松たか子、多部未華子・松坂桃李・星野源らとの共演を振り返る「“ただいることのできる”俳優さんたち」<スロウトレイン>
松たか子が主演を務める新春スペシャルドラマ「スロウトレイン」(夜9:00-11:15、TBS系)が1月2日(木)に放送される。同作は、脚本・野木亜紀子×演出・土井裕泰による完全オリジナル作品で、鎌倉で暮らすきょうだいの姿を通して“家族の在り方”を描く、新時代のホームドラマ。
3きょうだいの長女・渋谷葉子を松、次女・都子を多部未華子、末っ子・潮を松坂桃李が演じる他、面倒な作家・百目鬼見役の星野源、飲食関連の投資会社で働く青年・オ・ユンス役のチュ・ジョンヒョクらが出演する。
このたび、WEBザテレビジョンでは、フリーの編集者で結婚はしておらず、渋谷家の家長として鎌倉の実家に暮らす葉子役の松にインタビューを実施。役との共通点や共演者の印象、自身の人生における分岐点などを聞いた。
「自分が演じて説得力を持たせられるか」
――まずは、オファーを受けた際のお気持ちをお聞かせください。
土井監督にはTBSの連続ドラマで大変お世話になっていて、その土井さんの卒業制作ということで声を掛けていただき、すごくうれしかったです。野木さんの脚本は初めてでしたが、すごく面白くて感動したと同時に、葉子が地に足のついたしっかり生きている人なので、自分が演じて説得力を持たせられるか、すごく難しいなと思ったのを覚えています。
特別大きな事件や裏切り、大どんでん返しみたいなものがあるわけではないですが、とても感動して、こういうドラマに参加できることはとても幸せだなと思いながら、撮影を待っていました。
――渋谷葉子というキャラクターは松さんに当て書きされたということですが、役とご自身との共通点はありますか?
野木さんが描いたイメージと違うかもしれませんが、葉子は、きょうだいや周りの職場仲間から見れば、“いろいろ背負って大変ね”と思われるような女性です。ですが、本人はそんなことは百も承知で、どう今日を生きようかと転換していけるような人かなと思います。
こうすればうまくいくという正解を目指す人というより、壁に当たったらあっちこっち模索しながら今日なり明日なりを生きようとする人で、それはすごく共感できるし、もしそういう人を私が演じるとなったことで、野木さんなり土井さんが、イメージが膨らむと思ってくださるとしたら、私自身もそうありたいなと。
なかなかそんなに強くはいられないですが、自分の置かれている状況を誰かに“分かってほしい”とうまく言える人ではないというか。それを分かっていて、“どうする?”と自問自答する人。そこは共感できるところではありました。
でも、百目鬼さんや、井浦新さん演じる目黒時生さんなど、彼女にも話を聞いてくれる人はいるんですよね。そういうところはすてきだなと思いました。
多部未華子と松坂桃李は「“ただいることのできる”俳優さんたち」
――多部さん、松坂さんの3人できょうだい役を演じられましたがいかがでしたか?
多部さんとは映像での共演は初めてですし、松坂くんとも共演は初めてで。多部さんは舞台で結構長丁場一緒だったのですが、意外に関わるシーンが少なかったんです。ドラマで改めてご一緒できて、きょうだい役だし楽しみだなと思っていたら、蓋を開けたら都子はすぐに釜山に行ってしまうという(笑)。
なので、私は松坂くんと共に行動することが多かったのですが、2人とも本当に最高の妹であり、最高の弟でした。撮影中も3人で「この場面どうしましょう」みたいなことを話した記憶がないんです。話す必要がないぐらい、お二人とも“ただいることのできる”俳優さんたちなので、居心地がよく、楽しかったです。
――絆が深まった出来事はありますか?
