人気者な彼氏に用意したチョコが他人と被ってしまった…起死回生の作戦を打つもトラブル続出な話に「甘いバレンタインだなあ」の声【漫画】

2025.04.01 08:40

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、3月7日に宮世琉弥主演、久間田琳加共演で実写映画化された『顔だけじゃ好きになりません』(白泉社刊)の原作漫画を紹介する。同作の作者である安斎かりんさんが、2月14日にX(旧Twitter)に「人気者にバレンタインチョコあげるときの注意点」とコメントを添えて本作を投稿したところ、9000件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、安斎かりんさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。

バレンタインデー当日に痛恨のチョコ被りに気付いてしまう

知見才南はバレンタインデーに恋人である宇郷奏人へチョコを渡すため、理想の色やコンセプトの商品を買って準備していた。しかし人気インフルエンサーである彼の下駄箱には大量のチョコが詰め込まれており、なかには才南と同じチョコも。それでも奏人は「才南からまだもらってないんだけど」と恋人からのチョコをせがむのだが、“被り”が気になってしまう才南は「用意するのを忘れました」と必死に誤魔化す。

そんな彼女がどうにかこの場をしのぐため絞り出した答えは「逆バレンタイン企画」。奏人に簡単な手作りお菓子をつくってもらい、彼を応援してくれているファンへお返しをする。そしてその間に才南もこっそりとお菓子を作って渡す…という一石二鳥な動画企画だった。

完璧な企画のように思えた作戦だったが、そもそも手先が不器用で上手くお菓子を作れない才南。また動画企画のはずなのに撮影していない彼女を、奏人が不審そうに探り始める。彼に失敗したお菓子は渡せないと必死に隠す才南だったが、焦るあまり友達にあげたチョコの予備があると口を滑らせてしまう。「俺は貰ってないのに？」と強力な圧で迫る奏人に、才南はさらなるドジを重ね…。

このバレンタインデーのラブコメディを描いた漫画を読んだ人たちからは、「最高に少女漫画してる」「迫られる展開キュンとする」「こういうバレンタインもいいね」「甘いバレンタインだなあ」など、多くのコメントが寄せられている。

胸がキュンとする作風に込められた「掟」

――本作ではバレンタインの甘酸っぱいドキドキするストーリーが描かれていました。お話の発想の源はどこだったのでしょうか？

顔好きはまとまった章と章の間に気楽に読める単発の息抜きのような回を入れるよう構成していて、そうした物語としてのタイミング、作中の季節のタイミングからバレンタインというイベントが丁度良かったので採用しました。そこから奏人と才南らしいバレンタインはどんな感じだろうか？と掘り下げていきました。

――本作では、先輩が後ろから抱きつき一緒にバレンタインのクッキーを作るシーンが非常に印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい！」というポイントがあればお教えください。

せっかくのバレンタインという恋人同士の甘々イベントなので、イチャイチャしながらクッキー作りをしてもらうべく色々考えました。企画としてのクッキー作りにテンションが上がって奏人の気持ちそっちのけな才南と、最初は嫌がりつつもなんやかんやちゃんとお菓子を作ってくれる奏人のコント感が描いていて楽しかったです。

――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。

この回を読んでくれた作家友達が、「恋人らしくって特別扱いするってことだ」のシーンを画面がオシャレでかつモノローグも素敵だ！と、ものすごく褒めてくれて驚きました。私自身はそこまで意識して描いていなかったので(描いている最中は締切に向かって必死なので)、そのぶん嬉しかったです。なので、この回のお気に入りはすっかりこのページになってしまいました。

――ストーリーを考えるうえで気をつけていることや意識していることなどについてお教えください。

顔好きは読んでいる人に楽しくて、あたたかく幸せな気持ちになってほしい作品として描いているので、なるべくその状態をキープ出来るよう気をつけています。物語的な凹みはあっても、割とすぐリカバリーしたり、嫌なキャラクターが出てこなかったりなど。何より読者さんにキュンキュンして欲しいので、そのためのキュンキュンシーンを忘れないことです。初代担当さんの教えで、「10Pに1回はキュンシーンを入れる」という掟をなるべく守ろうと努力してます。

――安斎かりんさんの理想的なバレンタインシチュエーションなどをお教えください。

ここ数年は夫にしかチョコをあげていなかったのですが、今年はタイミング的にちょうど良く大人数にチョコを渡す機会があって。自分としてはそれでイベントが完結しているつもりだったところに、ちゃんとホワイトデーに皆さんお返しのお菓子をくださってときめきました。同時に、学生時代のチョコのやり取りって楽しかったなあと思い出し…。理想のシチュエーションは、学校での本命かどうか分からない中でチョコのやり取りをするドキドキですかね。楽しいですよね。

――今後の展望や目標をお教えください。

顔好きがクライマックスに突入しつつあるので、今は無事に顔好きを駆け抜けることがひとつ。夢だったメディアミックスも叶えることが出来て本当に恵まれた作品だったなと思います。心残りもなく、連載が終わったら少し休もうかと思っていたのですが、いざその時が近づくと、ここ最近は新作を描きたくなってしまってうずうずしています。もうひとつ不定期連載しているBL作品の『俺の唇が狙われています』も続きが描きたくてしょうがないです。

――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします！

顔好きは今年で連載5年目になります。巻にして14巻。決して短くはない漫画を追いかけるだけでもすごいことなのに、こんなインタビューまで読んでくださって…。心からありがとうございます。顔好きは私にとってもとても大切な作品になりました。最後まで気を抜かずに向き合って描き切りたいと思っておりますので、一緒に奏人と才南の行く末を見守っていただけたら嬉しいです。これからもどうぞよろしくお願いいたします！