土屋太鳳「声にコンプレックスが…」 確かな成長&声優への想い明かす<『アイの歌声を聴かせて』インタビュー>
2021.10.27 19:30
女優の土屋太鳳が声優を務める長編オリジナルアニメーション映画『アイの歌声を聴かせて』が10月29日(金)より全国ロードショー。土屋はAIの主人公シオンを演じ、多彩な楽曲をエモーショナルに歌いあげている。土屋が歌う楽曲が収録されているサウンドトラックの発売も決定し、今回モデルプレスでは楽曲を歌う上で苦労したことや、レコーディングの裏話を聞いた。
目次
土屋太鳳がポンコツ“AI”を演じる『アイの歌声を聴かせて』
本作はポンコツ“AI”とクラスメイトが織りなす、爽やかな友情と絆に包まれたエンターテインメントフィルム。景部高等学校に転入してきた謎の美少女、シオンは抜群の運動神経と天真爛漫な性格で学校の人気者になるが…実は試験中の【AI】だった。彼女がAIであることを知ってしまったサトミと、幼馴染で機械マニアのトウマ(cv工藤阿須加)、人気NO.1イケメンのゴッちゃん(cv興津和幸)、気の強いアヤ(cv小松未可子)、柔道部員のサンダー(cv日野聡)たちは、シオンに振り回されながらも、ひたむきな姿とその歌声に心動かされていく。
土屋太鳳、声を仕事に込めた想い
― 『アイの歌声を聴かせて』を拝見させていただきましたが、すごくいい映画でした。余韻が爽やかで何度も観たくなるような映画でした。土屋:嬉しいです!ありがとうございます。
― まずは土屋さんが完成した映画をご覧になって感じた事を教えてください。
土屋:登場人物一人ひとりの表情がとても豊かで、描かれる感情もすごくリアルでした。試写会はすごく緊張したんですが、多くの方に共感してもらえる作品になったのではないかなと思います。
― 今回の作品に取り組むにあたって、どのような気持ちで臨んでいたんですか?
土屋:「私で良いのだろうか」と正直思いました。声のお仕事をされている方は、みなさん本当に良い声ですよね。声の中に濃い密度の情報量があるんです。私自身、様々なアニメを観て元気を貰ったり感動を与えてもらったりして、声の情報量は本当に大切だなと思うんです。弟が声優をしていることもあって、練習している姿や苦労している姿を見てきました。声優は気軽に「やってみよう」ぐらいの気持ちでは望めないなと感じてはいたので、とにかくベストを尽くして心を込めました。観てくださる方にどう伝わるかはまだ分からないですが…。
― アテレコのセリフは事前に覚えていくんですか?
土屋:はい。セリフを覚えることで、やっとその人物として言葉を発する事ができるんです。
― 土屋さんだから表現できるシオンらしさはどういう部分だと感じましたか?
土屋:声のお仕事の経験が少ないので、セリフをすべて覚えて実際に自分がシオンだと思って生きる事だと思います。私の場合は台本を読んでると役が入ってこないので、シオンのセリフを体に馴染ませてから本番に臨みました。例えば「サトミ今幸せ?」というセリフがあるんですが、その中には「大丈夫?今日はどうしたの?」「元気ないね」といった感情を入れることを目標にしていました。自分は人間ではないというシオンの切なさや、人間に近づけば近づくほどガッカリされる虚しさ・悲しさを理解すること。それがシオンとして生きる上で大切にしていたことで、負けたくないなと思った部分でもあります。
― AIの少女を演じる上で工夫したことはありますか?
土屋:AIだから息をしていないんです。だから呼吸をせず言葉を切るのがAIらしさで、その中にAIであることの切なさも感じてもらえるかなと思いました。
― 制約がある中で表現するのは大変そうですね。
土屋:難しかったです。ディレクターさんや監督さん、仮歌を入れてくれた方から、まだ赤ちゃんのシオンの命みたいなものをすごく感じて、それが最終的にパワーになりました。
― シオンの事を好きだと思う1番のポイントって何ですか?
土屋:スマホに音声に反応するアシスタント機能があると思うんですけど、何かをお願いすると「すみません、お役に立てそうにありません」や「もう1度言っていただけますか?」って言うんです。父も「疲れた~」と言ったら「元気出してください」と返されていたんです。何があっても元気付けてくれる言葉や、そんなに謝らなくてもいいのにって思う機械の素直さがシオンにも感じられました。その中にある切なさや虚しさにシオンの魅力を感じました。
― その切なさはお芝居でも重要なポイントだった訳ですね?
