

「年のせい」と自己判断は禁物! 疲れやすさ・不調の裏に潜む「甲状腺機能低下症」とは
【医師が解説】疲れやすさやむくみ、気分の落ち込みを「年齢のせい」「更年期だから」と思い込んでいませんか? それらの不調は、甲状腺ホルモンの不足による「甲状腺機能低下症」が原因かもしれません。血液検査で簡単に診断でき、適切な治療で改善可能です。放置すると動脈硬化や不妊のリスクも高まるため、早めに受診しましょう。
「年のせいか、以前より疲れやすい」「しっかり寝たのに疲れが取れない……」
年齢を重ねれば、疲れやすくなるのは当然だと思っていませんか? しかし、そのなんとなくの不調は、実は甲状腺ホルモンの低下が原因かもしれません。分かりやすく解説します。
甲状腺ホルモンは「エネルギーの司令塔」
甲状腺は首の前側にある小さな臓器ですが、そこから分泌される甲状腺ホルモンは全身の代謝を指揮する「エネルギーの司令塔」です。車でいえば、エンジンの回転数を決めるアクセルのような役割を果たしていると言えるでしょう。
このホルモンが不足すると体の動きやエネルギー消費が落ち込み、心も体もスローダウンしてしまいます。
「甲状腺機能低下症」とは? 見逃されやすい症状
甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの分泌不足により全身の代謝が低下する状態です。血液検査では、TSH(甲状腺刺激ホルモン)が高く、FT4(甲状腺ホルモン)が低い状態になります。
甲状腺機能低下症の症状はあいまいで、風邪や加齢、更年期障害と誤解されることも少なくありません。そのため、若い世代ではうつ病、高齢者では認知症と誤診されることもあります。
・寒さに弱くなる
・髪が抜けやすくなる、髪質が変化する
・肌の乾燥がひどくなる
・気分の落ち込みや、集中力の低下・活気のなさが見られる
・便秘がちになる
・まぶたや手足がむくむ
・脈が遅くなる
なお、甲状腺ホルモンが増加するバセドウ氏病の場合、暑がりになったり、発汗過多や動悸、脈が速くなる、眼球突出が見られるといった目立つ症状が現れます。そのため、甲状腺機能低下症よりも病院受診につながり、発見されやすいのです。
甲状腺の機能が低下してしまう原因は?
甲状腺機能低下症は女性に多く、特に40~60代で発症しやすい傾向があります。
最も多い原因は、「橋本病」(慢性甲状腺炎)という自己免疫疾患です。免疫が誤って甲状腺を攻撃し、少しずつ細胞を壊してしまうことで、ホルモンをつくる力が低下していきます。
また、甲状腺の手術や放射線治療の後や、特定の薬の影響で発症することもあります。
甲状腺機能低下症を放置すると起こること・確定診断のための検査法
軽症だからと放置してしまうと、時間と共に徐々に症状が悪化していきます。加えて血中コレステロールが上昇しやすくなり、動脈硬化や心疾患のリスクが増加することもあります。妊娠を希望する女性の場合、不妊や流産の原因になることがあります。
甲状腺機能低下症かどうかは、血液検査を受けるだけで診断できます。測定するのは「TSH」と「FT4」の数値です。
特に以下のような人は、一度検査を受ける価値があります。
・原因不明の疲れが続く
・高コレステロール血症を指摘された
・家族に甲状腺疾患がある
・寒がり・むくみ・便秘・肌荒れが気になる
甲状腺機能低下症の治療法
症状やホルモン値、年齢によって治療方針は異なりますが、基本的には不足した甲状腺ホルモンを補って治療を進めます。小さな錠剤(商品名:チラーヂンS)を毎日服用するだけで、多くの人がホルモン値を正常化でき、体調も改善します。
自分を守るためにできること。あなたの「本当の元気」はまだ眠っている可能性も
甲状腺機能低下症のサインを見逃さないために大切なのは、以下の3点です。
・「年齢のせい」と決めつけない:体の変化には必ず理由があります
・健診結果や血液検査の結果を見直す:TSHが高めなら、医師に相談しましょう
・自己判断でサプリや民間療法に頼らない:甲状腺は繊細な臓器なので、正しい診断と治療が大切です
「なんとなく疲れやすい」「昔と違う」と感じたら、それは体からのサインです。甲状腺機能低下症は血液検査で簡単に診断でき、治療で改善が見込めます。「年齢のせい」と自己判断したり、諦めたりせず、一度専門医に相談してみましょう。あなたの本当の元気は、まだ眠っているかもしれません。
日本内科学会総合内科専門医。「やさしい言葉とわかりやすい説明」をモットーに、クリニック院長として外来診療に従事。糖尿病・生活習慣病に関するセミナー・講演会も多数。ひとりでも多くの人が健康的な生活を送れるよう、役立つ医療情報を発信中。
執筆者:荒牧 昌信(医師)
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