モデルプレスのインタビューに応じた井手上漠 (C)モデルプレス

“可愛すぎるジュノンボーイ”井手上 漠の素顔に迫る 「気持ち悪い」周囲の言葉に傷ついた過去・個性で道を切り拓くまで<モデルプレスインタビュー>

2019.03.17 21:06

今、“可愛すぎるジュノンボーイ”として井手上 漠(いでがみ・ばく/16)が注目を集めている。昨年行われた、月刊誌「JUNON」を発行する株式会社主婦と生活社主催の「第31回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で、DDセルフプロデュース賞を受賞した井手上はじわじわと話題を呼び、1月27日に放送された日本テレビ系バラエティー番組「行列のできる法律相談所」(毎週日曜よる9時~)に出演。17日の放送回では2回目の出演を果たした。モデルプレスはインタビューを実施し、コンテスト出場後の反響や自身のジェンダーへの思い、美の秘訣までたっぷり語ってもらった。

“可愛すぎる美少年”と話題の井手上 漠

人口2千人の島根県隠岐諸島の海士町出身、中性的なルックスが魅力のジェンダーレス男子である井手上は、ファイナリストの中で唯一無二の存在感を発揮し、JUNONの歴史に名前を刻んだ。コンテスト後、女子顔負けのキュートなルックス、163cm・49kgというプロフィール、SNSであげる自撮りが拡散され、ネット上では「逸材」「アイドルオーディションかと思った」「可愛すぎる男の子」といった反響が殺到。韓国の人気サイトでもまとめられるなど海外からもコメントが集まった。

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井手上漠の自撮りショット(提供写真)
井手上漠の自撮りショット(提供写真)
井手上漠の自撮りショット(提供写真)
井手上漠の自撮りショット(提供写真)
そんな井手上が今のスタイルを確立するまでには紆余曲折があり、小学校高学年のときは、「気持ち悪い」という周りの声を気にし、肩まであった髪もバッサリ切るなどし、周りの男子に合わせるようになる。しかし、「漠は漠のままでいいんだよ。それが漠なんだから」という母親の言葉に救われ、堂々と自分らしく生きるように。この体験を中学3年生のときに弁論大会で発表し、全国で2位になった。この“主張”はTwitterでも公開し、多くの反響を呼んでいる。

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島根県隠岐諸島の海士町出身の井手上 漠、診療所の先生の勧めで応募

井手上漠 (C)モデルプレス
― コンテストには診療所の先生の勧めで応募されたんですよね。

井手上:私の住む島・海士町には小さな病院が1つしかないんです。そこの先生が昔から毎回行く度に「受けた方が良いと思う」とすごく推して下さって、最初は「無理です」と断っていたんですけど、芸能界には結構興味があったので、気になって去年受けてみました。結構ベテランの男性の先生なんですけど、同じ病院の若いスタッフの方がジュノンボーイに詳しかったらしくて、コンテストのことを聞いたみたいです。

― 実際に選考が進むにつれて反響を感じるようになりましたか?

井手上:そうですね。やっぱりコンテストの最終選考会が終わった後はすごく反響が大きくて、SNSのフォロワーが増えたし、テレビに出演した後もすごかったです。

― SNSに寄せられるコメントには、海外からのものも結構ありますよね。

井手上:インスタにもTwitterにも色んな言語で来ますね。アラビア語だったかな?読めないから勉強しようかなと思うんですけど、アラビア語はちょっと難しいですね(笑)。

― 海外での反響などは、何をきっかけに知りましたか?

井手上:フォロワーの子たちがツイートでタグ付けとかをしてくれて、「載っていたよー」って教えてくれました。

井手上漠 (C)モデルプレス
― こうした形で知られるようになったことは、ご自身の心境としてはいかがですか?

井手上:嬉しいです。「可愛い」と言われる機会もすごく増えたし、私の個性を認めてくれるというか理解してくれる人も増えたと思うので。

― 島の皆さんの反応はいかがでしたか?

