一億総わんわん社会の日本…犬だと思って飼い始めたきつねの思わぬラストに「良い話」と感動の声【漫画】

2025.05.07 08:30

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回ピックアップしたのは、SNSなどに創作漫画を投稿しているきつねねねさんの『きつねいぬきつね』だ。

同作は、少年が偶然出会ったきつねを犬だと思い込み、犬として飼い始める様子を描いた一作。X(旧Twitter)にポストされると、1.8万もの「いいね」が寄せられている。そこで作者のきつねねねさんに、同作を描いたきっかけについて話を伺った。

犬と思って飼い始めたきつねがラストで大活躍？

――舞台となるのは“一億総わんわん社会”の日本。犬を飼わないだけでも、周りから蔑まれる傾向にあり、実際に犬を飼っていない子どもはイジメの対象になることもあるそうだ。

道端できつねと遭遇したある少年。「わんちゃんだ！」と喜びながら家に連れて帰り、さっそく犬小屋のリードにきつねをつなぐ。少年いわく、同級生に「犬を飼っている」と嘘をつき、さらに1週間後に犬を見せる約束もしてしまったとのこと。

その後、少年は「コン」と名づけて芸を指導するも、終始やる気のないきつね。そして、強引に散歩に連れ出された道中、犬の散歩をしている飼い主に「それ狐じゃない？」と指摘される。少年は家できつねについて調べた結果、ようやく目の前にいる動物がきつねであることを自覚。それでも「でも可愛いからオッケー！」と開き直るのだった。

そして、同級生に犬をお披露目する約束の日。案の定、周りから「狐じゃねえか」「犬の劣化版だろ」とバカにされてしまう。予定通りに“懐き度対決”が行われ、少年は諦めながらもコンに「お手！」と言ったところ、素直にコンは前足を少年の手のひらに乗せ…。

少年とコンによる物語に、読者からは「普通に感動した」「お手の表情が最高に可愛かった」など好評の声が続出していた。

創作のきっかけは所属している漫画研究会での企画

――『きつねいぬきつね』を創作したきっかけや理由があればお教えください。

私は大学で漫画研究会という漫画を描くサークルに所属しています。そこで「きつね」というお題で漫画やイラストを描く企画が行われたことがあり、お題に合うように話を考えたのがきっかけです。

――描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい！」というポイントがあれば教えてください。

このストーリーは起承転結を意識する、という目標で作りました。多少展開はベタですが、それでも楽しんで読んでもらえるように工夫しました。例えば「一億総わんわん社会」といった設定が、犬を無理してでも飼いたい心情への理由付けになっていたり、芸を教えるシーンが懐き度対決への伏線になっていたりと、前半のシーンを通じて、登場人物(動物)の性格や世界観を自然に伝えることを意識しました。

また、ある漫画研究会の部員から「これはヒロインがきつねのラブコメだ」と感想を受けて、腑に落ちました。ツンデレのラブコメとして楽しんでいただけたら嬉しいです。

――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共に教えてください。

男の子が作った犬小屋にきつねが寝るシーンがお気に入りです。実は元々このシーンはなく、代わりにきつねがこっそりドッグフードを食べ、想像以上に美味しくて好物になる、というシーンがありました。前半のキツネがツンツンしすぎているように見えたので、少し心を許していることを伝えるためのシーンでした。

しかし、今の犬小屋のシーンに差し替えたことで、男の子は「犬を飼ってないといじめられるから」という理由だけで飼っていないこともさりげなく伝えることができたと思います。また、ドッグフードのシーンはギャグ寄りでしたが、犬小屋のシーンにすることで、キャラクターの心情をより自然に描けたと思います。

――今後の展望や目標をお教えください。

漫画作りはこれからも趣味として続けていきたいです。定期的にコミケなどのイベントに参加し、より多くの人に楽しんでもらえる作品を描いていけたらと思っています。

――読者へメッセージをお願いします。

BOOTHにて『きつねいぬきつね』同様、動物が主人公のオリジナルの同人誌を2つ売っています。こちらも自信作なのでぜひチェックしてみてください！