モデルプレスのインタビューに応じたEXILE TAKAHIRO(C)モデルプレス

<EXILE TAKAHIROインタビュー>初挑戦で感じた「もどかしさ」とは…HIROの教えが“役者としての強み”に

2019.05.10 13:00

長編映画単独初主演『僕に、会いたかった』が5月10日に公開されたEXILE TAKAHIRO(34)が、モデルプレスのインタビューに応じた。2014年の俳優デビュー以降、「HiGH&LOW」シリーズをはじめ、TAKAHIRO自身のイメージと近い役柄を演じることが多かったが、今作ではこれまでのイメージを覆す無精ひげ姿で、記憶喪失という難役を演じている。物語の舞台は、島根県隠岐の島。TAKAHIRO演じる主人公・池田徹は、島で一二を争う凄腕の漁師。とある事故をきっかけに記憶を失い、島の人々の優しさに触れ、“島留学”の子どもたちと関わるうちに、新しい自分を見つけ出す家族の絆と再生を描く感動の物語。TAKAHIROも「難しかった」と語る今回の役柄。“俳優”として感じたこととは――?

EXILE TAKAHIRO、3週間の島滞在“心残り”は?長編では初の単独主演映画

EXILE TAKAHIRO(C)2019「僕に、会いたかった」製作委員会
EXILE TAKAHIRO(C)2019「僕に、会いたかった」製作委員会
― 今作を手がけたのは、劇団EXILEの青柳翔さんが主演を務めた映画「たたら侍」(2017年)の錦織良成監督。TAKAHIROさんにとっては、長編単独初主演映画となりますが、撮影はいかがでしたか?

TAKAHIRO:錦織監督とは青柳が主演した映画「渾身 KON-SHIN」(2013年)を観たときから、いつかご一緒させていただきたいなと思っていたんです。人間模様を温かく描いたような物語が印象的で、今回ご一緒させていただけるということで、かなり意気込んでいました。でも、演じた池田徹という男は記憶喪失で寡黙な設定だったので、その意気込んだ気持ちがお芝居で活かせるわけもなく。難しい役どころだったなと思いますし、その分、やりがいもありました。成長させてもらった作品だと感じています。

― 主演という部分で、何か意識したことは?

TAKAHIRO:映画だとショートフィルムで主演させていただいたことがありますし、ドラマや舞台でも主演を経験してきたので、ある程度イメージはできていたんですが、長編映画では初の単独主演ということで、新たな気持ちで挑戦しました。ただ、“主演だから”というよりは、池田徹という役柄に真摯に向き合って、記憶喪失に関してもある程度自分の中に知識を落とし込んで、池田徹という人間がこれまでどういう環境で、どういう気持ちで過ごしてきたのか、それを考えていました。実際に島に行ってみて分かったことも多く、地元の方々が毎日どう過ごしているのかというのは、百聞は一見にしかずといいますか、撮影現場にいって馴染んでいった感覚があります。

― 隠岐の島に行ってみて、イメージしていた部分と違った点はありますか?

TAKAHIRO:自分の地元の長崎にもあるような雰囲気に懐かしさを感じつつも、コンビニが1軒もないなど思っていたほど便利ではない、ということは行ってみて実感しました。でも、そのゆったりとした時間は自分にとって贅沢でしたし、そんな中、泊まり込みで撮影できたことは、この映画の説得力にもなっているのかなと思いました。

EXILE TAKAHIRO(左)(C)2019「僕に、会いたかった」製作委員会
EXILE TAKAHIRO(左)(C)2019「僕に、会いたかった」製作委員会
― どのくらいの期間、滞在していましたか?

