次世代の未来を拓く ユニクロがパリ郊外でスポーツイベント(松井孝予)
フランスは春から夏にかけて、ローラン・ギャロス(全仏オープン)、サッカーリーグ、ツール・ド・フランス(ロードレース)と、スポーツのビッグイベントが続き、観戦熱がぐんぐん上昇!そしてツール・ド・フランスがシャンゼリゼでゴールを迎えると、フランス人は一気にヴァカンスモードへ突入!、なのだが言うまでもなく2024年のオリンピックイヤーには、パリが100年ぶりの開催地として、これまでにない熱狂に包まれている。
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プロスポーツだけでなく、子供たちのフィールドも負けてはいない。ユニクロが開催したサッカーとテニスの2つのイベント。単なるスポーツの機会を提供するだけでなく、子どもたちはカラダで自分自身の可能性への期待を感じ、観戦者にとっても心に残る体験となった。
Around the World with Roger Federer
パリ中心地から約10キロメートル。メトロとトラムを乗り継ぎ、およそ1時間。そこにはパリとは全く異なる光景が広がるラ・クールヌーヴに到着した。初めて訪れる街に少し不安を覚えつつも、通りがかりの人に道を尋ねると、笑顔で親切に教えてくれた。目指すのは、公立の幼稚園と小学校が並ぶ一角にある、ユニクロが寄贈したばかりの新しいテニスコート。そこで、子どもたちを対象とした特別なレッスンが行われる。その指導者とは、なんとロジャー・フェデラー!
ローラン・ギャロスではなく、ラ・クールヌーヴのこの場所で、フェデラーがコーチとしてプレーする姿を見られるなんて、一体誰が予想できたか。しかし、それを現実にしたのが「Around the World with Roger Federer」。世界各地を巡り、アート、テニス、カルチャーをテーマに、次世代の才能を育成するこのイベントシリーズが、ついにパリ郊外にやってきた。
これまでにニューヨークや上海で開催された同イベントとは一線を画すラ・クールヌーヴ。過去2都市ではイベントのための一時的なコートだったが、今回はユニクロがコートを新設し、それを市に寄贈した。パリとその近郊で最適な場所を探し求めたユニクロが選んだのは、かつては寂れた駐車場のようだったラ・クールヌーヴの空き地だった。ここに、ラ・クールヌーヴで活動するアーティスト、カロリーヌ・デルヴォーさんが鮮やかなカラフルなデザインを施し、見事に生まれ変わらせた。この特別な塗料で彩られたテニスコートは、今後も近隣の学校や地域コミュニティの子どもたちがアートな空間でプレーできるようにという願いが込められている。
ファーストリテイリングのグローバルクリエイティブ統括、ジョン・C・ジェイ氏は、ヨーロッパ初の開催となる「Around the World with Roger Federer」の開幕式で、「スポーツ、アート、カルチャーは、子どもたちの可能性を広げるために最も必要なものです。そして、この時代において、人間らしさを育むことが非常に重要です」と力強く語りかけた。そして、「今日ここでプレーする君たちこそが本当のヒーローだ!」との呼びかけと共に、いよいよロジャー・フェデラーによるレッスンがスタートした。
ローランギャロスや旅行で、パリをよく知っているフェデラー。しかし、ラ・クールヌーヴは特別だったに違いない。フェデラーさんはイベントの開幕直前に、「パリの有名なスポットは何度も見ているけれど、ラ・クールヌーヴのような実際の街で、そこで暮らす人たちと触れ合うことができて、とても幸せです」と話していた。レッスンの後には、「次世代の子どもたちに自分の知識を伝えることができ、このイベントが彼らの成長に少しでも役立ち、インスピレーションを与えられたら嬉しいです。テニス、アート、そしてカルチャーを祝う素晴らしい経験でした」と笑顔で語ってくれた。
ユニクロは、地域に密着したイベントの展開に力を入れているが、その規模もどんどん大きくなっている。場所選びからコートの設営、そして現地スタッフや自治体との見事な協力体制まで、今回のラ・クールヌーヴでのイベントでその着実な成果を実感した。
もし私が子どもの頃にこんなイベントに参加していたら_
そう思ってしまうのは、私だけだろうか。
JFAユニクロサッカーキッズ in フランス
パリ郊外のクレールフォンテーヌ市のサッカー競技場で、「JFA(公益財団法人日本サッカー協会)ユニクロサッカーキッズ in フランス」が開催されました。このイベントは、ユニクロが特別協賛し、子どもたちにサッカーの楽しさを体験してもらうことが目的。今回は、元日本代表の内田篤人さんがキャプテンとして現地の子どもたち約120名と共に、サッカーを楽しんだ。
会場には、スペシャルゲストとして元フランス代表のクリストフ・デュガリーさんや、日本に縁のあるサッカー指導者のフィリップ・トルシエさんも参加。彼らの姿を間近に見た子どもたちからは、「テレビで観ていた人だ!」と歓声が。子どもたちの当然のリアクションながら、やっぱり面白い。
イベントのハイライトとなった5人制ミニサッカーフェスティバルでは、内田篤人さんが子どもたちと共にピッチに立ち、白熱した試合が繰り広げられた。内田さんは、「サッカーで一番大切なのは、楽しむこと!」と声を掛けながら、子どもたちと積極的にプレー。子どもたちは内田さんのアドバイスに応えるかのように、笑顔で元気いっぱいにピッチを駆け回り、転んでもすぐに立ち上がり、仲間同士で励まし合う姿が印象的だった。その情熱あふれるプレーには、スポーツの素晴らしさが詰まっていて、観ている人々にも感動が伝わる瞬間だった。
イベント後には、ファーストリテイリングの柳井康治氏とJFA会長の宮本恒靖氏へのインタビューが行われた。
柳井氏は、「子どもたちが元気にプレーし、互いに励まし合う姿が印象的でした。スポーツを通じて健やかな精神を育むことが、このプロジェクトの目的です」とコメント。宮本会長は「20年ぶりに訪れたパリで、子どもたちが楽しそうにプレーする姿を見られて嬉しかった」「技術と体力の向上だけでなく、それを支える強い心を育てることが大切です」と、次世代へのメッセージを贈った。
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松井孝予
(今はなき)リクルート・フロムエー、雑誌Switchを経て渡仏。パリで学業に専念、2004年から繊研新聞社パリ通信員。ソムリエになった気分でフレンチ小料理に合うワインを選ぶのが日課。ジャックラッセルテリア(もちろん犬)の家族ライカ家と同居。
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