オマー・アポロ(提供写真)

“フジロック初出演”オマー・アポロ、5年ぶり来日に喜び 新アルバムの魅力語る「坂本龍一からインスピレーションを受けた」

2024.08.06 17:42

アメリカのシンガーソングライター・オマー・アポロ(Omar Apollo)にモデルプレスがインタビュー。6月28日にリリースしたニューアルバム『God Said No』についてや、日本活動での思い出について語ってもらった。

オマー・アポロ、新アルバム「God Said No」リリース

同アルバムには、ロンドンの伝説的なアビー・ロード・スタジオで輝かしいコラボレーターたちと共に制作が始まり、熱烈な情事の終焉に伴う精神の荒廃から生まれた14曲が収録されている。

今年のフジロックフェスティバル '24へ初出演を果たしたオマー・アポロ、前日に開催した単独公演では心地良い歌声と力強いパフォーマンスで観客を魅了した。今回5年ぶりに来日したオマー・アポロへアルバム制作の裏側や今後の夢について聞いた。

オマー・アポロ、5年ぶり来日に喜び

オマー・アポロ(提供写真)
オマー・アポロ(提供写真)
― 久しぶりの日本ですね!楽しんでますか?前回来た時は、日本には来ていたけど、コロナのタイミングと重なって公演ができずに帰国したんですよね。

そうなんだよ。あの時はマレーシアから日本に入国して、すぐにコロナになったから、すぐに戻らなきゃいけなくなったんだ。ショー自体はなんとかすることができたけど、4日間くらいの滞在だったね。

― 今回の日本滞在は楽しめそうですか?

今のところはオープンに色々な場所を巡ってる感じかな。本当は京都に行きたかったんだけど、ずっとツアーをしているから凄く疲れていて(笑)。

― そんな今回の滞在中に何かやっておきたいこととかありますか?

特にはないんだけど、友達がたくさんのおすすめリストを用意してくれてるんだ。

― いいですね!東京のお店とかですか?

実はよく具体的な場所はよく分かってないんだけど、とにかくすごい数のショップには行ったね。

― 今回はフジロック・フェスティバルへの出演、そして単独公演のために来日されましたが、フジロック含め、日本の音楽フェスのことなどは元々ご存知でしたか?

うん!友人でもあるダニエル・シーザーが前にフジロックに出演していたから、それでフジロックのことは聞いていたんだ。でも、それ以外はあまり分からないかな。

― 今回のフジロックや単独公演に向けてどのような意気込み、お気持ちですか?

凄くワクワクしてるよ!頑張りたいね!

オマー・アポロ、アルバムのおすすめポイントは?

― さて、音楽の話もさせてください。あなたの音楽には楽曲名が「Tamagotchi」や「Kamikaze」など日本語由来のものもありますね。日本のカルチャーとはどのようなきっかけで繋がったのですか?

昔から兄は様々な日本文化に触れていたんだ。イラストレーションとかする関係で、ほとんどがアニメだったけどね。あと漫画もかな。兄は「ZANDOR」という自主制作のアニメを作っていて、彼があらゆる日本のアニメを見せてくれたから、日本のカルチャーにはいつも刺激を受けていたね。人や食べ物、言語、テレビ、エンターテイメント全般に音楽も。音楽に関しては、坂本龍一が特に好きで、僕の最も大きなインスピレーションだよ。『God Said No』は実質的に僕が坂本龍一になろうとしている作品なんだ。

― 坂本龍一さんがお好きだったんですね!素敵なエピソードをありがとうございます。ちなみに、お好きなアニメの具体的なタイトルはありますか?

うーん、全部を言える自信はないけど、『ブラッククローバー』、『呪術廻戦』、『僕らのヒーローアカデミア』とかかな。

― なるほど。また音楽の話に戻すのですが、『God Said No』のタイトルに込めた意図を教えてもらえますか?

僕は宗教を重んじる環境で育ったんだけど、最終的には宗教における共同体的な部分を取り除き、宗教とは個人的なものとして歩むようになって、神様を神聖な一筋の光のようなものとして見つめるようになったんだ。最終的に自分のために用意されるべきものを決めてもらう感じかな。他の計画を持っていて、他の何かが欲しいと思っても神様にノーと伝えられることがアルバム全体のテーマになっているよ。

― 海外のインタビューでは、アルバムを順番に聴くことをおすすめされていましたね。実際に聞いてみると、まるで音楽的な映画体験をしているような、ジャーニーのような感じがしました。こうしたアプローチを取られた理由について詳しく教えていただけますか?

最初の4曲は僕の性格のミックスのような位置付けにしたかったんだ。だから「Less of You」、「Spite」、「Be Careful With Me」のような楽曲を入れていて。それぞれが音楽的に異なる僕の側面を見せている。それで、他の楽曲は、スローなバラード寄りの構成になっているんだ。例えば、「Plane Trees」なんかはそこまでスローではないけど、エモーショナルな1曲になっている。質問してもらった映画的な要素をサンプルしたり、映像を取り入れることは、坂本龍一からのインスピレーションなんだ。音楽が映画とペアリングされているのがとても好きで。だから、実は何か制作する時はいつもテレビを付けて古い映画とか流したりしているんだよね。

― アルバムの曲の中でとてもロマンチックな曲や寂しそうな曲などとてもエモーショナルな瞬間が垣間見える作品ですが、実体験をもとにされているのでしょうか?もしくは想像の要素も入っているのですか?

