益若つばさ、自己肯定感はどう作る?逆境を乗り越えた今、「#わたしかわいい」に込めた想いとは<インタビュー>
2023.03.20 11:30
身につけたモノが瞬く間に売れ、当時の経済効果は100億円とも言われるほど一世を風靡し、今も数々のヒット商品をプロデュースする益若つばささん。昨年は大怪我のアクシデントにも見舞われ、不自由な日々で心境の変化があったそう。逆境の中で感じていたこととは?彼女を突き動かした想いを伺いました。
不自由の中で感じた想い 「かわいい」は生きる力になる
― 2022年5月の仙骨骨折後、しばらく寝たきりの状態が続いたそうですが、当時はどんな心境でしたか?益若:当初はここまで大変だとは思っていなくて、3ヶ月ぐらいで復帰できるイメージでした。過去にも骨折や怪我をしたことがあったし、毎日眠れないぐらいの痛みでもどこか大丈夫だと思っていて。
ただ、4ヶ月間も寝たきりの生活が続くと、「もう治らないんじゃないのかな」って心境になってくるんです。だから、手足を自由に曲げて歩いたり、一人でお風呂に入れたり、日常を取り戻していくステップに喜びを感じていましたね。お風呂でのヘアトリートメントやパックとか、今までちょっと面倒だなって思っていた工程も、なんだか楽しかったり。
― 不自由な生活だからこそ、気づけたことがあったんですね。
益若:そうですね。当時、日記のような気持ちでInstagramを更新していたんですけど、投稿するならやっぱりメイクをしたい。「療養中なのにメイク?」という声もありましたが、毎日寝たきりだった私が感じたのは、かわいい部屋着を着たり、メイクをするだけで、自分の中の元気さが全然違うということ。
正直ずっと家の中だから、かわいくなることに意味はないんですけど(笑)、好きなものやかわいいものに囲まれていると、寝たきりでも楽しいし、ストレスが全然違うんです。心の支えにもなるし、「私、こういう人たちのためにもコスメを作らなくちゃ」って改めて感じました。
― 今までここまで強い思いになったことはなかった?
益若:今まで“かわいくなりたい”の源って、コンプレックスや、ちょっとでも自分を好きになりたいっていう想いでした。骨折してからは、そのニュアンスが変化したというか。言葉だとすごく単純になってしまうんですけど、本当に元気になるんですよね。
私、復帰するときは髪を明るくしてロングにしよう!って決めていたんです。髪の毛が明るくて、長くて、お人形さんっぽいお洋服を着ていると、誰だか分からなくても街中で「かわいいね」「元気になる」と声をかけてくれるんですよ。最近は「派手だな」とか「年齢的に落ち着かないと」とか、自分の中の「かわいい」が小さくまとまりがちだったけど、世の中にポジティブさが伝わっていくなら、落ち着かなきゃとか言ってる場合じゃないなと(笑)。
好きなものを貫いて楽しく生きた方が元気でいられると思ったし、私自身、元気がもらえるのもどこか派手だったり、おしゃれだったり、すごく楽しそうに生きている人。療養期間は、益若つばさとしてどうやって生きるかということを深く考える時間になりました。
ファンとの交流から生まれた“自信” 「お互いに交換し合っている感じ」
― 過去には外見やイメージで、ネガティブな意見をぶつけられたこともあったかと思います。どう乗り越えてきましたか?益若:息子が生まれた時は、髪を暗くしたりして“母はこうあるべき”という概念に私自身染まろうとしていました。今みたいに多様性の時代じゃなかったし、そこからはみ出たら叩かれても仕方がないなって思ってたんです。
でも今思うのは、お互いの価値観が100%合うことはなくて、何をやっても言う人は言うし、自分がどう思うかが大切ということ。常識に合わせたほうがいい時もありますが、そこばかり意識しているとどんどん自分がなくなってしまう。ストレスを感じたり我慢をしてまで合わせるのは違うのかなと思い、自分が好きで選んでいるかで、判断するようにしています。
― これまで時代の変化に合わせて様々な「かわいい」を提唱してヒットさせてきましたが、商品プロデュースのモチベーションになっているものは?
