都内マンションのベランダで落とし物の「大トカゲ」見つかり話題 専門家は「過酷な環境にいた」と指摘
都内マンションのベランダに迷い込んでいた大型トカゲを警察が保護し、爬虫類専門店が一時預かりを報告。発見時の環境について「トカゲにとっては非常に過酷」と説明する。
「落とし物」と聞くと、財布やスマホなどを連想する人が大半だろう。
しかし現在X上では、都内の某マンションにて発見された「意外すぎる落とし物」が話題になっているのをご存知だろうか。
落とし物はまさかの「大トカゲ」
今回注目したいのは、爬虫類や爬虫類用品に特化した専門の買取店「買取KING」のXアカウントが12日に投稿したポスト。
https://twitter.com/king_kaitori_ST/status/2054032852841578556?s=20
「巣鴨警察署から落とし物で、レッドテグーを預かっております。元気で餌も食べておりますので、いち早く飼い主様が見つかることを願っております。もし心当たりがある方がいましたら、巣鴨警察署までご連絡お願い致します」と綴られた投稿には、小型犬ほどの大きさをした真っ赤なトカゲが抱き抱えられた写真が添えられていた。

トカゲはつぶらな瞳をしており、かなり人慣れしている印象を受ける。
「レッドテグー」ってどんなトカゲ?
風変わりな「落とし物」は瞬く間に話題となり、Xユーザーからは「ずいぶん立派な落とし物ですねえ...」「こんな立派な体格の子を捨てるのは流石にないと思うので、脱走だろうか」「元気で賢そう、早く飼い主さんの元に戻れますように!」など、様々な声が寄せられていた。
そこで今回は、ポストを投稿した買取KINGに、詳しい話を聞いてみることに。
取材を快諾してくれた買取KING代表者は「5月8日、豊島区・巣鴨警察署より『マンションのベランダに大型のトカゲが迷い込んでいると通報があり、保護した』と、緊急の相談をいただきました」と、振り返る。

警察署内には爬虫類を適切に管理できる設備が無く、専門知識も無いため、長時間の保管は生体の命に関わる危険性がある。そのため、全国から爬虫類の引き取り実績がある専門店として、同店へ一時預かりと健康状態の確認の要請が入った、というのが今回の経緯だという。
今回発見されたレッドテグー(Salvator rufescens)は、主に南米(アルゼンチン、パラグアイ、ボリビアなど)の森林や低木林、草原に生息する大型のトカゲ。成長するとその全長は100〜140cmほどに達するそう。
買取KING代表は「日本の爬虫類愛好家の間では非常に人気が高いものの、流通量は決して多くはなく、希少性の高い種類に分類されます」「特に今回保護された個体のように、成体に近いサイズで人間を怖がらず『ベタ慣れ』している状態にまで育てるには、広い飼育スペースと徹底した温度管理、そして何より多くの時間と愛情が必要です。そのため、愛好家の間では非常に価値のある存在として扱われています」と、日本におけるレッドテグーについて説明してくれた。
その生態については「その名の通り、成長するにつれて赤みが強くなる美しい体色が特徴です。また知能が非常に高く、爬虫類の中では珍しく『犬のように人によく懐くトカゲ』としても知られています。食性は雑食性で、野生下では昆虫や小型哺乳類、果物などを幅広く食べています」と、説明している。
発見当日は「トカゲに過酷な環境」
このように「人と生活しやすい生き物」ではあるが、それは決して「人間の環境に適応している」とイコールではない。
発見当時の状況について、買取KING代表は「発見された5月8日は、5月としては比較的落ち着いた気候ではあったものの、朝晩の寒暖差や、吹きさらしのベランダは、変温動物であるトカゲにとっては非常に過酷な環境です」と、説明する。
実際、保護された直後は体温が著しく低下しており、じっと動かず非常に大人しい状態はもはや「衰弱」に近かったという。
そこで買取KING店内の温度・湿度を徹底管理したケージに移して体を温めたところ、徐々に本来の活気を取り戻していく。

買取KING代表は「目立った外傷や衰弱の痕跡はなく、現在はスタッフの手から直接エサを食べるほどに落ち着いています。こうした様子から、元の飼い主様によって非常に大切に、愛情深く育てられていた『人馴れした個体』であることが伺えます」と、コメントしていた。
そんな買取KINGでは、事情により「どうしても飼いきれなくなってしまった」生き物や、眠っている飼育用品を日本全国から買取・引き取りを行っている。
買取KING代表は「私たちの最大の強みであり使命は、単に物品を流通させるだけでなく、お預かりした生き物や用品を確実に『次の飼育者様へと受け継ぐ』橋渡しをすることです」と、語る。
この循環を作ることで、生き物の野外への廃棄(遺棄)を未然に防ぎ、地域の生態系や環境を守る社会的責任(生命の保護)を果たしているのだ。

代表者は「今回の巣鴨警察署からの緊急保護要請に迅速に対応できたのも、全国から多様な爬虫類を受け入れてきた確かな知見と、万全の飼育設備が整っている専門店だからこそです」と、力強く頷いていた。
人間との絆の深さが伺えるレッドテグー、後は飼い主の迎えを待つだけだが...。悲しいことに、本件に関する「人間の醜さ」が浮き彫りとなっているのだ。
「飼い主」を名乗る人物が続出か
14日、買取KINGのXアカウントは「巣鴨警察署に『私が飼い主です』と名乗っている皆様へ」と宛てたポストを投稿。
その内容は「警察署内部が非常に混乱しております。飼い主以外へお返しすることは法的にできないのは勿論、嘘付いてまで引き取ろうとするなど爬虫類愛好家のポリシーに反しております。 私たちは無事に飼い主さんの元へと帰ることを望んでいます」というものであった。
https://twitter.com/king_kaitori_ST/status/2054839059122676126
前出の通り、希少性が比較的高いレッドテグー。加えて、写真からも分かるかわいらしさと、人慣れした様子から「飼い主」を名乗る人物からの連絡が多く寄せられているのだろう。
これは人間と動物の間に結ばれた「信頼」という絆を損なうだけでなく、「レッドテグーを家に帰してあげたい」という純粋な気持ちで動いている全ての人々の協力を阻害する、極めて悪質な行いである。このような恥ずべき行為は、厳に謹んでほしい。
執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。道路・鉄道ネタに関する取材で、国土交通省や都道府県警、全国の道路事務所、鉄道会社に太いパイプを持つ。
(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)
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