“女優・山下美月”を深掘りしたら、本職・乃木坂46への感謝と彼女を支えるファンにたどり着いた(C)モデルプレス

“女優・山下美月”を深掘りしたら、本職・乃木坂46への感謝と彼女を支えるファンにたどり着いた――「自分が舵を取って、ときには盾となって、かつ先陣を切っていきたい」モデルプレスインタビュー

2023.01.01 12:00

【「2023年モデルプレスヒット予測」女優部門・山下美月(乃木坂46)スペシャルインタビュー】

現在、NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」でヒロインの幼馴染を好演中。近年でいうと「あざとくて何が悪いの?」「着飾る恋には理由があって」「じゃない方の彼女」などで演技力がたびたびフィーチャーされてきた。1月18日スタートのフジテレビ系水10ドラマ「スタンドUPスタート」への出演も控える。

これまでアイドルをしながらお芝居をする、という人は確かにいたが、主要キャストで連ドラに出続ける、というのはあまり思い浮かばない。さらに驚くべきは彼女が日本一のアイドルグループ・乃木坂46の中心メンバーであること。日々、ライブ、歌番組、ミーグリ、雑誌の撮影……常人には信じられないようなスケジュールで動いている。
山下美月(C)モデルプレス
山下美月(C)モデルプレス
今回のインタビューでは「女優・山下美月」を深掘りした。アイドルの門を叩いて6年、いつしか芝居の楽しさに気づいた、と言う。女優として彼女を認知する人が増えているのも事実だが、だからといってアイドルをおろそかにしようと思ったことはない。

「アイドルをやりながら女優業も両立させるのが1番カッコ良い」という強い言葉も使いつつ、新しいアイドルのパイオニアになろうとしている。また役者として話を進めていたが、聞き続けた先には本職「乃木坂46」への感謝にたどりつき、彼女を支えるファンが原動力であることがひしひしと伝わってきた。

「自分が舵を取って、ときには盾となって、かつ先陣を切っていきたい」――――23歳、山下美月の覚悟を見届けてほしい。

「女優・山下美月」をきっかけに「乃木坂46」の曲を聴く人が増えた

山下美月(C)モデルプレス
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― 今日は「女優・山下美月」を深掘りしたくて…ご自身では女優として引き合いがあることをどのように感じていますか?

山下:恐れ多いな、と。本業はやっぱりアイドルなので…でもお芝居はすごく好きです。

― 朝ドラ「久留美ちゃん」としても認知されるなど、朝ドラファンから好評です。

山下:嬉しいです。最近では「え、アイドルだったの?」と言っていただけることもすごく増えて。紅白に「舞いあがれ!」チームから関ジャニ∞の横山裕さん、Snow Manの目黒蓮さんが出ると発表されたとき、「久留美ちゃんって乃木坂46だったんだ」という声もネット上にあったんです。頑張って良かった、と思いました。

― お芝居で評価されたことを、少し実感できたエピソードですね。

山下:はい、やっぱりどこかでアイドルがお芝居をしている、という見られ方をしていると思っていたんです。でもこうして色眼鏡なしで見てくださっている方もいるんだって感じられたのは本当に嬉しくて。お芝居をきっかけに乃木坂46を知ってもらうことができたのも素直に嬉しかったです。

― 山下さんのソロ活動が、結果としてグループに還元された。

山下:年末で歌番組にたくさん出させていただいているのですが、朝ドラで私のことを知ってくれた方が「朝、久留美ちゃんを見て、夜、乃木坂46の曲を聴いた」とSNSで言ってたりもして。私が求めていたベストの形だなと思いました。

苦手意識があったお芝居、全力で取り組んでいたら役をいただけるようになった

山下美月(C)モデルプレス
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― 山下さんのお芝居を見ていると、作品の世界観に馴染む、という表現がしっくりきます。良い意味でアイドルオーラがないというか。

山下:それはたぶん私が自分のことを「可愛い」って思ってないから(笑)。

― いやいや(笑)。

山下:自分をよく魅せようと思っていないんです。アイドルといえば歌番組などでも決めカットというか、自分が一番可愛く見える角度と表情があるものなんですけど、自分は昔からそれが得意ではなくて。いつもあとから自分で見ては落ち込んでいます。たぶんカメラ目線の自分を撮られるのがすごく苦手なんです(苦笑い)。

― 確かにお芝居でカメラ目線は必要ない。

山下:そうなんです。役としてそこにいればいい感覚がとても心地良くて。お芝居は自分がこうありたい、こうなりたいみたいなものに対して、自分が真っ直ぐでいるだけで、ちゃんと成立してくれる。正解という正解があるわけではないけれど、納得はできるんです。アイドルは選択肢が無限すぎて…例えば今から私が天然キャラになろうと思ったら、なれてしまうじゃないですか(笑)。

― (笑)。

山下:ヒール役にもなろうと思ったらなれますし(笑)。役は少なくとも自分ではないので、役をいただけている間は、自分がどう向き合うか考える時間も含めて、とても穏やかな気持ちでいられます。

― お芝居を始めたときからですか?

