當山みれい(C)モデルプレス

<當山みれいインタビュー>恋愛ソングを歌い続ける“覚悟”を語る 「否定されるような恋愛だったとしても」

2022.02.18 18:15

Z世代のリアルな恋愛模様を歌い、同世代から支持を集めているシンガーソングライターの當山みれい。2020年からは積極的にカバーや楽曲提供を受けるなど、恋愛ソングの世界観を拡げ続けている。そんな彼女に楽曲から受けた心情の変化や、“恋愛”そのものへの考え方を聞いた。

當山みれい「大きなターニングポイントに」

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― 2020年ごろから楽曲提供を受けたりカバー楽曲を発表されていますが、何かきっかけがあったのでしょうか?

當山:2018年頃はアンサーソングを多く歌わせていただいていたんですが、アンサーソングを歌うことで自分の中の恋愛観がグッと広がる経験をしました。ただ今はコロナ禍という状況もあり、若い世代の方がSNSで得る情報はどうしても興味のあるものに限定されて、恋愛観も狭く深くなっていっているんじゃないかと感じたんです。そんな方たちにも自分がアンサーソングを歌って感じた想いをどう伝えようかと考えた時に、もっと自分の世界観を拡げたいと想って楽曲提供を受けたりカバーを歌おうと決めました。

― コロナ禍は大きな影響を与えたんですね。

當山:そうですね。私自身、色んな音楽を聴くようになりました。コロナ禍になる前までは歌を歌っている時間や、自分の音楽と向き合う時間がすごく長かったんです。でもコロナ禍でお仕事やツアーが中止になってしまいました。そんな時も結局は音楽に戻っちゃって、色んな方の音楽を聴いて「楽曲提供をしてもらいたい」「カバーをしたい」と繋がっていきました。

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― 実際に楽曲提供を受けたりカバーを歌うことで、考え方も変わりましたか?

當山:すごく変わりました!STUPID GUYSさんの「偽愛」(2020年10月21日)をカバーしたのは大きなターニングポイントになりました。それまでの私の中にはない恋愛観だったんですけど、主人公の思いや理性を超えた「それでも一緒にいたい」「好きだって思う瞬間」の極論のようなものを感じ、歌ってみたいと覚悟を決めた瞬間でした。それがきっかけになって、たとえ万人には理解されない恋愛だとしても「それって本当に嘘の恋愛なのかな」「傷ついても突き進んだほうが幸せなのかも」と思うようになりました。

― 歌うことで理解していけるような。

當山:自分でも不思議なんですけど、歌っていくことで腹の底に落ちる瞬間があるんです。例えば「この時はどんな気持ちなんだろう」と考えながら声色の表現を変えるんですけど、自分の出した声と歌詞がつながるような感覚がありました。

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多様な恋愛観を表現

― 具体的に楽曲から感じた想いなどを聞かせていただければと思います。まずはミニアルバム「still」(2021年3月17日)に収録されている「わけあって」。こちらはSaucy Dogの石原慎也さんが詩曲提供されていますね。

當山:かなり自分の体験に似ている歌詞でした。Saucy Dogさんの楽曲は大好きだったので「石原さんの思う當山みれいの楽曲を書いてください」って感じだったんですけど、「見られてた?」というレベルでリンクしてて(笑)。

― (笑)。そういう意味では當山さんが書く楽曲とも似ている部分はあった?

當山:恋愛観としては似ているんですけど、私は女性目線でしか歌詞が書けないので「わけあって」の男性目線という歌詞は視野が広がりました。恋愛が終わる直前のいびつなバランスの取り方ってあると思うんですけど、それを男性目線で描いていて、「男性も女性と同じように感じているんだな」と改めて気づきました。相手の好きだったところが嫌いになり、そんな自分が嫌になったり。自分に嫌気がさしてバランスが取れなくなる部分は男性も女性も一緒なんだって。昔の恋愛を思い出して反省しました(笑)。

― 楽曲提供を受けていないと感じられない視点だったのかもしれないんですね。

當山:そうですね。自分が楽曲を作るときはどうしても主観的に考えてしまうので、様々な視点で物事みていくのは色々な恋愛ソングを歌う上ですごく大事だと感じました。

― 澤田空海理さんの失恋ソングをカバーした「またねがあれば」(2021年8月4日)はいかがですか?