土屋:そうですね、最後の方は特に。最初は感情を入れるんだけど入れ過ぎないというか。でも最後のシーンでシオンが話すセリフには息を入れようと思ったんです。
土屋太鳳「泣きそうになって…」
― 今回4曲歌っていますが、4つの楽曲それぞれの好きなポイントを教えてください。土屋:人の感情がワーっと出るような曲調であったり、励ますような言葉があったりして、全部の曲が本当に素敵でした。どのシーンでも寄り添うような歌詞だったので全部の曲が好きですね。ただ自分の中での課題は音域が高い事だったので、必死にレコーディングさせていただきました。
― 歌詞に関しても記憶に残っていますか?
土屋:歌詞も残ってますね。「You've Got Friends ~あなたには友達がいる~」は「ユー・ニード・ア・フレンド ~あなたには友達が要る~」のアンサー曲のような楽曲で、歌詞を見てグッときました。それに、みんなと一緒に歌うところも感動的で。それに「Umbrella」も良い曲なんです!歌いながらパワーをもらえる曲ばかりなので、上手に歌えなくて「だめだー!」と泣きそうになっても踏ん張れました!
― シオンとして歌う時に常に頭の中にあったことはありますか?
土屋:自分のためではなく、みんなが幸せになれるように歌うことです。私の場合は一緒にやろうと言ってくださったチームの方々に気持ちを届けたいと思い歌いました。お客さんに届けるためのまずは第一歩です。あとはシオン役ではありますが、シオンのために歌いたいと思っていました。
― 映像でご覧になって楽曲が掛かるシーンで特に好きだったというシーンはありますか?
土屋:全部いいところで流れるなって思いました(笑)!音楽が好きなので、こうやって表現したいなと思う表情の種類がいっぱい詰まっていました。撮影している時は無音なので、「こういう音楽がお本当に芝居している時に流れてくれたらいいのに」って感じました。音楽を使って役作りもするので。
― 音楽を使って役作り?
土屋:音楽を聴いて、「この曲はこの役の役作りの時に使おう」とか。音楽に助けてもらうことは多いですね。
― 『アイの歌声を聴かせて』に土屋さんが参加する上で大切にしていたことをおしえてください。
土屋:「心」だと思います。シオンの心だったり、仮歌を入れてくださった方の心だったり、これを作ろうと思った監督の心だったり。その心を理解して立ちたい。色々な作品に関わらせて頂いてきましたが、やっぱり大切なのは「心」だなと感じます。
― もし土屋さんから心を共有したシオンに今声をかけるならどんな言葉ですか?
土屋:「シオンいま幸せ?」と声をかけたいです!あとは「ずっとそばにいてね」だと思います。
― シオンは土屋さんの中にいつまでもいる存在になりそうですか?
土屋:なりそうです。私はオンオフがあまりないので、役と自分の心を常に重ねているタイプなんです。なのでシオンの気持ちは常に側にいるんだろうなと感じます。
― シオンのどんな部分が特に土屋さんの中に残り続けると思いますか?
土屋:シオンにとって歌うことは心を表現する方法で、それが全てだと思うんです。私にとっても歌うことは感情を出せる場所で、得意ではないけど大好きなんです。シオンは「好きだったら声を出していいんだよ!」「一緒に歌おう!」と背中を押してくれる存在かなと思います。
土屋太鳳、レコーディングの裏話を明かす
― 歌のレコーディングとアフレコでは、違った挑戦だったと思うのですがレコーディングは順調にはいきました?土屋:アドバイスを頂きながら何回も録りました。正直私自身、声にコンプレックスがあったし歌も練習しないと上手に歌えないと思っていて。きっと歌が上手なら歌手になっていたかもしれないし、もっと声が伸びていたら声優になっていたかもしれないと思うんです。なので挑戦する時に「本当に私で大丈夫なのだろうか」とマネージャーさんにも伝えました。仮歌を歌っている方がすごく素敵な声と歌い方だったので「その方の方が良いんじゃないのかな?」って思ったんです。けれど「土屋さんだからこそ出せる声があるし、歌える歌があります」と色々な方がサポートしてくださり、なんとか奇跡の1枚が出来上がりました。
― 特に苦労した部分はありますか?
土屋:私の声の音域よりも遥かに高音で、これは試練だなと感じました。仮歌の歌声がとてもお上手で、「私よりもこの方のほうがシオンちゃんが生きるんじゃないですか?」と聞いたくらいで。でもプロデューサーさんや監督さんに「土屋さんらしいシオンで大丈夫です」と、ポジティブな言葉をかけていただきました。仮歌の方が本当にシオンちゃんとピッタリだったので、その方と一緒にシオンちゃんを演じるつもりでレコーディングさせていただきました。
― 実際にレコーディングが始まって土屋さんご自身としては上手に歌えている感覚はありました?
土屋:結構テンポが難しくて、「ツッチャツッチャ」というリズムも初めてで…。
― 「Lead Your Partner」ですか?
