綾野剛、星野源(写真提供:TBS)

綾野剛&星野源の奥深き絆「苦しんでいたら盾にも剣にもなりたい」「めちゃくちゃ“いいね!”してくれる」<MIU404 インタビュー前編>

2020.06.26 06:00

TBS系金曜ドラマ『MIU404』(読み:ミュウ ヨンマルヨン/毎週金曜よる10時~)でW主演を務める俳優の綾野剛(あやの・ごう)と星野源(ほしの・げん)。この度リモートインタビューに応じ、作品にかける思いやお互いの関係性について語った。<前編>

ドラマ『MIU404』待望の放送スタート

同作は、警察内部で“何でも屋”と揶揄されながらも、犯人逮捕にすべてを懸ける初動捜査のプロフェッショナルである「機動捜査隊」(通称:機捜)が、24時間というタイムリミットの中で事件解決を目指す、1話完結のノンストップエンターテインメント。新型コロナウイルスの影響で一時撮影を休止し放送延期となっていたが、いよいよ待望の初回を迎える。

タイトル『MIU404』の“MIU”とはMobile Investigative Unit(機動捜査隊)の頭文字であり、“404”は綾野と星野が演じる機動捜査隊員の2人を指すコールサイン。綾野が演じるのは、機動力と運動神経はピカイチだが機捜経験がなく、刑事の常識にも欠ける伊吹藍(いぶき・あい)。一方、星野が演じる志摩一未(しま・かずみ)は、観察眼と社交力に長けているものの、自分も他人も信用しない理性的な刑事という役どころ。主演の2人は同局系ドラマ『コウノドリ』シリーズから2年半ぶりの共演で、今回は警視庁刑事部・第4機動捜査隊のバディ役でタッグを組む。

インタビューは、綾野、星野、数人の記者とスタッフがリモートで繋がる形で進行。綾野の「なんだかとっても仲良くなれそうな取材ですね!」という気取らない声掛けで始まり、『コウノドリ』での出会いから約5年となる2人が、お互いの関係性について奥深い言葉で明かす場面もあった。

綾野剛&星野源、撮影中断乗り越え放送スタート「この作品が届けられないのはあまりにも辛すぎる」

― 新型コロナウイルスの影響による撮影中断・放送延期を乗り越え、初回を迎える心境を教えてください。

綾野:まだまだ世の中全体が大変な時期で、気を緩めることはできない中でも、撮影再開できたということ、そして撮ってきたものをしっかりみなさんにお届けするという、エンターテインメントに関わっている人間としての役割を全うできるということに対して、とても感謝しています。だからこそ、現場では今までとは違う少人数体制ではありますが、対策をしっかり練りながら、みんな意識が高まっていて、現場の熱量も凄く高いです。この期間で本当にたくさん考えさせられましたし、中止になる可能性もゼロではなかったと思います。それでもこうして再開できたことを感謝すると共に、今できる最高のパフォーマンスを皆さんに届けるという気持ちでいっぱいです。

星野:とにかく嬉しいです。実は撮影休止前に2話くらいまで完成していて、それを自粛期間に落ち着いて客観的に見る機会がありました。そうすることで、いかにこの作品が今までにない刑事ドラマになっているか、ということを改めて実感したんです。話が進むにつれて、僕たちが過ごしている日常で起きる問題や、“今この話をしなきゃいけない”という問題にも切り込んでいくようなドラマでもあるので、楽しみながらも自分たちの生活や社会について考えるきっかけになる作品になっています。すごくドラマで見るのが合う作品ですし、この3か月間「とにかく届けたい」とずっと思っていました。「この作品が届けられないのはあまりにも辛すぎる」とスタッフ・キャストみんな思っていたと思います。もちろん距離は取りつつですが、また集まって撮影再開できたこと、放送できるということが本当に嬉しいです。

『コウノドリ』以来のタッグ お互いの演技の魅力とは

― お2人は『コウノドリ』以来の共演ですが、改めてお互いの演技の魅力をどのように感じましたか?