TAKAHIRO:3週間くらい?東京からだと、基本は飛行機2回、船2回乗って、片道6、7時間くらいかかります。海外並の移動時間です。

― 島に着いた瞬間にスイッチが切り替わりそうですね。

TAKAHIRO:「ちょっと帰りたい」と言っても帰れない距離なので、集中できましたね。その島のものを食べて、空気を吸って、島に流れている時間を感じて…役柄と向き合うには、一番集中できる環境だったんじゃないかなと。自分に戻るという時間も特になく、役柄そのもので、漁師みたいな生活をしていました。道がキレイで、車の数も少ないし、島もあっという間に1周できる距離なんです。バイクに乗りたかったな。

― ツーリングすると、気持ち良さそうですね。

TAKAHIRO:暖かい気候だったので、乗れたら気持ち良かっただろうなと思います。今くらいの季節で、ちょうど1年前?あれ、今日何日ですっけ?

― 3月27日です。

TAKAHIRO:ちょうど1年前だ!1年前の今日から行ってたんです。一番気持ちいいお花見の季節。

― 島でのお花見も楽しそうですね。

TAKAHIRO:僕らがいた場所には、桜がそんなになくて。ホテルの前に2本あったくらいでした。しかも駐車場(笑)。

― ロケーションが…(笑)。

TAKAHIRO:缶ビール1本だけ飲んで桜を見ましたけど、マネージャーとカメラマンと3人いう超地味なお花見でした(笑)。桜を見てるより携帯を見ている時間の方が長かったかもしれない。友達と酒飲んで、お花見したかったなって、それは心残りです。東京の桜が開花する前に島に行って、散る頃に戻って来ました(笑)。

EXILE TAKAHIRO「畳にアクアパッツァ」?撮影の思い出エピソード披露

EXILE TAKAHIRO(C)モデルプレス
EXILE TAKAHIRO(C)モデルプレス
― 島に3週間ほど滞在されていたということですが、島での生活で特に思い出に残っていることを教えてください。

TAKAHIRO:キャストの皆さんも一流の方ばかりで、学生役の皆も子役からやっている子たちばかりだったので、集中しやすい環境を力を合わせて作っていった感覚があるんですが、何よりも地元の方々が協力的だったので、公私共に本当に助けられました。お食事会というか物産展みたいなものも開いていただいて、島のおばさまたちが美味しい島料理を振る舞ってくださいました。お祭りみたいで楽しかったです。

― それはいい思い出になりますね。

TAKAHIRO:魚とか本当に見事でした。ほかにも、1回自分が釣ったメバルを旅館に持っていって、料理長に調理してもらったんですけど、東京から来たからってことで気を使ってくださったのか、アクアパッツァにしてくださって。嬉しかったんですけど、骨が多い魚なので、1口食べる度に骨が5本以上入っているっていう(笑)。畳にアクアパッツァは、かなり思い出深いです(笑)。

― (笑)。釣りは空き時間ですか?

TAKAHIRO:空き時間もですし、休日も釣りばかりしていました。場所を問わず釣れるんですよ。

EXILE TAKAHIRO(中央)(C)2019「僕に、会いたかった」製作委員会
EXILE TAKAHIRO(中央)(C)2019「僕に、会いたかった」製作委員会
― キャストの方と一緒に釣りをすることはありましたか?

TAKAHIRO:学生役の子たちが、釣りを全くしたことがないということだったので、一緒にしました。魚を見て「うわー!」と言ってましたし、竿をピューって投げたらポチョンって目の前に落としちゃうみたいな(笑)。教えてあげてました。

― 先生ですね。

TAKAHIRO:そうでしたね(笑)。撮影の合間にもずっと一緒に喋ってましたけど、やっぱり若いですね。新鮮です。

― EXILE TRIBEにも学生役のキャストの方と同世代のメンバーがいらっしゃるかと思いますが、違いましたか?

TAKAHIRO:もう少し自由な印象でした。ソファに深く座ったまま「おはようございます」って言われて、そのときは「社長か!」って突っ込みましたね(笑)。

― まさに先生!

TAKAHIRO:「イケメンだね。モテるでしょ?」って言ったら、「いやいや、TAKAHIROさんほどじゃないっすよ」って言われたこともあって(笑)、普段関わることのない子たちと過ごせて、面白かったです。

小市慢太郎、松坂慶子(C)2019「僕に、会いたかった」製作委員会
小市慢太郎、松坂慶子(C)2019「僕に、会いたかった」製作委員会
― 学生キャストのほか、お母さん役には松坂慶子さん。初共演の感想は?