當山:一番自分の感覚に近い楽曲だったと感じます。私がアンサーソングを書くときに考えていたのは、理想の自分なんです。「またねがあれば」も、理想の自分やこうありたいと思う部分に葛藤が見えて。歌詞にもある「あなたの中の私は、意外と小さかったこと」って私も思うことがあって、恋愛した時の不安が掻き立てられるワンフレーズでした。自分の中にある思いをしっかり出せた曲だなと思います。

― 歌詞には當山さんとリンクしている部分も?

當山:はい。前までは“自分を良く見せたい”と思っていて、本当の自分を歌詞にすることはありませんでした。でもここ数年で価値観が変わったというか、必要以上に人に好かれようと思わなくなって肩の荷も下りた感じです。「またねがあれば」の主人公には矛盾している部分もたくさんあるけど、その矛盾が一番リアルだと感じるし、「こうしとけばよかった」「ああしとけばよかった」と学ぶのは失った時だと思うんですよ。そのリアルな感覚が今まで言えてなかった自分の気持ちとリンクしました。

― 南雲ゆうきさんプロデュースの「食えない」(2021年11月17日)はいかがですか?

當山:初めてボカロPの方にプロデュースしてもらいました。今では“ボカロP”という存在は当たり前になっていますが、私が中学生の頃はもっとマイナーな存在でした。私はボーカロイドの曲がすごく好きでよく聴いていたので、ポップミュージックとして広く受け入れられているの今の状況に個人的には感動していてそんな人が作る音楽を私が表現することにロマンを感じました(笑)。レコーディングのときはある意味ボカロっぽい動きの大きいメロディーを「どうやって歌おうか」といったゲーム感覚もあり楽しかったです。

― 「食えない」という曲名もインパクトがありますね。

當山:歌詞にある「食えない恋」という表現が個人的に好きでした。ボーカロイドは人間とロボットの間のようなイメージがあったので、歌詞は普段言わないような鋭さを大事にしました。以前の私なら受け入れられない恋愛を歌っていますが、今なら「別に楽しめるだけ楽しんだらいいんじゃないかな」とも思えるようになりました。

― それでは最後にyonawoの荒谷翔大さんが詩曲提供でmabanunaさんがアレンジした「嵐の前の静けさに」(2021年12月15日)はいかがですか?

當山:「自分に歌いこなせるかな」というくらいな大人な曲でした(笑)。この曲は思い入れが強くて、制限時間のある恋愛ってすごい辛いけど生きている心地をすごく感じられると思うんです。普通の恋愛にはない葛藤や迷いがあって、ネガティブな感情をお互いに慰めあう関係性がこの楽曲の中の二人に感じました。これをどう表現したら伝わるだろうか、浮遊感のあるトラックの中にある哀しさをどう伝えるかをすごくこだわりました。

― 表現を突き詰めていくと、登場人物の恋愛も認められるような?

當山:そうですね。この楽曲に登場する二人には帰らなきゃいけない場所があると思うし、二人のせいで傷つく人がいるから本当はダメなんだとは思うんです。それを肯定するのは勇気が必要だったんですけど、行き場のない二人の感情を昇華できるような曲になればと思いました。楽曲提供でなければ歌う勇気はなかったと思うし、どこまで理解できているのか不安もあったと思います。でも「嵐の前の静けさに」を歌わせていただいたことで、自分の中の自信にも繋がりました。

當山みれい「様々な恋愛に寄り添っていきたい」

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― 2月9日には新曲「雨の音」がリリースされました。こちらは川崎鷹也さんが詩曲を提供されていますが、どのような楽曲になっていますか?

