シェネル「Happiness」のヒットが変えた運命 日本ブレイクの影で生まれた葛藤と道のり
2015.02.03 18:00
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昨年放送のフジテレビ系ドラマ『ディア・シスター』の主題歌「Happiness」で多くの女性の涙を誘ったシェネル(31)。“恋する女性に最も支持されている女性アーティスト”“ラブソング・プリンセス”の冠で呼ばれる彼女の名が広く知られたのは、2011年、TEEの「ベイビー・アイラブユー」を英語でカバーしたことがきっかけ。その後、2012年に公開された映画『海猿』の第4作『BRAVE HEARTS 海猿』で主題歌に起用された3rdアルバム「ビリーヴ」がヒット。その流れを継いだ「Happiness」では、さらなる共感と反響を得た。
“ラブソング・プリンセス”シェネルが歌う理由「だから私はこの仕事をしている」
シェネルのデビューは2007年。シングル「ラブ・ウィズ・DJ」で世界デビューを果たした。現在もロサンゼルスに在住し日本との往復生活を送る彼女は、両国にて精力的に音楽活動を行っている。ヒット曲の多くがラブソングで、昨年は結婚式で最も人気の女性アーティストとして「ISUM ブライダルミュージックアワード2014」を受賞するなど、まさに“ラブソング・プリンセス”。日本でも活躍し、日本語の歌詞を歌うシェネルだが、日本語は「ちょっとだけ聞き取れるくらい」。読みもローマ字でふりがなを振ってもらい、その音で歌詞を覚えるという。ではなぜ、あんなにも感情を込めて日本語の歌詞を歌うことできるのか?きっと何百回とされてきた質問だろう、それは「私にも分からないの(笑)。いつも答えに困ってしまうのよ」と笑った。
「でも、生まれた土地のマレー語の母音のシステムが日本語に似ているの。だから、覚えることはできるんです。あとはメロディーと言葉、そして“Love”を込めるバランス…その中で、自然とやっていることだと思うわ。『Happiness』について言うのであれば、元々は違う歌詞だったんだけど、歌ってみると何かがしっくりこなかった。ドラマの内容を聞いて、最初の歌詞は少しそれとは違う気がしたの。そこから少しずつ変えて、最後にタイトルは私が決めたわ。『何かいい言葉はない?』って聞かれて、『Happiness』ってね」。
幼い頃から音に触れ、自然と歌の道へ進んだというシェネル。音楽というものが身体に染み付いているからだろうか。胸の奥深くを突き刺すような歌は、彼女の中にある“何か”から自然発生している――「なぜそれができるかは分からないけど、だから私はこの仕事をしている。伝えることは私の役目なの。みなさんはそれを受け取って、幸せになって欲しい。伝えることも受け取ることも、とても大事な役目なのよ」。
日本ブレイクの影で生まれた葛藤―知られざる歌姫の想い
天性の歌姫も、日本でのブレイクには少し驚いていた。「最初は早い展開にどうしようって気持ちもあったけど、今考えると『もうこんなに経つんだな』って感覚。すべてが火花のようにバーンって感じです」。もちろん、すべてが順調に進んだわけではなく「この数年でチャレンジングだったことは、歌いたくないテーマや曲は歌わない、って主張すること。ケンカが好きじゃないから、それを人に言うのがすごくチャレンジングだった。すごく大変だった」と胸の中には葛藤があったようだ。「J-POPってなんだろう、そして自分が日本語で話すってなんだろうって、すべてが実験的だった」と振り返る「ベイビー・アイラブユー」から3年。「Happiness」では、葛藤を乗り越え自分を出し切った。
「誰もがヒット曲を作りたいって思うんだろうけど、『Happiness』の場合、ドラマもヒットしたことが嬉しかったんです。これまでとは違うファン層を広げることができた。そして、そのことでもっともっと音楽に対する意欲が高まったんです」。
「声が出ない」極限の状態で生まれた名曲「だから恐れないし、ギリギリに攻め込んでいる」
今、手応えを感じている彼女が「集大成であり、成功の証。そしてすべての証」としてリリースするのが1年半ぶりのオリジナル・アルバム「シェネル・ワールド/シェネル」(2月11日発売)。「これまでも受け入れてもらえたって実感したことはあったけど、このアルバムが受け入れてもらえることはまた少し違う。このアルバムは私そのものだから、自分が鳴っているの。だから恐れないし、ギリギリに攻め込んでいる。どんな反響をもらっても、それが新しい自分に対するインスピレーションになるはずってね」。
「自分が鳴っている」――シェネルは、この言葉を裏付けるようなエピソードを明かしてくれた。
「『Die For You』って曲はね、最後の最後にレコーディングした曲なの。あと5日で締め切りってときに、病気になって声が出なくなって、でも時間がないって状況に陥ったんです。それで、もう間に合わないってくらい追い込まれてレコーディングしてたんだけど、歌詞がピンとこなかった。メロディーが持ってるポテンシャルは高いのに、歌詞にロマンスや深さが足りない気がした。だから、締め切り前日の夜10時、作詞家さんを呼んで歌詞を書きなおしてもらったのよ。結局明け方の4時にできあがったんだけど、やった甲斐がある曲だったなって思えるの」。
「あなたがその幸せに値する人間であるということを信じてほしい」
「歌いたいものを歌う」。それは、彼女が手に入れた何よりの成功であり、幸福なのかもしれない。理想を追い求めたシェネルは夢を追いかける人々へ、こうメッセージを送る。「夢を見ること、目標を持つことっていうのはもちろんそうなんだけど、自分がそれに値する人間であるということを分かってほしいの。あなたがその幸せに値する人間であるということを信じてほしいの。女の子なんか特に潜在的に私にはあんなキャリアは…って思ってしまいがちだけど、Why Not?あなたなら大丈夫よ」。エネルギッシュで繊細。彼女の印象は、彼女の歌声そのものだった。満ち溢れるパワーと細い糸を紡いで作られたような儚さ――“ラブソング・プリンセス”の心には、そんな両極端なエネルギーが宿っている。
そして最後に、恋する女性へのアドバイスを聞いてみると「恋をしている人もしたいと思っている人も、まずは正直になろうね。そして、あなたの価値をちゃんと分かっている人を選んでくださいね。あなたがあなたであることを喜んでくれる人を選んでくださいね」と、とびきりの笑顔。きっとこの言葉に、多くの女性が勇気付けられる。(modelpress編集部)
シェネル プロフィール
ロサンゼルス在住の実力派シンガー。2007年「ラブ・ウィズ・DJ」で世界デビュー、日本でもヒットし日本ゴールドディスク大賞の新人賞を受賞。2011年「ベイビー・アイラブユー」の英語カバーでブレイクし、“ラブソング・プリンセス”と称される。さらに、カバー・アルバム『ラブ・ソングス』で日本ゴールドディスク大賞を受賞。映画『BRAVE HEARTS 海猿』の主題歌となった「ビリーヴ」は170万ダウンロードを突破、USEN J-POP 年間1位、アルバムは35万枚突破、日本ゴールドディスク大賞でアーティスト・オブ・ザ・イヤー(洋楽部門)を含む計5部門を受賞した。2014年には、フジテレビ系ドラマ木曜劇場「ディア・シスター」主題歌に起用された「Happiness」が、多くの女性から支持を受け主要音楽配信サイトで30冠を獲得した。
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