想像ベースのものはなくて、全部僕が曲を書いている時にリアルタイムで起こっていた出来事なんだ。たくさんの寂しさ、悲しさ、憂鬱さ、冷淡さ、そういった類のあらゆる形容詞が織り込まれているね。

― アルバムの中で1番お気に入りの楽曲は?

「Drifting」か「Glow」かな?「Less of You」も面白味のある曲で好きだね。

オマー・アポロ、日本のファンへメッセージ

― 今後取り入れたい音楽スタイルやクリエイティブアイディアはありますか?

サンプリングかな。最近サンプリングに精力的に取り組み始めているね。「Drifting」や「Life’s Unfair」にもサンプリングをちょっと入れているし。シンガーにとってこの方向性を取り入れることは凄くいいことだと思う。なぜなら、アメリカのカルチャーにおいて、特にヒップホップには深くルーツがあることだし、僕らはなんでもサンプリングするんだ。シンガーやラッパーがサンプリングすることはすごくクールなことだと思う。最後のタッチを取り入れているみたいな感じで。

― アーティストとして目指したいゴールなどがあれば教えていただけますか?

あると思う。というのも、最近は日ごとで違うんだけど、直近の1年はチルな感じで過ごしていて、時々強い自信や野望がみなぎることもあって。「スタジアムでショーをしたいな」と思う日もあれば、次の日には、「インディアナの湖近くに家を買いたいな」って思ったり。だから、常に変わるね。自分を束縛するように何かをしたいとまでは思わないんだけど、間違いなくやる気や野望が湧き起こることはある。単に強烈に掻き立てられる訳ではないんだけど、そういう瞬間がある時にはその気持ちに乗じるんだ。でも、留めなく自分を掻き立てる気持ちは色々あるよ。他にやることもないし。働かなきゃいけないし(笑)。

― 自分で活動の上下をコントロールできるのは良いですよね。

良いと思うと同時に、良くなかったりもするんだよね。この仕事は本当にありがたいものだけど、この道のりは普通よりももう少しキツい気がする。でも、リテールの仕事とか他で仕事しているみんなも結局キツい思いもしたりするから、どうなんだろう、みんな同じような大変な気持ちは味わってるね結局(笑)。

― 日本のファンへメッセージをお願いいたします。

そうだね、まず最後に来てからもう5年も経つなんてクールだね。コロナと被ってたんだけど、ギリギリ公演ができたことを覚えているよ。まだ当時は21歳とかでお酒飲んでいてちょっと酔ってたんだ(笑)。その時はまだ他の国の文化のこととかもよく分かっていなくて、日本ではみんな静かにリスペクトを持って観てくれているけど、アメリカだと押し合いとか殴り合いもあるくらいだから、「みんな楽しめているのかな?」って不安に思っていたんだけど、今ではむしろその日本のみんなの雰囲気が楽しみなんだ。なぜなら、僕の音楽は密な雰囲気を出すから、日本のファンがそんな雰囲気を美しく受け止めてくれる気がして、本当にワクワクしているよ。だから、今日もこの靴(サイズの大きく動きづらそうな靴を指差しながら)を履いて、ステージに立とうかと考えているんだ。全然動けないんだけど、今夜それだけゆったりとみんなと時間を過ごしたいと考えているから。

オマー・アポロ(Omar Apollo)プロフィール

アメリカ・インディアナ州出身のシンガー・ソングライター/プロデューサー。2022 年にデビューアルバム『Ivory』をリリースし、ジャンルの境界線や言語の壁を越えたその才能が広く評価された。この成功により、2023 年のグラミー賞最優秀新人賞にノミネートされ、初の RIAA 認定プラチナムレコードとなった「Evergreen (You Didn't Deserve Me At All)」は Billboard Hot 100 に7週間ランクインした。

オマーは Jonathan Anderson(ジョナサン・アンダーソン)がクリエイティブ・ディレクションを手がける LOEWE のメンズウェア・キャンペーンのアンバサダーや、スキンケアブランド Youth To The People の初代アンバサダーに任命されるなど、音楽だけでなく幅広い分野で活躍。先日開催された MET GALA では LOEWE のカスタムスーツを着てデビューを果たした。(modelpress編集部)

リリース情報

<アルバム情報>
アーティスト:Omar Apollo/オマー・アポロ
タイトル:GOD SAID NO / ゴッド・セッド・ノー
リリース:2024 年 6 月 28 日(金)
楽曲リンク:Japan.lnk.to/OMGodSaidNo
【Not Sponsored 記事】

