「グッド・アメリカン・ファミリー」は、毎週水曜にディズニープラスで独占配信中

“グレアナ”エレン・ポンピオ、20年ぶりに挑む“新しい役” 最新作で養女の脅威にさらされる児童教育のオーソリティーに<グッド・アメリカン・ファミリー>

2025.04.07 11:10
「グッド・アメリカン・ファミリー」は、毎週水曜にディズニープラスで独占配信中

珍しい低身長症の少女を養子に迎えた実在の夫婦から着想を得たドラマシリーズ「グッド・アメリカン・ファミリー」(全8話)の第4話が4月2日に配信された。同作は、「グレイズ・アナトミー」で知られるエレン・ポンピオが主演・製作総指揮を務めており、彼女にとって“20年ぶりの新しい役柄”に挑戦していることでも話題を呼んでいる。今回は幅広いエンタメに精通するフリージャーナリスト・原田和典氏による独自の視点でのレビューを送る。(以下、第4話までのネタバレを含みます)

「グッド・アメリカン・ファミリー」とは

アメリカに暮らすバーネット夫妻は、先天性小人症である7歳の少女ナタリア・グレース(イモジェン・フェイス・リード)を養子に迎えることに。3人の子と一緒にナタリアを育て始めた夫妻だったが、次第に彼女の年齢や生い立ちに謎が浮上し、夫婦は彼女の正体を疑いだす。やがてバーネット夫婦は脅威となってしまった娘から家族を守るべくナタリアにつらく当たるようになり、物語は思わぬ方向へ向かう――という作品だ。

どこが“良きアメリカ人一家”なんだ?「A family being destroyed(崩壊していく家族)」の間違いじゃないのか?と、つい声が漏れてしまう。第4話はナタリアを“自立”させ、「今後は少し穏やかな展開になるのでは」と予感させるようなシーンで終わったが、油断はできない。何しろまだ全8話中の第4話、つまり後半に入ったところだから。

悪夢はマイケル(マーク・デュプラス)とクリスティン(ポンピオ)のバーネット夫妻が持っている「善意」から始まった。彼らはアメリカ中西部の一軒家に3人の息子と暮らしている。見た感じ、平和で穏やかな、経済的にも恵まれた家庭。

妻のクリスティンは児童教育に関するオーソリティーでもある。夫妻は「ファースト・パス・アダプテーション」という養子縁組をコーディネートする(いささか怪しげな)事務所から、一人の女児を養子として迎え入れる。名前はナタリア・グレース、年齢は7歳。低身長症であること、脚が不自由なので歩行器を使うこと、以前にも養子縁組をしたことがあるがそのときはうまくいかなかったこと、などを知らされても、バーネット夫妻にとって問題ではなかった。他の子どもたちと同じように、愛を持って接すれば問題なかろうと思っていたのだ。

「本当のママじゃないくせに」

だが、このナタリア、一癖も二癖もある「子ども」で、愛をストレートに受け入れたりはしなかった。マイケルには親しみを持って接するものの、クリスティンに対しては「本当のママじゃないくせに指図しないで」となぜか敵意をむき出しにする。「娘が“パパにあんまり近づかないで”と母をライバル視する」というファーザー・コンプレックスのパターンとも趣が異なる。

思い通りにいかないことがあれば暴れる、吠える、叫ぶ、やぶれかぶれになる。スタスタ歩く。自分の勝ち目がないと分かると、とっさに表情を変えて「こびる」。7歳の子が、ここまで器用に二面性を出せるものだろうか? そもそも、この“少女”は何者なのか…。

ナタリアの“闇”が暴かれる

手に負えないこの“少女”ナタリアのせいでバーネット夫妻の関係もギクシャク。それからナタリアの「闇」が暴かれていく。まず、子どもではなかったようだ。7歳のはずが二次性徴の兆候もある。ナタリアという名前も偽名であるとのこと。

テレビ局の取材を受けているクリスティンに心理的恐怖を与えたり、運転中のクリスティンの目を両手で覆ったり、食器を洗うと称して洗剤を飲み物に入れたり、息子の大事にしていた玩具を車の通行量の多い道路に放り投げて、慌てて取りに行こうとする彼を傍観したり(轢かれればいいと思っている)、マイケルに「みんな死んでしまえばいい」というニュアンスのことを言ったり…。

血がつながっていないとしても、ナタリアにとってバーネット一家は「今の家族」であるに違いないのに、それを、「恩をアダで返す」という下劣な言葉が薄っぺらく思えるぐらいの態度で、ぶち壊そうとしている。

どうしてここまで恨むのだろうか、なぜその矢がマイケルには向けられないのか。それが第5話以降で明らかになっていきそうなので、物語への関心はさらに募る。第4話まではクリスティンの視点からの筋書きだったが、後半はナタリアからの視点が登場するのだろう。

ということは、彼女の生い立ちや、なぜここまでゆがんでいったかが明らかになっていくだろうし、クリスティン目線で紹介された1~4話までのナタリアの異常行動についても、果たしてどこまでが真実だったのか、クリスティン側の誇張や思い込みがあったのかなかったのか、視聴者にも再考の機会が与えられるはずだ。

「グレアナ」エレン・ポンピオが挑む新境地

本ドラマが実話を基にしたものである、ということを知って私は背中がゾッとしたままだが、バーネット夫妻はもっとゾッとしたに決まっている。外では児童教育のオーソリティーとして振る舞い、家の中では養女の脅威にさらされるクリスティンに扮(ふん)したのは、アメリカが誇る長寿医療ドラマシリーズ「グレイズ・アナトミー」の主人公を長年務めたポンピオ。

これまでディズニー・レジェンド・アワード、ピープルズ・チョイス賞などを獲得、ゴールデングローブ賞にもノミネートされたことがある実力者だ。今でこそ“グレアナ”のメレディスの印象がとても強いが、同ドラマシリーズに出演する前は、ジェイク・ギレンホールが主演の映画「ムーンライト・マイル」やレオナルド・ディカプリオ主演の映画「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」(どちらも2002年)などに出演し、当時まだ若手俳優だった彼らと共に着々とキャリアを積み上げていった。

そして2005年から「グレイズ・アナトミー」でメレディス・グレイを快演し、現在に至っている。

今回の「グッド・アメリカン・ファミリー」はポンピオにとって、「グレイズ・アナトミー」のメレディス・グレイ以外の新しい役柄は20年ぶりだとか。主演のほか、製作総指揮を務めていることからも、この作品に関する彼女の並々ならぬ意気込みが伝わる。

自らも3児の母であるポンピオにとって、クリスティンと彼女にまつわる事柄は、決して看過できぬものだったと思われる。第5話以降、物語の「予測のできなさ」がさらに加速していくことだろう。

「グッド・アメリカン・ファミリー」は、毎週水曜に新エピソードをディズニープラスで独占配信中。

◆文=原田和典

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