山下:いえ、最初はお芝居にすごく苦手意識がありました。乃木坂46の中でもお芝居をやっていく人ではないんだろう、と感じていたほど。でもアイドルとして何事も全力でやっていく中で、その一つに歌やダンスと同じくお芝居があって、それも全力でやっていたら声をかけていただいて、役をいただけるようになって、それをきっかけにまた役をいただけて。今の状況は私にとって驚きでもありますが、すごく楽しくて、もっと頑張りたいと思っています。

昨年、語っていた「焦り」。今は「自分に勝てればいい」と思うように

山下美月(C)モデルプレス
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― 昨年「着飾る恋には理由があって」でインタビューした際、同世代の女優が主演もやっている事実に「良い意味で焦っている」と話していたのが印象的でした。朝ドラに限らず、その後も作品への出演が続いていますが、今も焦っていますか?

山下:焦りはずっとありますが、あれからだいぶ大人になった、かな?

― 大人になった、とは?

山下:自分の性格上、たぶん何歳になってもずっと焦っているんだろうなって。結局、自分で自分を追いかけているみたいなもので、一つ前の作品の自分を超えるために今の自分が一生懸命走ってる、みたいな。それで超えたらまた次にいただいた役を全力で走って、その繰り返し。あのときは周りを見て焦っていた部分もありましたが、今は自分に勝てればいいや、みたいな方向になってきました。

― 「自分に勝てればいいや」、素敵な考えですね。そう思えるようになった理由はありますか?

山下乃木坂46での立ち位置の変化も影響している気がします。先輩方が卒業して、気づいたら上から数えた方が早くなっていて。誰かと比べるより自分の成長の方が大事だと思ったんです。それと朝ドラは半年にわたって放送されるので、ご一緒する役者さんの方が本当にたくさんいて、お芝居を見て学べることがたくさんあります。いろんなものを吸収できる環境に身を置いて、まずは自分が成長しなくては、と思わされました。あとは運の要素も正直、大きいと思って…

― 運!?

山下:はい、最近よくプライム帯の連ドラヒロインをやることが目標、と言っているのですが、もし実力を持っていたとしても、スケジュールの問題や、その役の年齢的な都合とか、そういうのは本当に運だなと思って。なので早くヒロインをやらなきゃ、という焦りより、今はとにかく実力を蓄える、来たるときにパワーを発揮できるように備えよう、と思うようになりました。

― カッコ良い…ずっしりと構える感じ。

山下:はい(笑)、ずっしりと構えて待ちます。

― 乃木坂46でアイドルをやりながら連ドラヒロイン…そんな新しい景色を期待せずにはいられないです。

山下:アイドルを言い訳には絶対にしたくないんです。どうしたってお芝居は本職ではないので、自分の中で勝手に負い目を感じることがあります。でもだからこそ、他の人たちよりも頑張らなきゃって。今、朝ドラの撮影をしながら、フジテレビのドラマの撮影もしています。本当にありがたいお話でした。実は朝ドラをやりながら別の作品にも関わる、というのを朝ドラが決まったとき、一つの目標に掲げていたんです。スケジュールやタイミングの問題でなかなか決まらなかったのですが、今回1月クールでご縁があったのは、タイミングの運もあったと思います。

山下美月「アイドルをやりながら女優業も両立させるのが1番カッコ良い」

山下美月(C)モデルプレス
山下美月(C)モデルプレス
― 女性アイドルの女優業って、なんとなく卒業してからスタートみたいなイメージもありますよね。

山下:そういう風潮は感じます。でも私は全然そんなこと思っていなくて。なんだったら「卒業っていう選択肢もあるかもしれない、でもアイドルをやりながら女優業も両立させるのが1番カッコ良いじゃん」と思っています(笑)。

― 間違いないです。それをできる位置にいるのが山下さん。

山下:他にやる人がいないなら「だったら私がやってやるよ」みたいな気持ち(笑)。なので外仕事にしか興味がないなんて思ったことないですし、乃木坂46を利用してっていう気持ちも一切ないです。むしろ自分の力で自分のお芝居を見てもらって次に繋げたい。乃木坂46にはちゃんとお芝居をできる子がいるんだと思ってもらって、その先には他のメンバーにもいろんなお話が回ってきてほしい。現役でアイドルをやりながら、このスケジュールをこなすことに意味があると本気で思っています。

アイドルと女優業、両立してみて感じた“感情ノック”の大変さ

山下美月(C)モデルプレス
山下美月(C)モデルプレス
― 本格的なお芝居を始めて4年ほど。つらいと感じたことはありますか?

