から悪いことしてるし、自分の肩書きも傷つけたくないから、たぶん九島は逃げるんだろうと思ってたりもして。だから面白いなと思って。…すみませんね、なんかね(笑)」

と興奮しながら一気に話したかと思えば、続けて…

「というか皆さんドラマ見てるんですか?(笑)。見てないのに僕がエレベーターのことをこんなに言ってたりするとさ、バカみたいになってくるじゃないですか!見てますよね?大丈夫ですよね(笑)?本当?怪しいよ(笑)!録画でパパッと見てるだけとかやめてくださいよ(笑)。それやめてよ、本当!『この人なに言ってんのかな?』ってなっちゃうから(笑)」と照れながら笑った。

草なぎさん、嘘をつくのは苦手ですか?

とても気さくな人。お茶の間が草なぎに持っているイメージそのまま。ドラマのタイトルにある“嘘”から誰よりも遠いように思う。そんな草なぎに「嘘をつくのは苦手ですか?」と質問が飛ぶと「このドラマやってたら『俺、嘘上手いのかな?』って思ってきてます(笑)。本気を出したら嘘もできるんじゃないかな?ってね。だから詐欺師も向いてるかも。でもドラマでは大丈夫なんだけど、普段はしどろもどろになって噛んじゃうんだよね(笑)。『あ、そ、そ、そうだよね』って(笑)。だからそれは浩一っていう役がやっぱり僕を駆り立ててる。役もそうだし、スタイリストさん、メイクさん、照明さん、みんなの力で不思議なマジックにかかってるんでしょうね」と目尻を下げて微笑んだ。

“草なぎ剛”、“つよぽん”、どっちも最高

昨年11月、タイ・バンコクでクランクイン。「撮影の日々を漢字“一字”で表してほしい」というリクエストには「“真”っていう字!真実の“真”。真っ直ぐにみんなでやってきているのは嘘じゃないので。嘘つく時も真っ直ぐに嘘ついてる。うん、いいね。“嘘”の対比にもなるし、なんかキャッチーな感じ(笑)」と機転を利かせた回答ができたのかちょっぴり嬉しそう。取材中は思わずネタバレしてしまい「聞かなかったことにしてください!(笑)」と頭をかく。取材終わりには「じゃあ皆さんよろしくお願いします」と丁寧な挨拶を欠かさず「上手くまとめてください(笑)」と満面の笑みを見せて去って行った。

――― 浩一を演じる“草なぎ剛”も裏がない“つよぽん”もどっちも最高。(modelpress編集部)

第7話あらすじ(2月21日放送)

「嘘の戦争」劇中カット/安田顕、藤木直人(画像提供:関西テレビ)
「嘘の戦争」劇中カット/安田顕、藤木直人(画像提供:関西テレビ)
30年前、一家心中に見せかけて殺された家族の復讐を次々に果たした浩一(草なぎ剛)は、ついに、事件の首謀者である興三(市村正親)に近づくことに成功。興三の娘・楓(山本美月)との結婚も決まる。一方、またしても浩一の巧みなウソに翻弄され、興三もまた「2人で話がしたい」と浩一を呼び出すが、思わぬ事態に…。そして隆(藤木直人)は浩一が30年前の事件で生き残った“千葉陽一”だと疑いつつも、確固たる証拠をつかめずにいた。

隆の事を気にしつつも、浩一は30年前のOL殺人事件に関わっていながら、これまで何の罰も受けずに生きてきた晃(安田顕)に狙いを定め、事業拡大のために工場を全面改修するよう勧める。そして晃が早速、隆に工事に必要な多額の費用を用立ててくれるよう頼むと、隆は意外にもそれをあっさり承諾するが、それには隆なりの考えがあり…?

上機嫌の晃に、浩一はそれとなく、興三や隆のまわりで怪しい動きを見せる六車という男について尋ねる。晃の話を聞いた浩一の脳裏には、ある疑惑が浮かんで…。
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