土屋:そうです!あとゆっくりの「Umbrella」も割とテンポが大事なので、作曲をしてくださった高橋諒さんに「すいません!一緒にブースの中に入ってもらえますか?」とお願いして指揮を取っていただきました。
― 「Lead Your Partner」は映画の中でもテンションが上がるシーンでした。
土屋:はい!「ドキドキさせてよ」の半音落ちるブルーノート的な感じもすごく好きでした。「ツッチャツッチャ」という音に「さぁ、STEP STEP & TURN」と歌い出すところがすごく難しかったんですけど、歌っていて楽しい楽曲でした!
― レコーディングは順調でしたか?
土屋:はい。1曲だいたい4時間くらいで録り終わりました。私は8時間くらい掛かるんじゃないのかなって思っていたので(笑)。
― そうだったんですね(笑)。レコーディング中に土屋さんなりに考えて実践されたことはありますか?
土屋:私自身、「今日は気分が乗らないな」とか「何かやる気出ないな」という時に音楽やエンターテイメントからパワーをもらっています。素人なりにですが、パワーを与えられる中の1つになれば良いな、聴く方に寄り添えるものになったら良いなと思い歌わせて頂きました。ただ途中で喉に結節(けっせつ)ができてしまい、さらにコロナ禍の影響でミュージカルのお仕事とも重なっちゃって。本当に申し訳なかったんですが「ミュージカルが終わってから最後の1曲だけ録らせていただけませんか」とお願いしたら「大丈夫です。終わったら録りましょう」と快く言ってくださって。その曲が「You've Got Friends ~あなたには友達がいる~」なのですが、その時は「息の上に声があるんだ」ということを意識しながら歌うことができたと思います。それ以前は役として歌う事に必死だったけど、そもそも息がないと歌えないんだと気付いて、最後のシオンちゃんのセリフと繋がったような気がしました。シオンちゃんが背中を押してくれたのかな。
― 最初の方の楽曲はあえて息を出さないように歌っているのかと思ったのですが、そういうわけではなく?
土屋:たぶん必死だったんです(笑)。息も止めて声を出してたと思います。
― シオンの成長と一緒に楽曲の内容も成長していったんですね。
土屋:そう思っていただけたら(笑)!
(スタッフ)本当にそうだと思います。ちゃんとシオンの成長と一緒に感情がどんどん乗っていっているというのは凄く感じていました。
― サントラも順番に聞いていただくと良いかもしれないですね。
土屋:そうですね!1曲目からシオンの成長と合わせて聴いていただけると。
― それでは最後にこれからサントラを聴く方にメッセージをお願いします。
土屋:映画同様、楽曲も一緒に成長できるような、聴いてくださった方に寄り添うような内容になっていると思います。登場人物一人ひとりが本当に愛おしいので、色んなキャラクターに想いを寄せながら聴いて楽しんでいただけたらなと思います。
― ありがとうございました。
(modelpress編集部)[PR]提供元:株式会社バンダイナムコアーツ
映画『アイの歌声を聴かせて』オリジナル・サウンドトラック
劇中BGMに加え、劇中歌を5曲収録した2枚組!高橋 諒によりフィルムスコアリング式で制作された至高の劇中BGM、主人公シオンを演じる土屋太鳳による劇中歌ほか、咲妃みゆが歌う劇中アニメ「ムーンプリンセス」の劇中歌を収録。ブックレットにはライナーノーツ、作曲家 高橋 諒×作詞家 松井洋平 対談、土屋太鳳特別インタビュー等を掲載。▼DISC1
1.シオンの世界
2.サトミのテーマⅠ~母娘の合言葉
3.ホシマエレクトロニクス
4.クラスメイトたち
5.いま、幸せ?
6.転校生の正体
7.あたらしい日常
8.トウマの焦り
9.普通の高校生なら?
10.ブリッジⅠ~サトミの不安
11.「今度は、失敗しない」
12.サトミのテーマⅡ~幼馴染
13.なんでも80点
14.ヒーローにはピンチが必要
15.三太夫、襲来
16.王子様を探しに
17.キス騒動!?
18.アヤの告白
19.西城のテーマ
20.シオン自身の幸せ
21.ブリッジⅡ~視線
22.バック・アップ・ビート
23.サトミの彼氏です!
24.サトミのテーマⅢ~交錯
25.美津子のねがい
26.予感と疾走
27.届かぬ月
28.それぞれの喪失
29.雲翳の夜
30.[RO:M]
31.決意と潜入
32.シオンの覚醒
33.逃走劇!
34.シオンの解放~脱出
35.変わるもの、変わらないもの
36.シオンの世界(再奏)
▼DISC2
1.ユー・ニード・ア・フレンド ~あなたには友達が要る~
2.Umbrella
3.Lead Your Partner
4.You've Got Friends ~あなたには友達がいる~
5.フィール ザ ムーンライト ~愛の歌声を聴かせて~
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