山下智久(C)モデルプレス

山下智久が“隠していたこと” 恐怖乗り越えたきっかけと夢を叶える秘訣<「TOKYO VICE」インタビュー>

2022.05.04 17:00

4月24日よりWOWOWにて独占配信されているWOWOW初のハリウッド共同制作オリジナルドラマ「TOKYO VICE」(第1話WOWOWオンデマンド無料トライアル実施中にて世界最速・日米同時で配信中)。俳優の山下智久(やました・ともひさ/37)は、謎めいたカリスマホスト・アキラ役をオーディションで勝ち取った。

WOWOW初のハリウッド共同制作オリジナルドラマ「TOKYO VICE」

「TOKYO VICE」(提供写真)
「TOKYO VICE」(提供写真)
エンタテインメント・シーンの最前線で活躍するスタッフと日米のスター・キャスト陣によって、“世界で最も撮影が難しい都市”と言われる東京とその近郊で全てが撮影された、史上初の大作ドラマ・シリーズ。舞台は90年代の東京アンダーグラウンド。世界で最も煌びやかな大都会として憧れられた東京のリアルで凶暴な裏の姿を、ハリウッドが誇る本気の“映像魂”がこの上ないクオリティで蘇らせる。主演を米俳優のアンセル・エルゴートが務め、山下のほか、俳優の渡辺謙、菊地凛子、伊藤英明、笠松将らが出演する。

山下智久(C)モデルプレス
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海外での活躍も著しい山下だが、これまでの実績を積み上げる中で、“山下智久としてのあり方”に悩んだこともあったという。

──葛藤から一歩を踏み出すきっかけとなった今作で得たものとは。

山下智久、オーディションで勝ち取った「TOKYO VICE」出演

― 「TOKYO VICE」への出演を決めたきっかけを教えてください。

山下:いつか外国の作品にも出たいなと20代前半から思っていて、色んなオーディションを受けたのですが、なかなか役をいただける機会がなく、そろそろ難しいかな…と思っていた時に、ありがたいことにこの役を勝ち取ることができました。作品の中では大きい役ではないのですが、自分の中ではすごく大きな役で、この役が決まったと連絡をもらった瞬間の嬉しさは本当に鮮明に覚えています。

今までやらせていただいた役は、正義の方が強い役が多かったのですが、今回はどちらかというと人間の汚さや醜い部分が大きく出ているチャレンジングな役でした。どうやって作品の中の良いスパイスになれるか、どう記憶に残ることができるかというのを考えながら、役を監督と練って、自分なりに味付けして、日々現場の皆さんの足を引っ張らないように頑張っていました。

山下智久(C)HBO Max _ James Lisle
山下智久(C)HBO Max _ James Lisle
― 山下さんが演じたカリスマホストのアキラという役柄について、どのような印象をお持ちですか?

山下:彼のバックグラウンドは脚本にないので、想像でしかないのですが、彼はあんまり人を人だと思っていないですね。ホストで成り上がっていくので、どこか彼の中に強いモチベーションがあると思うのですが、それも正当化できないくらい、僕は人としては欠落しているな、救いようがないなと思っていました。だけど、それが演じる上では面白いなと思ったんです。今までと違い、影がある役だったので、自分の俳優のキャリアの面で考えると本当に良い経験をさせてもらったなと感じています。

今作は90年代の話なのですが、90年代の当時、すごく流行っていたアクセサリーを先輩からもらっていたので、アキラを演じる時はずっと着けていました。

― 役作りへのアプローチなど、ロールモデルにしている俳優さんなどはいますか?

山下:ずっと変わらないのですが、山崎努さんです。20歳くらいの時に出会わせていただいて、そこから「そこにある瞬間は作り物じゃないんだ、本当のことなんだ」と俳優に対する感覚が変わりました。ある意味で嘘なんだけど嘘じゃない、嘘の中で本当を作る瞬間を作り出している方なので、そこに僕は感銘を受けて、そういう一瞬を生きられるお仕事がすごく素敵だなと思ったんです。

山下智久(C)モデルプレス
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山下智久、俳優業に感じる“儚さ”

山下智久(C)モデルプレス
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― 海外作品の現場を経験して気づいたことはありますか?

山下:海外と日本では、作り方にちょっと違いはあるかもしれないですが、「良いもの、面白いもの作ろう」という思いは万国共通だなと改めて気づきました。あとは、自分に正直に、イエス・ノーをはっきり伝えることが大事。謙遜みたいなものは必要なくて、ただ素直に今自分がどう思うかということを伝えて、見せていけばいいので、そこは自分としても楽な部分でした。

― 海外作品のオーディションは頻繁に受けていらっしゃったのですか?

山下:チャンスがあればなるべく受けるようにしていました。そのオーディションに向けて役を覚えたり、演技の練習をしたりしても、役を取れる時と取れない時があるので、儚いですよね…。でも、その儚さもまた、僕の中では大事なところで、オーディションに受からないかもしれないけど、そこにどれだけ情熱を持って挑めるかは僕のエネルギー量だし、「受かるか分からないしめんどくさいな」と思ったら終わりだと思っています。受かる確率の方が圧倒的に少ない中で、そこに情熱を注いでいたいし、引き続きチャレンジしていきたいです!