井手上:島の人は大体顔見知りで、皆家族という感じで仲良しなので、コンテストのときも祝福してくれました。やっぱり2000人だから覚えている人と覚えていない人がいるんですけど、例えば学校帰り歩いていたら「おかえり」って言ってくれて「ただいま」と返すのが普通です。東京だったら知らない人にいきなり「おかえり」と言われたらちょっとおかしいじゃないですか?でも、島ではそれが当たり前なので、島に帰ると家に帰ったみたいでちょっとほっこりするんです。

― 島にはコンビニもないんですよね?

井手上:ないです。夏休みとか長い休みのときに本土に行って、そのときにお洋服やコスメを買ったりします。東京に比べたら何もないんですけど、その代わり空はすごく綺麗で静かで、私は島が大好きです。

井手上 漠、苦悩した過去「気持ち悪い」と言われて…

井手上漠 (C)モデルプレス
― 今までの生い立ちを伺いたいです。弁論大会の文章も読ませて頂いたんですけど、自分が「可愛い」ものが好きだと気づいたのはいつ頃ですか?

井手上:「プリキュア」とか観ていたし、小さいときからそんな感じで育ってきたので、それが私の中では普通でした。小さいときは男女で遊ぶことも多いと思うんですけど、やっぱり学年が上がるにつれて思春期というか男子は男子、女子は女子と分かれることが増えて周りから「普通じゃない」と指摘されることも多くなってきて、自分と周りのギャップを感じて、小学校高学年のときがピークで辛かったです。

同じクラスの男の子に真顔で「気持ち悪い」と言われたことがあって、そのときは女の子もかばってくれたのでまだ耐えられていたし、笑ってごまかせていたんですけど、他校との交流が増えるようになったら、いきなり知らない男の子たちにも同じように言われて…。私にはどこが気持ち悪いか分からないけど、周りの男の子と比べたら私はちょっと違うのかな、というのは分かる。だから周りに合わせて変わればいいのかなと思って男らしくしてみたけど全く楽しくなくて。

― 髪の毛を短くしたり?

井手上:小学4年生くらいまでは髪の毛が長くて眼鏡かけてちょっと太っていたんですけど(笑)、小5のときにばっさり切って短髪になって、女友達から「どうしたの?」と聞かれても「ちょっとまあ気分転換ね」とか答えて。でもやっぱり喋り方や仕草とかは変わらないのに見た目だけ変えたから釣り合っていないのか、逆に余計「気持ち悪い」と言われるようになって…。「え?何すれば良いの?何のために髪切ったの?」と悩んでいたときに母が「漠は漠のままでいいんだよ。それが漠なんだから」と言ってくれて…。

― お母さんは気づいていらっしゃったんですね

井手上:私からは一切話さなかったんですよ。私の家庭は祖父が厳しくて「男は男らしくいろ」という考えだったので、プリキュアごっことかも好きだったんですけど、昔はよく言われなくて…。なかなかそのときは自分らしくいられなかったんですけど、母がそう言ってくれたおかげで「良いんだ。別に気にしなくていいや」と思えて髪も伸ばしたし、美容にも目覚めたし、ファッションやメイクを色々勉強して、今に至るので、本当に良かったです。

井手上漠 (C)モデルプレス
― 自分らしく振る舞うようになってからは、周りの反応も変わりましたか?

井手上:そうです。昔は太っていたし眼鏡かけていたし、今の写真と見比べると、整形したんじゃないかというくらい違うんですけど、そのときの私は嫌。自分の中でも暗い過去だからあんまり思い出したくないくらいなんですけど、美容に目覚めて見た目も理想に近づいたら女友達も男友達もファッションのことや美容のことを聞いてくれることが増えて弁論大会をきっかけに理解してくれる人も増えました。

― 弁論大会はどういうきっかけで出場されたんですか?

井手上:国語の先生と仲良しで、先生だけに見せるために作文を書いたら「これ、弁論大会に出してみない?」と言われて。最初は嫌だったんですけど、よく考えたらここは勇気を振り絞った方がいいのかなと思って頑張ってみました。

井手上 漠、家族の戸惑いも…理解を得るまで

井手上漠 (C)モデルプレス
― お姉さんもInstagramによく登場されますね。昔から応援してくれていた?

