「英語もできないのに海外担当?」と同僚に笑われた私→会議後にクライアントがかけてくれた一言
金曜午後の指名
上司に呼ばれたのは金曜の午後でした。
「今回の海外案件、あなたにお願いしたい」
海外クライアントとのやりとりは英語が基本です。日常会話もおぼつかない私に、なぜ。戸惑う私に上司は「製品のことを一番理解している人に任せたい」と続けました。嬉しさよりも不安が勝って、その夜はなかなか寝つけませんでした。
休憩室で聞こえた声
翌週、海外案件の担当が私だと社内に知れ渡ると、少しだけ空気が変わりました。特に同じチームの彼は、休憩室で同僚たちに向かってはっきりと言ったのです。
「英語もできないのに海外担当?」
ドアの手前で足が止まりました。笑い声がいくつか重なるのを聞きながら、マグカップの取っ手をぎゅっと握りしめました。悔しいというより、恥ずかしかった。自分でも感じていた不安を他人に笑われることが、何よりもこたえたのです。
2週間後の会議室
それから2週間、毎晩遅くまで資料を作り込みました。英語での説明は通訳を手配してもらいましたが、技術資料は自分で英訳し、図表もすべて作り直しました。
会議当日、クライアントの担当者は資料を一枚ずつめくりながら何度も頷いてくれました。通訳を介した質疑応答でも、技術的な質問にひとつひとつ答えるたびに、メモを取る手が動いているのが見えました。会議が終わったとき、クライアントが通訳を通じてこう伝えてくれたのです。
「資料がとてもわかりやすい。次もあなたと進めたい」
隣に座っていた彼の表情がこわばるのが、視界の端に映りました。
そして...
あの休憩室で笑い声を聞いたとき、辞退しようかと本気で考えました。でもそうしていたら、あの会議の景色は見られなかった。英語力が足りないのは事実です。けれど、足りないなりに準備を積み上げることはできる。
帰り際、彼がぽつりと「お疲れさま」と言いました。朝の休憩室で聞いたトーンとは、ほんの少しだけ違っていたことを、私は聞き逃しませんでした。
(30代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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