綾野: 2年半ももう経ってるんだな、ということにちょっと驚いています。

星野:そうだね。あんまりそういう感じしないもんね。

綾野:うん。連絡を取り合っていたからという一言では終われない感覚、と言えばいいでしょうか。命を扱う『コウノドリ』という作品で共に戦ってきた“戦友”だという感覚が強いというのもありますね。やっぱり役者だけに限らず、音楽など様々なエンターテインメントに星野源という人が関わっていて、色々なところでインプットしてきたものを、こうして新しいドラマにアウトプットできるという、その能動的な臨機応変さ、そういうところは本当に学ぶところが多いです。

歯の浮くような話で申し訳ないのですが、常に現場で一緒に居たのですが、だんだん撮影日が別々になったり、一緒に居ないシーンもちょっとずつ増えてきて、そうすると「どんな表情してるんだろうな今日の源ちゃんは」とか「どんな芝居をして、このシーンどんな顔でやってるんだろな」とかなんか気になるんですよね。

星野:(笑)。

綾野:やっぱりバディって、ただ“ニコイチ”ということじゃなくて、会えないからこそよりその人のことを豊かに考えるということでしょうか。そういう感覚が僕たちの中には常にあって、やっぱり真摯にお互い向き合いながら、成熟している部分と未熟な部分をパテの様に埋めあうときもあれば、あえて見せつけた時にそっと寄り添ってくれるときもある存在だと思います。だから源ちゃんはこのドラマで本当に必要不可欠な人だし、改めてとても感謝していますね。

星野:『コウノドリ』のとき、僕はほとんど喋らない役で、剛くんは常に優しい言葉をかけ続ける役でしたが、今回は2人とも全然違う役どころなので(笑)。単純に会話の芝居がたくさんできるのはすごく楽しいなというのと、ここまで振り幅が違うところを2人で見せるというのは、きっと楽しんでもらえるんじゃないかなという予感がしています。『コウノドリ』との違いも含めて、早く届けたいという思いが強いですね。

綾野:うんうん。

星野:現場でも、4機捜の面々とのアンサンブルと言うんですかね?ちょっと笑っちゃうくらい凸凹で、みんなバラバラなんですよ(笑)。被ってる人が1人もいないというか、各方面“行ききってる”人たちなので、それが見ていて面白いんじゃないかと思います。演じていて、単純に今すごく楽しいです。

綾野剛と星野源の関係性「しょっちゅうご飯に行くから仲が良いとかそういう次元ではない」

― お2人の間で、お仕事ではなくプライベートで印象的な出来事があれば教えていただきたいです。

綾野:何か具体性があるものじゃないような気がしています。例えば相手が体調を崩したから「大丈夫?」というような具体的なものではなく、ふとした瞬間に連絡を取るんです。

よく「今の時代はこうだ」という言葉がありますけど、もう「今の時代」というのがよく分からないじゃないですか。時代に流されていくよりも、自分たちで浮足立たずに今できることをやるべきだということだと思うんです。

だからこそ「今日こういうことあってね」「えーそうなんだ」「最近何してたの」なんていう何気ない電話を源ちゃんにして、「僕もこうでああで…」と話をしたりする中で、なんとなく機微みたいなのが分かるんですよね、互いに。今日は体調よさそうだなとか、悪そうだなとか、そういう機微をキャッチできているということが、もしかしたら僕たちの柱になっているような気がしています。

もちろんこんな言い方はぞんざいで源ちゃんに対して失礼かもしれないけど、やっぱり僕たちは、共演者というところからスタートした関係ではあります。だからこそ、何かで源ちゃんがとても喜んでいたら、一緒に分かち合いたいと思うし、苦しんでいたら盾にも剣にもなりたいと思うし、なんかそんなことなんじゃないかなと思うんですよね。だから、しょっちゅうご飯に行くから仲が良いとかそういう次元ではない、そんなことを星野源という人に対して思うんです。

僕にとって、主観で見る源ちゃんと、客観的に見る源ちゃん、2人存在しています。ましてやライブでは、相当客観的に見ることになって「うわあ、目が合った!」みたいなことになると思うんですよ。それってもはやプライベートうんぬんということではない。探り合うじゃなく、お互いの機微を感じあうことが僕たちはできているんじゃないかと自負しております。

星野:例えば一緒にご飯に行ったり、いわゆる飲みに行ったりはほとんどしないのですが、僕のインスタグラムに剛くんがめちゃくちゃ「いいね!」してくれるんですよ(笑)。そんなに早く?ってくらい、いち早く日々「いいね!」をしてくれて。あとは、例えば僕が何かを発表したときに、直接LINEで感想をくれたりするんです。そこで自分がやってることに対して、役者でも音楽でも、仕事に対してリスペクトしてくれているんだなとすごく感じますし、僕も彼の仕事ぶりをいつも見ていますから、そういう意味で「飲み行こうぜ!」とはまた違う種類の繋がりみたいなものがすごくある気がしています。