関連リンク

関連記事

  1. え、なにそれ…【ハイスぺ男子】が心を許す女性の秘密
    え、なにそれ…【ハイスぺ男子】が心を許す女性の秘密
    愛カツ
  2. 「この子と結婚したい…」男性が結婚を決める性格美人の特徴とは
    「この子と結婚したい…」男性が結婚を決める性格美人の特徴とは
    Grapps
  3. 【結婚の挨拶で絶望】婚約者はモラハラ一族で義両親との同居は確定!?ピンチの彼女がとった行動とは⇒義実家とのつき合い方
    【結婚の挨拶で絶望】婚約者はモラハラ一族で義両親との同居は確定!?ピンチの彼女がとった行動とは⇒義実家とのつき合い方
    愛カツ
  4. 「急に冷めた」男性が考える彼女の【絶対NG行動】
    「急に冷めた」男性が考える彼女の【絶対NG行動】
    Grapps
  5. 穏やかな義母が夫に“キツイお仕置き”!?原因は【たった一言】で…⇒義母の言動に驚いたときの対処法とは
    穏やかな義母が夫に“キツイお仕置き”!?原因は【たった一言】で…⇒義母の言動に驚いたときの対処法とは
    愛カツ
  6. 浪費癖がひどい夫が、“妻の貯金にまで”手をつけていたことが発覚!?怒りに震える妻は…⇒『夫婦円満』で過ごすコツ
    浪費癖がひどい夫が、“妻の貯金にまで”手をつけていたことが発覚!?怒りに震える妻は…⇒『夫婦円満』で過ごすコツ
    愛カツ

「インタビュー」カテゴリーの最新記事

  1. 高杉真宙が学んだ“効果的な感情の使い方” 喜怒哀楽は「簡単に出すともったいない」【インタビュー後編】
    高杉真宙が学んだ“効果的な感情の使い方” 喜怒哀楽は「簡単に出すともったいない」【インタビュー後編】
    モデルプレス
  2. 高杉真宙、本心をさらけ出した2年半――今、逆にファンに聞いてみたいこと【インタビュー前編】
    高杉真宙、本心をさらけ出した2年半――今、逆にファンに聞いてみたいこと【インタビュー前編】
    モデルプレス
  3. 「Seventeen」モデル入江美沙希、恋愛経験0の女子高生が求める理想のタイプとは【「キミとオオカミくんには騙されない」インタビュー連載Vol.5】
    「Seventeen」モデル入江美沙希、恋愛経験0の女子高生が求める理想のタイプとは【「キミとオオカミくんには騙されない」インタビュー連載Vol.5】
    モデルプレス
  4. “テニミュ”吉川康太&“ジュノンボーイ”吉田剛明、俳優2人が異性をみるポイント 恋の必勝法明かす【「キミとオオカミくんには騙されない」インタビュー連載Vol.4】
    “テニミュ”吉川康太&“ジュノンボーイ”吉田剛明、俳優2人が異性をみるポイント 恋の必勝法明かす【「キミとオオカミくんには騙されない」インタビュー連載Vol.4】
    モデルプレス
  5. “現役大学生"田中学人&“アイドル"長嶺龍汰、フレッシュな2人の恋愛観に迫る【「キミとオオカミくんには騙されない」インタビュー連載Vol.3】
    “現役大学生"田中学人&“アイドル"長嶺龍汰、フレッシュな2人の恋愛観に迫る【「キミとオオカミくんには騙されない」インタビュー連載Vol.3】
    モデルプレス
  6. Netflix「地面師たち」尼さん役、メイクは毎回2時間半 強烈インパクトを残した女優・松岡依都美にインタビュー
    Netflix「地面師たち」尼さん役、メイクは毎回2時間半 強烈インパクトを残した女優・松岡依都美にインタビュー
    モデルプレス
  7. メンノンモデル・栄莉弥&“モテない後輩”たいり、真反対の恋愛スタイル明かす【「キミとオオカミくんには騙されない」インタビュー連載Vol.2】
    メンノンモデル・栄莉弥&“モテない後輩”たいり、真反対の恋愛スタイル明かす【「キミとオオカミくんには騙されない」インタビュー連載Vol.2】
    モデルプレス
  8. 生田絵梨花「殻を打ち破りたい」初の教師役で決意 根底には“自分で自分を判断しない”考え方も【「素晴らしき哉、先生!」インタビュー】
    生田絵梨花「殻を打ち破りたい」初の教師役で決意 根底には“自分で自分を判断しない”考え方も【「素晴らしき哉、先生!」インタビュー】
    モデルプレス
  9. ame(佐藤永翔)「創造営」出演後の葛藤明かす「今日好き」植村颯太が再び恋リア挑戦する理由とは【「キミとオオカミくんには騙されない」インタビュー連載Vol.1】
    ame(佐藤永翔)「創造営」出演後の葛藤明かす「今日好き」植村颯太が再び恋リア挑戦する理由とは【「キミとオオカミくんには騙されない」インタビュー連載Vol.1】
    モデルプレス

あなたにおすすめの記事