吉川晃司、40周年ツアー“ファイナル”日本武道館でシンバルキック「今年は還暦にしかできないことをやろうと思っています」

2025.02.11 07:30

吉川晃司が、デビュー40周年ツアーのファイナル公演を2月8日、9日に東京・日本武道館で開催。代表曲や人気曲に加えて、懐かしい曲の数々でファンを楽しませた。

吉川晃司とファンの思いが混ざり合ったステージに

「40周年ツアー、全て満員御礼です。ソールドアウトありがとうございます。雪で来られなかった方もいるようですが、その方々にも届くように思いを込めて、120％で歌います」との言葉に、盛大な拍手が起こる。

「KIKKAWA KOJI 40th Anniversary Live Tour Final」の武道館2DAYは大盛況の中で開催。吉川の“楽しんでほしい”という思いと、“40周年を一緒に祝いたい”という観客の思いが混ざり合い、武道館は熱くて温かな空間となった。

今回の「KIKKAWA KOJI 40th Anniversary Live」は2024年10月5日、神奈川・相模女子大学グリーンホールからスタート。日本武道館まで26公演が行われる予定だった。

しかし、1月18日、19日の福岡公演と熊本公演が吉川の感染性胃腸炎により5月1日、2日へと延期に。そのため、ステージは2本残っているが、“Tour Final”と銘打った日本武道館での2日間が、大きな節目のステージであることに変わりはなかった。

シンバルキックに割れんばかりの歓声が起こる

オープニングSEが流れ、ステージの上に設置された巨大なKマーク型のLEDスクリーンに、デビューからこれまでの40年間に発表されたアルバムとシングルのジャケット画像が次々に映し出されると、大きなどよめきが起こる場内。さらに、バンドのメンバーの写真が映されていく。

生形真一(Gt)、藤井謙二(Gt)、ウエノコウジ(Ba)、湊雅史(Dr)、ホッピー神山(Key)という5人が結集。ソロシンガーでありながらバンドサウンドにこだわり続けてきた、吉川だからこそのオープニング映像に。

ファイナル公演の始まりの合図は、吉川の雄叫び。吉川のシャウトから始まった「TARZAN」では、気迫あふれる歌声によって会場内の空気が一気に引き締まる。グリーンの照明が降りそそぎ、観客のリストバンドもグリーンの光を放ち、まるで密林と化した武道館。

続いて、硬質なギターのカッティングで始まった「SPEED」では、ロマンチックかつダイナミックな歌と演奏に客席が揺れ、吉川の伸びやかな歌声に応えるように熱烈なシンガロングが起こる。曲のエンディングで鮮やかなシンバルキックが炸裂すると、悲鳴のような歓声が上がった。

また、今回は40周年ツアーということで、代表曲や人気曲、懐かしい曲も披露。1985年発表の「You Gotta Chance～ダンスで夏を抱きしめて～」は初期のみずみずしさに現在の剛健さが加わった、ロックテイストの色濃い2025年の「You Gotta Chance～ダンスで夏を抱きしめて～」に。

Kマーク型LEDスクリーンから光の洪水のような映像が映し出される中での「El Dorado」では、強靱な歌声と演奏で観客全員をエル・ドラド(黄金郷)へと誘っていくかのようなパフォーマンスを見せ、黒のレスポールを手にして、藤井、生形とのトリプルギターでの「Honey Dripper」では、キレ味抜群で圧巻のバンドサウンドを響き渡らせる。

ホッピー神山の自在なピアノの演奏で「ロミオの嘆き」では憂いを帯びた深みのある歌声を聞かせ、LEDスクリーンにナイトクラブのゴージャスなライトを再現したようなキラキラ感あふれる映像が映し出される中での「ギムレットには早すぎる」は、スイングジャズやロカビリーのテイストを採り入れた歌と演奏で観客を楽しませた。

「プリティ・デイト」はツアーが進む中でどんどん進化してきた楽曲で、広島公演以降は「Oh Pretty Date」という歌詞にそって“OPD”という人文字のフリが付くようになり、吉川の手の動きに合わせて観客が踊る。ともに踊る楽しさも吉川のコンサートの醍醐味の一つだ。

体を動かした後は、喉を使う曲が続く展開に。「恋をとめないで」で吉川が歌詞の一部を変えて、初日は「武道館の夜だぜ」、2日目は「ファイナルの夜だぜ」と歌い、会場のあちこちから喜びの声が上がる。そして、感極まった次の瞬間には、熱狂と興奮が訪れる。

吉川もギターを手にして、トリプルギター編成で怒濤のバンドサウンドを展開。「GOOD SAVAGE」ではウエノ、生形、吉川、藤井が横一列になって演奏するシーンが見どころだが、武道館では4人が同時にしゃがんで演奏するシーンもあり、日々進化しているパフォーマンスを見せていく。

本編最後の「Juicy Jungle」では印象的なイントロが流れると大きなハンドクラップが起こり、銀テープが発射されると会場に高揚感が漂っていく。吉川の手の動きに合わせて、観客が手を振り、リストバンドと銀テープがきらめき、キラキラと輝く場内。

吉川が「サンキュー！　愛してるぜ、武道館！」と叫び、シンバルキックを決めると、割れんばかりの歓声が起こる。「武道館、39回目です。40年やって39回ですが、めざせ100回です」との吉川の発言に、観客からは大きな拍手が。

さらに、「40年たってやっと分かったのは、笑顔で元気で再会することが一番だということ。もはや、音楽のエゴはありません。皆さんが盛り上がってくれてこそ、です」と声を上げた。