山下智久(C)モデルプレス
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― 山下さんは挑戦することに対しても「儚さ」を感じているのですね。

山下:本当に不安定な仕事だなと改めて思いますが、でも不安定なところから安定に持っていくというのも、僕はロマンがあって好きです。儚いからこそ、輝く瞬間もあるんじゃないかなと思って、自分を奮い立たせてやっています。桜もそうじゃないですか。一瞬しか咲かないからみんながバーッと集まってきて、でもその儚さに人は惹かれるのであれば、寂しいですが、その儚さと一緒に生きていくことによって、色んな人が何かを感じてくれる。

…本当は、僕は儚いのは嫌いですよ。できればずっと見ていたいし、ずっとその瞬間にいたいのですが、もしそれだと魅力が生まれないのであれば、何事にも裏と表があって、朝と夜があるから豊かになっているし、成り立っているのかなと思います。

山下智久、アイドル時代の“嘘” 恐怖乗り越えたきっかけは?

山下智久(C)モデルプレス
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― 「TOKYO VICE」の記者会見では「ありのままの自分も認められた」という言葉が印象的だったのですが、これまで「ありのままの自分」というのを表現することに悩んだ時期があったのですか?

山下:もう、恐怖ですよね。僕はいま嘘がつけない人間なので(※主演を務めるNHK総合ドラマ10『正直不動産』が放送中)、正直に申し上げますと、競争社会で生きてきたので、絶対に自分を隠していたところがあると思うんです。

でも年齢も上がってきて、それはもうここから先何も生まれないなと思っているところもあるので、自分が今まで隠してしまっていたところを見せた上で、応援してくれる人が残ってくれたら良いなと。これからは、役を通してもっともっと綺麗なところも汚いところも見せていくということが、自分のやりたいことなんじゃないかなと思っています。

― それは山下さんのタレントイメージや、先程もお話された「正義の方が強い役が多かった」ということも大きいと思うのですが、今作でダークな役に挑戦したことで、一歩前進した感覚ですね。

山下:そうですね。殻を破れたかどうかは観てくれた人が判断してくれることだと思うのですが、自分としては今までにない感情になれたことは間違いないです。やっぱり演じる前が1番怖かったり、勇気がいることだったりするのですが、今は意外とスッキリしていて「どういう風にみなさんが捉えてくれるのかな」と楽しみですね。

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― 恐怖から一歩踏み出すことはすごく勇気のいることだと思うのですが、きっかけなどはありましたか?

山下:多分僕自身の性格もあると思うのですが、先輩に言われてハッとしたのが「お前は新幹線で目的地に行きたいんじゃなくて、自分で車を運転していきたいんだよね」という言葉でした。新幹線は最短で目的地まで辿り着けるので、快適な良さもあると思うんです。でも、自分の足で知らない道を開拓しながらゴールに辿り着くと、通ってきた道も覚えていられるじゃないですか。その苦労を伴うけど、自分の中で記憶にしっかり焼き付けられるようなプロセスも楽しめると思ったので、「そういう生き方がしたいな」と思うようになりました。…と言いつつ、僕もまだ全然答えは出ていないので、自分の中でも模索しながらやっていきたいなと思います。

山下智久の夢を叶える秘訣

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― 日本だけではなく、海外での活動も意欲的に行っていますが、海外で活動する中でのメリットをどう感じていますか?

山下:やっぱり新しい仲間に出会えることです。どんどん色んな国に行って、友達が増えていく感じがすごく楽しいですね。作品でご一緒した監督と、お互いに「すごく楽しかったね」となったら、次の作品でまた声をかけてくれることもあるし、人間と人間なので、気持ちが通じればまた会いたいと思う、すごくシンプルなことなのかなと僕は感じています。

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― 今作でも「夢が叶った」とおっしゃっていましたが、山下さんが思う夢を叶える秘訣を教えてください。

山下:休憩しても良いから、諦めないことですかね。継続していかなきゃいけないので、諦めないというのは大変なことですが、「継続は力なり」という言葉があるように、そこは自分との戦いだと思います。その夢を追っている途中にほかの夢ができる可能性もあるし、どういう風に点が繋がっていくかというのは分からないので、夢を諦めず、自分に正直にいることが大事なんじゃないかなと思います。

― ありがとうございます。これからの活躍も楽しみにしています!

(modelpress編集部)

山下智久(やました・ともひさ)プロフィール

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1985年4月9日生まれ、千葉県出身。1996年より芸能活動をスタート。2020年11月にはハリウッド映画『The Man From Toronto』(2022年米公開予定)の撮影に参加。日本だけではなく、海外での活躍も広げている。主演を務めるNHK総合ドラマ10「正直不動産」が放送中。

ハリウッド共同制作オリジナルドラマ「TOKYO VICE」
WOWOWにて毎週日曜午後10時より独占放送中
WOWOWオンデマンドにて配信中

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