當山:昨年から【MIREI TOUYAMA EXTENDED】として様々なコラボ企画をさせていただきましたが、最後にふさわしい恋愛ソングになっていると思います。色んな方に刺さる楽曲なのかなって。誰しもが人生の中で心に雨が降ることってあると思います。でも雨が上がれば虹がかかる。心に雨を降らせて虹をかける人へ寄り添える楽曲になればと思っています。

― MVの撮影は終わりましたか?

當山:はい。撮影は終わって、今ちょうど編集中です(2月初旬インタビュー)。完成したMVはまだ観ていませんが、きっと驚いてもらえるような内容になっていると思います。

― 今までにはないMVに?

當山:そうですね。私の思う一つの“純愛”を描いています。一回観ただけじゃわからないかもしれないので、何度か観てもらえたらと思います!

― MVを観るとが楽曲の印象も変わりそうですか?

當山:全然違う捉え方になると思います。良い意味で最初は音楽が入ってこないかもしれません(笑)。なので、まずはMVを観る前に曲だけを聴いてもらえたらなと思います。

― 恋愛観が多様化している現代で、今後はどのような表現をしていきたいですか?

當山:今後も答えが無かったり、周りから簡単には認めてもらえない恋愛にも寄り添っていきたいと思っています。もっと言えば「Love Me Crazy」という楽曲でも触れた性別や年の差についても表現していければと考えています。当時は今ほどダイバーシティに対する理解が追い付いていなくてそれほど表現することができませんでした。今後はもっと様々な愛についても作っていければなと思います。それに、愛は恋愛だけじゃなくて、家族だったりモノに対する愛でもいいと思っています。私は3歳のころから大事にしている“チワワ”という犬のぬいぐるみがいるんですけど、そういったモノへの愛でもいいのかなって(笑)。

― 20年来の付き合いなんですね!

當山:そうですね!見た目は全然“チワワ”じゃないんですけど(笑)。モノ以外にも愛の形は色々あるし、自分に対しての自己愛の楽曲も書きたいですね。わがままな自分だったり、周りとは違う自分だったとしても受け入れて認めてあげられるようになりました。今だからこそ勇気を出して自己愛も歌えるんじゃないかなって。きっと自分のことを愛せず誰かに依存しちゃう女の子も多いと思うので、そういった方へのヒントだったり寄り添える楽曲を書いていければとも思います。

― ありがとうございました。

當山みれい(C)モデルプレス
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(modelpress編集部)[PR]提供元:株式会社ソニー・ミュージックレーベルズ

當山みれい(とうやま・みれい)プロフィール

「サブスク総再生回数2.5億回越え、Z世代の等身大を歌う、大阪出身現在23歳の女性R&Bシンガー。

2017年「願い~あの頃のキミへ~」、2018年清水翔太「My Boo」のアンサーソング「Dear My Boo」、2019年ティーンから絶大な支持を獲得しているラッパー・さなりとのコラボ曲「大嫌い feat.さなり」が、それぞれ毎年LINE MUSICを中心に連続スマッシュヒット。

2020年11月には、配信シングル「いやいいや」をリリース。Music VideoにはABEMAの人気恋愛リアリティ番組「オオカミちゃん」シリーズ「今日好き」に出演していた、石川翔鈴・大原梓・杉本愛里・福山綾水が出演し、楽曲と併せて大きな話題となった。

ティーンからの圧倒的な支持を誇る“サブスク世代の歌姫”である。

Digital Single「雨の音」

Digital Single「雨の音」(提供画像)
Digital Single「雨の音」(提供画像)
2021.2.9 Release

當山みれいが自身の表現してきた恋愛ソングの世界観を拡張していくコラボ企画【MIREI TOUYAMA EXTENDED】。今回は、「魔法の絨毯」が大ロングヒットを記録中のSSW・川崎鷹也が詩曲提供で参加!川崎鷹也らしいクセになるメロディに乗せて、別れた相手を思う切実な未練の気持ちを甘美な當山みれいの歌声で表現した、失恋ソングの新定番!アレンジには宇多田ヒカル「Beautiful World (Da Capo Version)」にもアレンジ参加したNobuaki Tanakaが参加。J-POPとの強度を持ちつつ、垣間見える切れ味のあるアレンジメントにも注目。

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