「契約社員は黙って従え」とこき使う正社員→社長賞の受賞者発表で全員が凍った
飲み込み続けた2年間
私が配属されたのは、社内でも忙しいと評判の業務推進課でした。指導役の先輩は仕事こそ正確でしたが、口癖がひとつありました。
「契約社員は黙って従え」
会議で意見を求められても、先輩が隣にいるとその言葉が頭をよぎり、口をつぐんでしまいます。会社には業務改善の提案制度がありましたが、先輩の前で手を挙げる気にはなれませんでした。資料の整理や数字の入力をこなしながら、現場で気づいた無駄をノートの端に書き留めるだけの日々が続きました。
「俺の名前で出しておく」
半年ほど経った頃、配送ルートに大きな無駄があることに気づきました。どうしても放置できず、改善案を資料にまとめて先輩に見せました。「この提案、私の名前で出してもいいですか」そう聞くと、先輩は資料にざっと目を通してからこう言いました。
「目立つと契約更新に響くぞ。俺の名前で出しておく」
反論はできませんでした。契約の立場で先輩に逆らえば、本当に更新されないかもしれない。それから5件の改善案を先輩に渡し、すべて彼の名前で提出されました。
提案が採用されるたび、朝礼で先輩の名前が読み上げられるのを、私は自分の席からじっと見ていました。拍手をしながら、爪が手のひらに食い込んでいるのに気づきました。
壇上で読まれた名前
年度末の全社集会。司会が「今期の社長賞は、業務改善提案に最も貢献された方です」と読み上げたとき、先輩がネクタイを直すのが見えました。立ち上がる準備をしているように映りました。
次の瞬間、読み上げられたのは私の名前でした。会場がしんと静まり返りました。先輩の手がネクタイの結び目の上で止まったまま動かないのが、視界の端に映っていました。
私は自分の名前が呼ばれたことが信じられず、隣の同僚に背中を押されて、ようやく席を立ちました。
そして...
あとで総務の方に聞いた話では、社長が提案書の文体に疑問を持ち、データを調べたそうです。5件すべてのファイル作成者が、私のアカウントでした。
壇上で賞状を受け取ったとき、嬉しさよりも先に胸を突いたのは、2年間飲み込んできた言葉の苦さでした。
翌朝、先輩は何事もなかったかのように「おはようございます」とだけ言いました。私も小さくうなずきました。謝罪でも称賛でもない、その温度のないあいさつが、ある意味で全てを物語っていました。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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