益若:正直、プロデュース商品がヒットしたという実感はなくて、メディア取材で初めて知ることも多いんです。経済効果が注目されたりしますが、私ができるのはいい商品を作って世に出すところまで。売上には執着がなくて、大事にしているのは、自分が好きで、使いたいと思うクオリティのものが作れるかということと、その先に使ってくれる人がどう思うかということ。「プレゼントしたら彼女が喜んでくれました」とか、「自信がついた」とか、反響が何よりうれしいですね。
私もみんなに自信を届けるために、コスメをプロデュースしていますが、私もみんなに自信をもらっていて、お互いに交換し合っている感じがしています。
― いい循環が生まれているんですね。では日頃、自己肯定感を上げるために行っていることはありますか?
益若:10代の頃から自信はなくて、当時から素敵だなと思う人の魅力を紙に書き出して、いいところは真似しつつ、自分ができることを探して実行してきました。あえて低身長を活かして、かわいらしくてお人形さんっぽいものを着よう!とか。
私自信はないんですけど、ネガティブではないんですよ。「なんでかわいくないんだろう」の次は、「どうせ私なんか」じゃなくて、「じゃあどうしようかな」って次の一手に動く。あの子いいなって思ったら、うじうじ悩まずになんでかわいいのかを聞きに行ったりしていました。意外とみんなコスメや化粧品を教えてくれるし、やった感も、近づけた感もある。自分自身を変えるのは時間がかかるので、手っ取り早く変わるならメイクがオススメ。あとは、太陽の光を浴びて部屋の掃除をすると、簡単に自己肯定感を上げられる気がします(笑)。
自分が「かわいい」と思うものを作り続けて世の中を元気に
― 最近ではあざとかわいいTikTok動画が人気を集め、SNSで自ら「かわいい」を発信する人も。益若さん自身はどう感じていますか?益若:1周回ったなっていう感覚があるんですよね。10年くらい前は「かわいいを作る」とか、「かわいいが正義」とか、「かわいい」というワードがすごく流行っていて。そこから嫌悪感を示す人たちも出てきたりして、段々と“わたしかわいい”が言いづらい世の中になっていったような気がします。「かわいい」と自分を思えないことで自己肯定感も低くなった結果、「これなら叩きにくいでしょ」まで計算され尽くしているというか。大人の女性への「かわいい」には「いい歳なのに」と嫌味が込められていることもあったり。
でも、キュート=かわいい(Kawaii)と世界に広まっている言葉ですし、素直に受け取れないことに悲しさもあって。自分が「かわいい」と思った日は自信を持ってほしいし、かわいいものはかわいいって私も言いたい。お互い素直に「かわいい」と言えるようなフェーズになったらいいなって思います。
「かわいい」を追求し続けたDOLLY WINK
― リブランディングも集大成を迎えつつあるDOLLY WINKにも、そのような想いが込められているのでしょうか。益若:いつの間にか「かわいい」は、若い女の子にしか使っちゃいけないような言葉に仕上がってしまったけど、本来はもっと自由に使っていいワードのはず。「DOLLY WINK」は幅広い人たちに、自由にかわいいを掲げていきたい。「かわいい」には偉さも性別も年齢制限も全くないし、好きな人は好きでいいじゃん、興味ない人は興味ないでいいじゃんってぐらいの軽い感覚で捉えているし、そう願っています。
私はプロデュースをする上では、チームとディスカッションしながらA案とB案から、「なるほど、こんな考え方なかったぞ」って新たなC案が生まれていくモノ作りがすごく好きで。今回の新作マスカラ「MY BEST MASCARA」も、私のこだわりと、たくさんの方のリサーチや意見から誕生しました。
― 伸びるカラーマスカラ「MY BEST MASCARA」(3月29日発売※3月4日一部先行発売)ですね。こだわったポイントは?
