「抜けたら仲間外れにするから」と脅されたグループチャットを抜けたら、全員がついてきた話
抜けられないグループ
入社して半年が経った頃、先輩に誘われて部署の非公式グループチャットに入りました。業務とは関係のない、いわゆる愚痴や噂話の場です。最初は「情報交換の場」と聞いていましたが、実態は違いました。上司の悪口、他部署の社員の噂、誰と誰が揉めているといった話が毎晩のように流れてきます。
一度だけ「こういうの、ちょっとしんどいかもしれないです」と正直に送ったことがあります。すると先輩からすぐにメッセージが届きました。「抜けたら仲間外れにするから」。冗談めかした口調でしたが、目の奥が笑っていないのがわかるような文面でした。それ以来、通知が鳴るたびに胃の奥がぎゅっと重くなるのに、退出ボタンを押すことができませんでした。
通知をオフにする日々
通知をオフにしても、グループを開かなくても、未読の数字は増えていきます。朝起きると30件、昼休みに20件、夜にまた40件。読まなくても存在するだけで重い。返信しなければ「最近見てないよね?」と名指しで確認が飛んでくるのです。
同じ部署のメンバーに「正直しんどくない?」と聞いたことがあります。相手は少し間を置いて、「みんなそうだと思うよ」と小さな声で答えました。みんなしんどい。でも誰も抜けない。先輩の一言が効いているのは、私だけじゃなかったのです。
退出ボタン
ある夜、グループチャットに自分の名前が出ているのを見てしまいました。内容は些細な陰口でしたが、指先が冷たくなりました。ここにいても消耗するだけだ。もう限界でした。
震える指で「もう抜けます」と一言だけ打ち、送信してすぐに退出ボタンを押しました。翌朝、個別にメッセージが届いていました。同僚からです。「私もずっと抜けたかった」「あなたが先に抜けてくれたから」。聞けば、あの夜のうちに3人が退出し、翌朝までにさらに2人が抜けたそうです。7人いたグループに、残っているのは幹事だけになっていました。
そして...
誰かが最初の一歩を踏み出すのを、みんな待っていたのだと思います。怖かったのは私だけじゃなかった。「仲間外れにする」という言葉に縛られて、全員が我慢していた。
あの退出ボタンを押すまでの数秒間、指が震えていたことを覚えています。でも押した瞬間、胸の奥にあった重いものがすっと消えました。脅しで繋がっていたグループは、一人が抜けただけで崩れました。本当の仲間は、退出ボタンの向こう側にいたのです。
(20代女性・営業事務)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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