3年間磨いた英語力より、彼女の2週間の準備が評価されたあの日に俺が気づいたこと
俺のほうが適任のはずだった
入社してから3年間、英語の勉強を続けてきました。オンライン英会話、資格試験、海外ニュースの精読。すべては海外案件を任されるための準備でした。だから上司が彼女を指名したと聞いたとき、思わず「自分のほうが適任だと思いますが」と直談判したのです。
上司は少し間を置いて「製品のことを一番理解している人に任せたい」と答えました。つまり英語力だけでは足りないと言われたのです。頭では理解できても、感情がついていきませんでした。
口をついて出た言葉
同僚に愚痴を言うつもりはなかったのです。でも休憩室で海外案件の話題になったとき、つい口が滑りました。
「英語もできないのに海外担当?」
言った直後、胃のあたりがきゅっと縮みました。けれど周囲が笑ったことで、自分の苛立ちが正当化されたような気になった。彼女がドアの向こうにいたことには、そのときは気づいていませんでした。あとから知ったとき、顔が熱くなりました。でも謝ることもできず、何もなかったふりをするしかなかったのです。
会議室で突きつけられたもの
会議当日、サポートとして同席しました。正直に言えば、どこかで失敗を期待している自分がいた。けれど彼女が配った資料を開いた瞬間とても作りこまれているとわかりました。
製品の特性が英語で正確に図解されていて、データの根拠まで丁寧に英訳してある。通訳を挟んだ質疑でも、技術的な質問への回答は的確で、クライアントは何度もメモを取っていました。
あの資料は俺には作れない。英語は話せても、製品をあそこまで深くは理解できていない。その事実を目の前に突きつけられて、喉の奥がきつく詰まりました。
そして...
会議後、クライアントが彼女に「資料がとてもわかりやすい。次もあなたと進めたい」と伝えるのを、俺は隣で聞いていました。3年間英語を磨いてきた自分ではなく、2週間で資料を作り上げた彼女が選ばれた。でも本当に足りなかったのは、彼女の英語力ではなく、俺の仕事への向き合い方だったのです。
帰り際、「お疲れさま」とだけ声をかけました。謝罪でも称賛でもない、中途半端な一言。それが今の俺に出せる精一杯でした。翌日から、俺は自分の担当製品のことをもう一度最初から勉強し直すことにしました。
(30代男性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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