井手上:いや、1個上なんですけど、姉は周りから「漠ちゃんって変わってない?」とか「あれってどういう感じ?」と聞かれることが苦手だったみたいです。でも私には一切言わなかったんですよ。「もうちょっと男らしくした方が良い」とか言ってくることはあったんですけど「周りの人にいろいろ言われるからやめろ」と言われたことはないんです。当時は「男らしく」と言われることが嫌だったし、姉が周りからいろいろ言われていたことは知らなかったので、今思えば申し訳なかったというか。でも、弁論大会とジュノンボーイ・コンテストに出て、姉も見る目が変わってくれたのか、今はすごく応援してくれています。昔から仲は良いんですけど、今も本当に仲良しで、逆に物の取り合いとかで喧嘩しますね(笑)。

― 女きょうだいが弟にお化粧してその影響を受ける、という話はよく聞きますけど、そういうわけではないんですね。

井手上:全然全然!逆に姉にメイクしていました。そこから姉がメイク道具とかにこだわるようになって今は一緒に共有したりしてすごく楽しいんですよ。

井手上 漠、周りやファンから「救われた」という声も

井手上漠 (C)モデルプレス
― 弁論大会の文章はTwitterにも載せていますが、同じような悩みを持っている方から、「救われた」といった反響もあるのでは?

井手上:あります、あります。同じ悩みを持つ子に自分の考えを伝えることは、私が1番したかったことだからすごく嬉しいなと思います。私の知り合いにも悩んでいる子がいて、オープンにしたいのにできないという子もいるんですよ。そういう子の助けになりたいんですけど、やっぱり周りに告白する勇気が出ないという悩みが多くて。そういう悩みがある中で個性を批判されるというのは本当にどれほど悲しいか、というのは、他の方にもしっかり分かってもらいたいです。私はすごく辛かったです。だから、理解してあげてほしいし、そういうメッセージを発信するために弁論大会に出て全国まで行って良かったなと思います。

― 今もそういう気持ちを持って少しでも救いになりたいという思いで、発信している?

井手上:そうですね。Instagramのストーリーの質問箱にも相談が沢山来るんですけど、「どうやって勇気を出せば良いか分からない」とか「もしオープンに言って逆にもっと言われたりしたら悲しいな」とか、葛藤している子が多いんです。でも、「漠ちゃんを見たら私も頑張ろうと思います」とか、「私ももっとこれから自由に生きても良いんだなと思いました」と言ってくれたりして、そういうのはすごく嬉しいですね。

井手上漠、レディース服を着ることも

井手上漠 (C)モデルプレス
― 服はレディースを着ることも?

井手上:スカートを履いたりはしないんですけど、レディースも着ますね。身長が低いのでレディースの方がサイズ感的にも合うんですよ。スキニーとかもメンズのSよりレディースのMとかで買った方が合ったりするので。

井手上漠 (C)モデルプレス
― “女の子の服を着たい”という感情ではない?

井手上:うーん、別にないですね。可愛いものには惹かれるけど、「スカートを履きたい!」とか思うわけではないですね。ただ色んな服に挑戦してみたいなとは思います。

― 自分だけのジャンルというか。

井手上:そうです。

井手上 漠、メイク&美肌の秘訣は?

井手上漠 (C)モデルプレス
― メイクはしますか?

井手上:します。荒れちゃうかなと思って、ファンデーションとかは塗らないんですけど、その分アイメイクとかリップとかですね。

― すごくナチュラルです。

井手上:「薄い」と言われますね。昨日ヘアメイクさんに「眉毛の位置が上下違うから、付け足したほうが整うよ」と言われて、「確かに~」と思って今日は実践してみました。

― アイシャドウは塗っていますか?

井手上:塗ってないです!でも昨日塗ってもらって、すごくキラキラして可愛い~と思ったので、塗り方とかも勉強しようかな。

― 普段のアイメイクを具体的に教えて下さい。

井手上:目元はマスカラと、目尻にちょっとラインを入れます。KATEのデザイニングアイブロウのブラウンを使ってほんのちょっと入れるくらい。“鬼オーバーライン”(※下まぶたの目尻に入れるラインのこと。ギャルモデル岩本紗也加のメイクで有名)と言うらしいんですけど、ここにラインを入れると結構目の印象がぱっちりするらしいです。

井手上漠 (C)モデルプレス
― 美容に目覚めたと話されていましたが、肌もすごく綺麗ですね。いつもしているこだわりのスキンケア法などはありますか?