TAKAHIRO:あのお美しさなので、現場に入ったときは後光が差すくらいの大女優オーラを放たれていました。でも、カメラが回った瞬間には、そのオーラが消えて“島のお母さん”そのものになっていて。僕は松坂さんの胸をお借りする気持ちで、短い期間でしたが息子として大きな器で受け止めてもらいました。ほかにも、小市慢太郎さんともご一緒するシーンがあったんですけど、とても優しい方でした。ゆっくり色んな話をしてくださったり、聞いてくださったり、お風呂も一緒に入りました。本当にいい出会いだったなと思っています。

― キャストの方々から刺激を受けた点、今後の役者人生において参考にしたい点など教えてください。

TAKAHIRO:松坂さん、小市さんたちを見て、やっぱり一流の人になると、一流ぶってないんだなということを感じました。スタッフさんに対する気遣いや優しさはもちろん、同じ目線で意見交換をしていましたし、例えば偉そうな振る舞いをするとか、僕も恥ずかしいことはしてはいけないなと思いました。作品を作る上で、色んな役職があって、俳優部とっていうのは、録音部や撮影部とか、その中のひとつでしかないんだなと、その姿勢から勉強させていただいた気がします。

EXILE TAKAHIRO、初挑戦で感じた「もどかしさ」とは…HIROからの“教え”も明かす

EXILE TAKAHIRO(C)モデルプレス
EXILE TAKAHIRO(C)モデルプレス
― 2019年は今作「僕に、会いたかった」に続き、映画「3人の信長」(9月20日公開)でも主演を務めることが発表されました。昨年はEXILEの復活イヤーということで、グループ活動が活発だったかと思いますが、今年、俳優業に力を入れるというのは計画していたことでしょうか?

TAKAHIRO:撮影自体は去年終えていて、公開が今年で、上手くハマった形だと思います。「僕に、会いたかった」も「3人の信長」も島根で撮影したので、演技の仕事ではほぼ島根にいたんです。僕はまるで島根俳優ですね(笑)。

― 新しいジャンルですね(笑)。

TAKAHIRO:第1号(笑)。

― 長崎、東京に続く、第3の故郷になったのでは?

TAKAHIRO:それくらいお世話になりました。長崎にも帰れてないのにと思いながら(笑)。でも、期間を空けずに色々な作品を届けられるとっていうのは、自分にとってはすごく良いことだなと思っています。

松坂慶子、TAKAHIRO(C)2019「僕に、会いたかった」製作委員会
松坂慶子、TAKAHIRO(C)2019「僕に、会いたかった」製作委員会
― 先程お話にも出てきましたが、今回は寡黙な役柄で、これまでのイメージを覆す挑戦かと思います。特に、第一報での無精ひげのビジュアルは大きな反響を集めましたよね。

TAKAHIRO:台詞が少ない役だったので、言葉という表現方法が1つ削られているんですけど、だからと言ってオーバーリアクションするような役柄でもないですし、色んなものが削ぎ落とされていっている気分でした。その分、どれだけ心の中にしっかりした軸を持っていられるかというのが勝負だったので、行動としては何もしないという難しさがあって。監督、キャストの皆さんと相談させていただきました。

― 役の感覚というのは、撮影が進む中で掴んでいきましたか?

TAKAHIRO:そうでしたね。監督からは、「池田徹を中心にほかの役がわちゃわちゃしているから、1人ポツンと佇んでいるっていうのが大切になってくる」「何もしなくていいよ」ということを言われました。とは言え、3週間何もせずには過ごせないので、自分の中にはもどかしさがあったんです。最後の方の撮影では、そのもどかしさが一気に解き放たれるシーンがあって、そこまではぐっと堪える時期でした。

EXILE TAKAHIRO(C)モデルプレス
EXILE TAKAHIRO(C)モデルプレス
― ラストに向けてのシーンは感動ポイントでもあり、TAKAHIROさんの役者としての新たな魅力が観られるシーンになっているかと思います。TAKAHIROさんご自身は、役者としての自分の強みはどこだと考えますか?

