“美味しい”の一言で諦めた夢が再燃する…カフェ再建へ向けて挑む焼き菓子職人と少女の物語に「キュン」「刺さった」と大反響【作者インタビュー】

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、情熱を込めた焼き菓子を作る主人公と少女の心温まる日常コメディが面白いと話題の「接客が下手すぎるパティシエの話」をピックアップ。本作はウルトラジャンプに連載中の「ベイク・ベイク・ベイク」(集英社)の第1話目(出会いのマドレーヌ)と第2話目(思い出じゃないホットケーキ)に該当する。また、作者の吉近イチさんは、他に「寒がりに雪」(芳文社)を公刊しており、現在はコミックシーモアで「転生インフルエンサーは偏屈魔法使いをバズらせたい」(Seed Project)、マンガMeeに「ストップモーション・サマー」(集英社)を掲載している。

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吉近さんが2024年11月19日にX(旧Twitter)に投稿したところ、6万7000件を超える「いいね」を獲得し、「キュンときた」「素敵な漫画」「甘いもの食べたくなっちゃった」「めっちゃ面白かった」「この漫画刺さった」など多くの反響が寄せられた。本記事では、吉近イチさんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについて語ってもらった。

誰も言ってくれなかった「美味しい」を口にして満面の笑みをこぼすみくる

羽澄トロ(24歳)は焼き菓子専門店を開業するも、怖い見た目が原因で客足が伸びず廃業する。そんな日に、ある女子高生が訪れ、接客の重要性を指摘し焼き菓子を持ち去る。その後、羽澄は神社の祠で彼女と再会。彼女は中学生時代に羽澄が焼き菓子を食べてもらった少女・みくるだった。羽澄は、10年間お菓子を供え続けた理由が誰にも焼き菓子を「否定されたくない」という思いからだったことに気づかされる。みくるの「美味しい」という言葉と笑顔で、諦めかけていた「世界中の人間が俺の焼き菓子を好きになりますように」という夢を思い出す。

トロの店が廃業後、みくるは叔父の古民家カフェの再建を依頼。羽澄は焼き菓子を持参するが、叔父は「再開する気はない」と手紙で告げる。幼少期にカフェが居場所だったと語るみくるのため、羽澄は「もう一度報われたい」と奮起。カフェを片付け、「一緒にカフェをやろう」と提案する。新しいホットケーキを食べさせた羽澄は「思い出も良いけど、俺のお菓子も良いだろ」と宣言。みくるは再び店長を説得する決意を固めたその時、店長が帰ってきて…。

甘い焼き菓子にこだわる羽澄とみくるの、厳しい現実を乗り越えようとする2人の“おかし”コメディに、SNS上では「いい匂いがする漫画」「幸せになってください」「甘党男子好き」「めっちゃ好き」「惹かれる」「買って読みたい」「トロくんが『みくるさん』って呼ぶのがめちゃいい」など、多数のコメントが寄せられ、反響を呼んでいる。

「みくるは可愛さだけじゃなくて、ここぞという表情の中にかっこよさや強さが見えるようにこだわっています」作者・吉近イチさんが語る創作の裏側とこだわり

――「接客が下手すぎるパティシエの話」(「ベイク・ベイク・ベイク」)のモチーフはどのようにして生まれたのでしょうか。

毎日の生活の中で、休憩にお菓子を食べるような感覚で読んでいただけるような漫画が描けないかと思ったのがこの作品が生まれたきっかけです。

――本作ではストーリー構成上、おいしそうな焼き菓子と無骨な主人公が対比的に描かれています。表現上、工夫された点はどこでしょうか。

対人関係は苦手なトロですが、焼き菓子に向ける丁寧さや熱量が絵から伝わるようにと焼き菓子の作画は気合いを入れています。モノクロでも少しでも美味しそうに見えるように焼き色部分を強めに描き込むなど…日々模索中です。

――女子高生・みくるが魅力的に描かれています。本作を描く上で吉近さんがこだわった点がございましたら、教えてください。

みくるは可愛さだけじゃなくて、ここぞという表情の中にかっこよさや強さが見えるようにこだわっています。トロと並んだ時にトロに負けないくらいの強靭なオーラが醸し出しているのが理想です。

――本エピソードで、吉近イチさんお気に入りのセリフやシーンなどがございましたら教えてください。

1話目の見開きでトロがお願いごと＝自分が本当にやりたかったことを思い出すシーンです。落ち込み切ってここからまた始まるんだというトロにとって大きな区切りとなる場面なので、読んでいただいた方にもどこか吹っ切れたような清々しさを感じていただけたらと思います。

――本作で読者に注目してほしい点などがありましたら、お聞かせください。

今回の1・2話は勿論ですが、今後もいろんな焼き菓子やキャラクターが登場する予定なので注目して見ていただけたらと思います。あとはトロの変顔も見てください。

――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へメッセージをお願いします。

「ベイク・ベイク・ベイク」をお読みいただきありがとうございます。少しでも興味を持っていただき本当に嬉しいです。おすすめの焼き菓子があれば教えてください。よろしくお願いします！