山下:わりと役に引っ張られるので、情緒不安定にはなりがちで…。例えば振られるなど、泣かなきゃいけないシーンがあると、1週間くらい前から台本を読み始めるのですが、どんどんしんどくなっていきます。役者としては良いことなのかもしれない、でもその間もアイドルの仕事はあって、笑顔で歌番組に出ないといけない。そんなときは感情の波が大荒れで疲れ果ててしまいます。

― それは今も…?

山下:それはそれで楽しいと思えるようになりました。以前は泣くお芝居がすごく苦手だったんですけど、今は感情を出せる場所があるって素敵なことだなと思えるようになって。なかなか自分が泣いている姿を何百万人の人に見られるなんてないじゃないですか(笑)。

― はい(笑)。

山下:快感とはまた違いますが、一つの面白いエンターテインメントだなと。今はまだまだひよっこなので、感情ノックを操れるところまではいっていないですが、でも感情的になれる感覚はすごく好きです。

山下美月が最後に語った「ファンの存在」と「乃木坂46への感謝」

山下美月(C)モデルプレス
山下美月(C)モデルプレス
― 役者としての話ばかり聞いてしまいましたが、山下さんは本当にファンを大切にしていますよね。SNSもですし、ファン向けのメッセージなどもマメ。

山下:はい、私は一度、休業しましたし、体調面でうまくいかなくて心配をかけたこともありました。それでも皆さんがファンでいてくださったから、今の私があると思っています。それにアイドルが好きな方は、アイドルの仕事をたくさんやっている子を応援している方が楽しいんじゃないかなって。自分もアイドルが好きだからこそ、そう思っちゃうので、今もついてきてくれるのが本当に嬉しいです。

― どんなお仕事でも原動力はファンなんですね。

山下:そうですね、私もその立場でいたいので、どんなにお芝居のお仕事をいただけて忙しかったとしても、ライブを休みたくないし、歌番組も休みたくない。全部、手を抜きたくないです。今年も、もしかしたら出られない、というタイミングが何度かありましたが、スタッフさんにどうにか出られませんか?とお願いして調整していただきました。自分もスケジュールと戦っていますが、スタッフさんもスケジュールと戦ってくださっている。それに誠心誠意、全力で応え続けたいと思っています。

― ストイックたるゆえんを垣間見た気がします。

山下:でもそんな私を見て心配してくださるファンの方がいるのも事実で…私としては皆さんの笑顔を見るために、楽しんでもらうために頑張っているのに、逆にそういう気持ちにさせてしまって申し訳ないな、と思うときもあります。

― ぜひファンにメッセージをお願いします。

山下:私は大丈夫です。一生エンターテイナーでいたいし、皆さんの笑顔がたくさん見たい。だから頑張れます。良いパフォーマンスをして、良いお芝居をして、その姿を見ていただくことで、少しずつお返ししていけたらいいなと思っています。

― 最後に2023年の抱負を聞かせてください。

山下:そうですね、最近思うのはグループへの感謝の気持ちが溢れているということ。今までいろんなフィールドで戦ってきてくれた先輩方がいたから、私がいる。でもその先輩方が卒業して、今は3期と4期と5期が中心のグループになっています。次に新しいフィールドに出ていくのはきっと私たち3期生。先輩方が繋いでくださった乃木坂46のバトンを落とさないためにも、自分が舵を取って、ときには盾となって、かつ先陣を切っていきたいです。

山下美月(C)モデルプレス
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山下美月(C)モデルプレス
山下美月(C)モデルプレス
山下美月(C)モデルプレス
(modelpress編集部)

PHOTO:赤英路
スタイリスト:市野沢祐大(TEN10)

山下美月(やました・みづき)プロフィール

モデルプレスのインタビューに応じた、乃木坂46の山下美月(C)モデルプレス
モデルプレスのインタビューに応じた、乃木坂46の山下美月(C)モデルプレス
1999年7月26日生まれ、東京都出身。2016年に乃木坂46の3期生オーディションに合格して芸能界入り。2021年1月発売の26thシングル「僕は僕を好きになる」でセンターに抜てきされるなど、グループの中心メンバーとして活躍する。ファッション誌「CanCam」の専属モデル。映画「映像研には手を出すな!」、ドラマ「着飾る恋には理由があって」、ドラマ「じゃない方の彼女」など女優としての活動も増えている。現在、NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」に出演中。1月18日スタートのフジテレビ系水10ドラマ「スタンドUPスタート」への出演も控える。

モデルプレスのオリジナル企画「今月のカバーモデル」2023年1月表紙/山下美月(C)モデルプレス
モデルプレスのオリジナル企画「今月のカバーモデル」2023年1月表紙/山下美月(C)モデルプレス
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