益若:今は、自分で色を組み合わせて楽しむ時代になったと感じていて、カラバリは6色にしています。ポイントは日に当たった時のまつげが透けにくいこと。カラーマスカラって塗った時にまつげが見えなくなったり、長く見えない経験があったので、色と伸びにはこだわりましたね。個人的にはホットビューラーでも溶けにくいこと、お湯+洗顔でオフにしたこともこだわり。涙は温かいから、泣くとポロポロと取れやすいんですが、大切な日にもつけてほしいし、ずっとかわいくいてほしいので。お風呂ではストレスなくするっと落ちるのもすごく好きで、サンプルから何本も愛用しています。SNSでもたくさん質問されていたので、やっと発表できてうれしいです。
実はアメリカで療養期間中、DOLLY WINKの新作のつけまつげがドラッグストアにたくさん並んでいて、驚きました。昨日もYouTubeに「DOLLY WINKのマスカラ、シンガポールでどうやったら買える?教えて」って英語でコメントが来たりして。不思議な感覚とともにすごくうれしさもありますし、DOLLY WINKってすごいなって他人事ですけど思います(笑)。新作マスカラも届いてくれたらいいな。
― どんどん広がっていくのが楽しみですね。
益若:今は一般の方もSNSの使い方がすごく上手ですし、美容系インフルエンサーのレビューかなと思ったら、ファンの方だったりするんです。新作発表後のレビューが私も楽しみになりました。企業と私だけの発信だったのが、モデルさん、芸能人、そこから一般の方もインフルエンサーと変わらない動きで、広げていってくれる。そのおかげでブランドを続けられているんだなと思っています。
― 3月21日から渋谷の街に巨大なDOLLY WINKの広告も登場。コピーである「#わたしかわいいって、思ってもいいじゃん。」に込めたのはどんな想いですか?
益若:「#わたしかわいいって、思ってもいいじゃん。」って、今の時代に使うのは勇気がいるワード。自分の価値観だけが正しいわけではないけれど、自分をそう思うことって決して悪いことじゃないと思っています。「#わたしかわいいって、思ってもいいじゃん。」は、ちょっと皮肉さも混じった感覚もあって、そんな私、今日も生きてますって感じが、今っぽくてすごく好きですね。未来への希望も込めているというか。皆さんが見てどう感じるかはまだわからないですけど、私も渋谷に見に行きたいですね。
― 長年「かわいい」と向き合ってきた益若さんが、今、目指している世界とは?
益若:年齢も性別も関係なくて、自分がかわいい、かっこいい、好きって思っているものはもっと出していけたら。お互いが敵ではなくて、認め合えて褒め合えるような。全員がポジティブな意味で「かわいい」を捉えられて、最上級の褒め言葉になれたらいいですね。
― 読者の中には、自分に自信がない人や今も逆境の中でもがいている人もいるかと思います。最後にエールをお願いします。
益若:自信がある人って本当に数少ないと思うんです。私もパブリックイメージだと自信があるように思われたりしますが、そんなわけなくて(笑)。でも逆にそう見せることは可能だということ。結局本当の私のことは、家族とか身近な人以外は知らないし、世間には20%ぐらいしか見えてないんじゃないかな。
私は今回、復帰動画を撮ったときに、辛すぎて涙が止まらなかったんです。自分もここまでメンタルにきてると気づかなかったぐらいだから、他の人が気づくわけがなくて。だから、まずは自分を1個1個、理解していくこと。好きなもの、かわいいものに囲まれているだけで自信が持てたり、人より得意なことに気づくことだってできる。未だに自分のことを知らないなと私もこの1年で感じたので、自分を見つけていった先で自信が手に入るのかなと思います。
― ありがとうございました。
どんな人でも、年齢も性別も関係なく、「かわいい」を貫いていい。
自分を信じるポジティブな想いが、広がっていきますように。(modelpress編集部)
[PR]提供元:株式会社コージー本舗
撮影:伊東祐輔
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