TAKAHIRO:僕と一緒の現場に入ると、HIROさんから差し入れが入るってことですかね。……そういうことじゃないですよね(笑)?

― ちょっと想像と違った角度からの回答でした(笑)。せっかくなので、LDH名物でもある差し入れについてもお伺いできれば!

TAKAHIRO:(笑)。今回は差し入れするにも船での運搬になるので、ちょこちょこ時期をみながら日持ちのことも考えて差し入れしました。毎日差し入れしようと思うと、差し入れ担当のスタッフさんが1人いるくらい距離があるので、できる範囲でにはなりましたけど、座長として現場に入っているので、盛り上げるという意味でも差し入れは意識していました。

実はそれってHIROさんからの教えでもあるんです。キャストの方々だけでなく、スタッフの方々は僕ら以上に時間を使って頑張ってくださっているので、気分良く過ごせる環境作りをしていきたいと考えています。さっきは冗談交じりにいいましたけど(笑)、そういう教えが身体に染み付いているというのは、役者としての自分の強みと言えるかもしれません。

― では、最後になりますが、モデルプレス読者に向け、今作のアピールをお願いします。

TAKAHIRO:今回演じた池田徹は今まで演じたことのない役柄で自分にとって初挑戦になりました。この映画を観て、今一度、周りの人や家族を大切に思う気持ちを思い出してもらえたら嬉しいなと思います。改めて立ち止まって考えてみないとできないこともたくさんありますし、人は一人では生きていけないということ、周りの人に支えられて生きているということ、だから誰かを支えなきゃいけないし、誰かのために生きるということの大切さを感じていただけるはずです。

あとは、島留学のことを知らない人もいらっしゃるかもしれないので、日本にはまだまだ素敵なところがたくさんあって、素敵な取り組みもあることを、日本の文化のひとつとしてこの機会に知っていただけたらと思います。

― インタビューは以上になります。ありがとうございました。

EXILE TAKAHIRO(C)モデルプレス
EXILE TAKAHIRO(C)モデルプレス
“見たことのないTAKAHIRO”――まさにその言葉通り、役者として新境地を開拓した今作「僕に、会いたかった」。インタビューでも語っていた“もどかしさ”を解放した終盤のシーンは必見。大事な人を思い出したり、家族に会いたくなったり…“当たり前”を改めて教えてくれる作品になっている。(modelpress編集部)

映画「僕に、会いたかった」(5月10日公開)概要

キャスト:TAKAHIRO/山口まゆ 柴田杏花 板垣瑞生 浦上晟周 小野花梨/宮本裕子 吉野由志子 川村紗也 斉藤陽一郎 清水 宏 山下容莉枝/秋山真太郎 黒川芽以 
小市慢太郎/松坂慶子
監督:錦織良成
エグゼクティヴ・プロデューサー:EXILE HIRO
脚本:錦織良成 秋山真太郎

<ストーリー>
ある事故をきっかけにして、記憶を失った男、徹。その後の日々を優しく見守る、母と島の人々。本島から島へ来る留学生たちとの触れ合いの中で、徹の記憶は蘇るのか?島の愛は、人の心を救えるのだろうか?その裏側には家族の、温かくも切ない秘密があった。

漁に出られなくなった元漁師は島で懸命に今を生きようとするも、「ありがとう」を言いたい人も忘れ、心だけが前に進まない。そんな男を、島の人々の優しさが包み込む。雄大な自然に囲まれた島で、男は“自分自身”を見つけることができるのか?事故の真相を知った時、男は…。

TAKAHIRO(タカヒロ)プロフィール

EXILE TAKAHIRO(C)モデルプレス
EXILE TAKAHIRO(C)モデルプレス
EXILEのヴォーカル。EXILE、ACE OF SPADESの活動のほか、ソロアーティスト・俳優としても活躍中。7月27日よりファンクラブライブ『TAKAHIRO 道の駅 2019』がスタート。2019年は主演映画「僕に、会いたかった」(5月10日)、映画「3人の信長」(9月20日)の公開が控える。

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