本当に無理しなくていいお二人だったのですが、多部さんと松坂くんのほうが年齢もほぼ一緒なのに全然話さなくて(笑)。全然話さないな、仲悪いのかなと思って多部さんにそっと聞いたら、「なんなら恋人役・夫婦役もやったこともあるし、全然仲いいですよ」と言われて、「言ってよ!」みたいな(笑)。普通に話したりもするし、黙っていることもできる、そういう二人なんだと思って。仲悪いのかなと思っていたら、全然そんなことありませんでした(笑)。
あとは、釜山ロケがあって、これがなかなか晴れない。ロンドンかというぐらい曇りと雨で、みんなで辛抱強く撮影をしなくてはいけなくて。待ち時間も多かったので、そういうときになんとなく絆が深まったような気がしますね。
松坂くんとたまたまInstagramの話になって、「やってないんだね」「はい」なんて言っていたら、その数日後にInstagramを開設していて。しかも釜山の写真から上げていて、あのとき始めるとか何も仰っていなかったのにどういうこと?みたいな(笑)。そしたら「言いづらくなっちゃいました」と言っていました(笑)。
そんなこともあったりして、みんなで楽しく待つことができました。釜山での浜辺のシーンも、3人で会話をするのが楽しかったですね。ただ歩いているだけなのですが、本当に楽しくて、すてきなきょうだいだなと思いました。
――星野源さんとの共演はいかがでしたか?
星野さんともお芝居をするのは初めてで、いつも年末に他局の“某アワード”でお会いする人という感じで、知っているようで知らない方だったので楽しかったです。
百目鬼先生とのやり取りは、本当はこの2人がものすごく相性がいいんじゃないかなと思うぐらい、感覚とか物の見方とか、会話のテンポとか、キャッチボールが楽しい関係でした。星野さんは、野木さんのドラマも経験されていて、野木さんのムードをよく分かっていらっしゃる感じがしたので、とても安心感がありました。
連続ドラマ初出演時の心境「自分自身が広がり、ほぐれた」
――三者三様のきょうだいに人生という旅路の分岐点が訪れる本作にちなみ、ご自身の人生における分岐点はどんなときだったか、またそのときの心境を教えてください。
私は連続ドラマに初めて出演させていただいたのが、「ロングバケーション」(1996年、フジテレビ系)というドラマで、当時18歳でした。舞台が目標でこの仕事を始めたようなところがあったので、当時の私は当然舞台をやりたいと思っていたのですが、「連続ドラマも一つのチャンスだよ」と言われて、「じゃあやらせていただきます」と出たんですね。
だから、あのときあのドラマに出ていなかったら、また違うお芝居の勉強の日々があったと思うし、あれがあったおかげで自分自身が広がったというか、ほぐれた部分もあるし、分かれ道だったなと思いますね。
自分の考えだけで決めるものではないなと思って。いろいろな人の一言だったり、そのレールに乗るか乗らないかでも変わる。それを分岐点と言うのかは分からないですが、一つの選択だったなと思っています。
――新春スペシャルドラマということで、松さんご自身の定番のお正月の過ごし方を教えてください。
お正月は東京でじっとしていることが多いです。今のところお正月にどこかに旅行したことはないですね。うちの家系が歌舞伎をやっていて、1月2日が大体初日なんですね。なので、お正月にどこかに行くという考えが元々ない家で育ったので、初詣もしたことがなかったです。結婚して子どもが生まれてから、近所の神社に初詣をしたぐらい。
でも、お正月の東京って人も車も少なくて、私はとっても好きで。静かだし、空気がきれいで、もしかしたら一番好きかもしれない。なので、東京にいるのは結構好きです。
――最後に、2024年の振り返りと2025年の目標を教えてください。
ここのところ私は舞台を1年に1本程やっていたのですが、2024年はなかったんです。ドラマや映画の1年で、それぞれいい出会いもあり楽しかったですが、一つ作品が終わると、舞台をやりたいなと思う。そう思うことを再確認した年でもありました。
2025年は後半に舞台があるので、元気に過ごせればいいなと思います。健やかに仕事をしたいなと。こういう宣伝活動やお芝居ではない活動も2024年後半は多くて、そういうときこそ健やかにいたいというか。そして、2025年後半の舞台に、元気に臨めたらいいなと思っています。
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