綾野:変な話ですけど、今源ちゃんに「2人でご飯行こう」って言われたら、もちろん「うんうん」って言うけど、すごく恥ずかしい(笑)。

星野:なんで恥ずかしいの(笑)。

綾野:分かんない。なに話したらいいのかなって。

星野:(笑)。

綾野:なんだろう、今ふと考えてみたら恥ずかしいな。源ちゃんってしっかりもしているんですけど、ぽやっとしているので(笑)。かわいいでしょ?源ちゃんって。良い意味で、普段全く鋭利な部分がない鋭さというか、人と向き合うということを大切に考えている人。だからなんかすごく恥ずかしくなっちゃいそうで。

綾野剛&星野源、コロナ禍でも同じ方向を向いていた思い

― 今回の撮影は感染症の影響等で、これまでとは違うところもあると思います。不測の事態に立ち向かううえで、お互いが相棒で心強かったなと思うことはありますか?

綾野:まずは、撮影休止の理由をお互いがちゃんと納得できているということが大きかったと思います。第一に命が大事で、僕たちは電車やバスに乗って行動することは割と少ないですが、スタッフはそうじゃないよねとか。もちろん緊急事態宣言の最中も表に出て仕事をしなければいけなかった人たちは、すごく怖かったと思います。そういうことも含めて、まず主演の2人が撮影を止める理由についてしっかり納得していました。それは、単に緊急事態宣言が出されたからとかではありません。だから緊急事態宣言より前に僕たちは現場を止める判断をしました。現場の指揮官でもある塚原監督と新井順子プロデューサーがそこに対して全くぶれなかったですし、そういったところを僕たちは見ているから、俳優がどうこうという以前に、ベクトルはみんな一緒で、何も不満がありませんでした。源ちゃんともそこのコンセンサスは取れていたと思います。「なんで中止になっちゃうんだろう」なんてことは全く思っていなかったです。

星野:いわゆる撮影中止になった日の帰り、お互いの車の中から電話したよね?

綾野:(笑)。

星野:そのときに、正直な気持ちを話せたのがすごく良かったなとは思います。そこで、まずはこの事態を収めることが一番大事で、けどやっぱり悔しいよねということを話しました。あのときはそのまま終わる可能性もあったので、2か月くらい頑張ってきたものがもしかしたら…と。でも僕も、3月末の時点で撮影していることが正直辛かったんです。もちろん感染防止はしていたけれど、感染者がどんどん増えていく中で、これはやっていていいものなのかと悩みながら毎日現場に行っていました。でも、人間が生きていく上でエンターテインメントは絶対必要だと思いますし、どうしようもない思いだったんです。

そういう綺麗ごとではない思いを、僕だけではなく、スタッフのみんなと共有できた状態で、自粛期間に入れたのは、その時点で現場全体がチームになっていったような気がします。だから、再開したときは、もうチームが出来上がっている状態なので、全然ブランクがある感じが僕はしなかったんですよ。

綾野:うん。

星野:「早速いいじゃん」と言うか(笑)、休止していた3か月間がなかったかのように始まっている感じがありました。この数カ月間すごく辛かったし、今も大変だし、みんな苦しんでいると思います。これを何とかしたいけど、楽しい世の中にしたいけど、他にも大きな問題がどんどん出てきて「うわぁ」「なんなんだこりゃ」みたいに今なっていますよね。その中で、大変だけど、撮影しているときは信頼できる仲間たちとやれているということが良かったなと思います。それはコロナのこの期間が育ててくれた部分が大きいと思います。

(modelpress編集部)

{インタビュー中・後編はこちら|hhttps://mdpr.jp/tag/34049|button}

「MIU404」第1話あらすじ

警視庁の働き方改革の一環で、刑事部・機動捜査隊(通称:機捜)の部隊が3部制から4部制に変更となった。臨時部隊として新設された“第4機捜”の隊員として招集された志摩一未(星野)だったが、とある人事トラブルからバディとなる隊員が見つからないという事態に。やむを得ず、候補段階で落としていた奥多摩の交番勤務員・伊吹藍(綾野)を招集し、バディを組むよう命じられる。

伊吹がどんな人物なのか、不安になった志摩は情報を集めるが、「とにかく足が速い」というだけで、短期間で次々と部署を異動していたり、かつての同僚刑事たちが「彼については話したくない」「二度と顔を見たくない」といい、調べれば調べるほど不安になる。

そして、ついに迎えた第4機捜任務初日。初対面の伊吹は意外にも礼儀正しく、好印象を抱く志摩だったが…!?
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