井手上:本当ですか?元々肌はすごく弱かったんですよ。今は白くなった方で昔は黒かったし。逆に色んな化粧水とかを試しすぎて荒れちゃった時期があって、病院行ってお薬もらったんですけど塗れば塗るほど薬の効果に肌が頼っちゃうから逆に弱い肌になっちゃって。でも無印良品の化粧水と乳液にしたら、私にはすごく合っていて肌の調子が良くなったので、それからずっと使っています。そこから肌が強くなったのか、前はパックをしても荒れていたんですけど今は大丈夫になりました。でも今はテニス部のマネージャーをしているので、日焼けをしないように日焼け止めはちゃんと塗っています。

― そうなんですか!前は運動部だったんですか?

井手上:前はもうバリバリバレー部でした!髪も短髪だったし。

― 女の子に告白されたことは?

井手上:ありましたけど…少ないですよ。

― 学ランを着ている写真も公開されていましたが、カッコいいなと思いました。

井手上:本当ですか?ありがとうございます。

― 「行列~」では「今はまだ恋愛対象が分からない」とおっしゃっていました。

井手上:そうなんですよ。「女優さん可愛い」とか「男の人カッコいい」とかそういう感情はあるんですけど、「恋愛対象はどちら?」という聞かれ方をすると、経験がないのでまだわからないんです。人柄に惹かれると思うので、性別ではないのかも。

井手上 漠、今抱く夢

井手上漠 (C)モデルプレス
― 今後の目標や夢を教えて下さい。

井手上:一番はモデルのお仕事に興味があります。でもやっぱりテレビに出て楽しかったのでタレントさんも良いなと思うし、演技も楽しそうだなと思うし、色んなことをやってみたいです。

― 憧れの人を1人あげるとしたら?

井手上:渡辺直美さん。個性的だし、1回外国に留学して帰ってきてから、さらに人気が出ましたよね。昔は太っているのがコンプレックスだったらしいんですけど、今はそれを武器にしてるじゃないですか?彼女の影響力・発信力もすごいなと思います。

井手上漠 (C)モデルプレス
― 最後に井手上さんが考える“夢を叶える秘訣”を教えて下さい。

井手上:特技を増やして、自信をつけること。自分を好きになれないと人にも好かれないって言うじゃないですか?だから自分を好きになるためには、自信を持つことだと思います。自信を持つためには、好きなことを増やすこと。趣味とかを増やすこと。そしたらその中から自信のつくものができて、きっと自分のことも少し好きになれて、自分のことを好きで大事にできたら色んな人にも好かれるんじゃないかなと思います。

― ありがとうございました。

井手上漠/コンテストではSEKAI NO OWARIの「RAIN」を虹色の傘を持って歌った(C)モデルプレス
井手上漠/コンテストではSEKAI NO OWARIの「RAIN」を虹色の傘を持って歌った(C)モデルプレス
井手上と話していると、本当に性別がどちらか、などということはどうでもいいことのように思えてきた。

彼は、弁論大会の“主張”で、自分らしく生きられなかった苦悩の時期を「色のない、白黒の毎日でした」と表現し、「雨上がりの空にかかる虹が美しいようにさまざまな色が輝き、調和すればこの世界はもっと美しくなると思うのです。一人ひとりが自分を自由に表現できる世界。そんなカラフルな世界を一緒に作っていきましょう」と呼びかけていた。

これから井手上が生きる世界が、もっともっとカラフルになりますように。そんな願いを込めて、応援し続けたい。(modelpress編集部)

井手上 漠 プロフィール

井手上漠 (C)モデルプレス
井手上漠 (C)モデルプレス
いでがみ・ばく 島根県隠岐郡出身、在住。東京に来るのに約1日かかる。2003年1月20日生まれの高校1年生、16歳。B型。163cmの49kg。コンテスト応募のきっかけは、島の診療所の先生に勧められて。特技は、歌・絵・バレー。中学3年生のとき、「第39回少年の主張全国大会」に島根県代表で出場、文部科学大臣賞(2位)を受賞。第31回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト ファイナリスト、DDセルフプロデュース賞を受賞。

■第32回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト応募受付中。詳細は公式HPにて。
https://www.junon-boy.jp/contents/138587



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