「やる気が出ない脳」が覚醒、集中モードに! 集中力ゼロの日々が劇的に変わる「小さく始める5分」
【脳科学者が解説】やる気は自然にわくものではありません。「小さな行動」が脳の中のやる気のスイッチを押してくれます。少しの工夫で脳を集中モードに切り替えるコツをご紹介します。(※画像:Shutterstock.com)
新生活シーズンがスタートして、およそ1カ月。心身ともに疲れがたまり、「やる気が出ない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
人間は、喉が渇けば水を飲みたくなり、おなかがすけばご飯を食べたくなります。生きていくために必要な本能的欲求は、脳の「視床下部」という部位の働きによって自然に生じます。
しかし、仕事や家事など、日常生活でやらなければならないことに対しては、同じようにはいきません。「やる気」は自然にわいてくるものだと考えがちですが、実際には違います。
「やる気が出たから行動する」のではなく、「行動するからやる気が生まれる」のです。分かりやすく解説します。
脳の「報酬系」を刺激! 行動がドーパミンを生み「やる気」につながる
初めてのことに挑戦するときは、結果が分かりません。心の中に期待と不安が入り交じり、なかなか行動に移せないことがあります。
しかし、そのようなときは、とりあえずやってみることが重要です。行動した結果うまくいくと、脳内の「報酬系」というしくみが働き、ドーパミンという神経伝達物質が分泌されます。「成功した!」「やった!」という達成感や喜びが生まれ、自分の行動とその結果に加えて、“ご褒美がもらえた”という事実が関連付いて記憶されます。
この記憶こそが、次に同じことをしようとしたときの「やる気」につながるのです。
たとえうまくいかなかった場合でも、努力を誰かに褒められたり、「次は違う方法でやってみよう」と前向きな気持ちが生じたりしたときは、同様に報酬系が働きます。結果として、次の行動へとつながることがあるのです。
「5分だけ」でOK! 集中モードを生むのは「小さな行動」
「何となくやる気が出ない」ときこそ、まずは小さく始めることが大切です。
あまりに大きな目標を立ててしまうと、最初の一歩が踏み出せません。山登りでも、いきなり山頂を目指すのではなく、準備ができたらまずは登山道に入ってみることです。「次の分岐点まで」「小さな峠を登り切るまで」といった、一区切りつきそうな小さな目標を設定することです。前に進みやすくなります。
「つらかったらそこで止めてもいいんだ」と、焦らず、構え過ぎずに進んでいけば、気付けば小さな目標地点をクリアできているものです。がぜんやる気になり、繰り返すうちに登頂が実現できたりするものです。
仕事や家事も同じです。面倒で、やる気が出ないとどうにもならないようなことでも、「とりあえず5分だけ」と決め、できそうなところから始めてみましょう。
仕事や勉強なら、5分間だけタイマーをかけ、とりあえず資料を開いて眺めるだけでもいいでしょう。運動なら、5分間だけストレッチや散歩をしてみましょう。
とにかくまず大切なのは「動くこと」です。5分たってもやる気がわかなかったら、本当に5分で止めてしまってもいいのです。5分やっただけでも、目標を達成したことに変わりありません。その点に満足し、自分を褒めましょう。脳はドーパミンの分泌によって一定の報酬を感じ、そのうち「もう一度5分だけやってみよう」となるはずです。脳の報酬系が働き始めることで、「気付けば30分以上、集中していた」といった状態も出てきます。
やる気を邪魔する不安があるなら、環境や行動を思い切って変えるのも有効
また、やる気を妨げる漠然とした不安は、脳の不要な活動(いわばノイズのようなもの)によって生じると考えられています。そのため、思い切って環境を変えたり、別のことに取り組んでみるのも有効です。
たとえば、
・好きな音楽や読書に没頭する
・普段と違う感じの服を着て外出する
・映画鑑賞や友人との食事を楽しむ
など、「いつもと違うこと」をあえて行ってみましょう。やりたくないけどやらないと……」というプレッシャーから一度自分を解放できます。いわゆる「リセット」の状態にするのです。
一方で、「スマホをだらだら見る」行為はおすすめできません。そもそもスマホを見たくて見ているわけではないでしょうし、頭の片隅に「やらないと……」という思いが残り続け、十分なリフレッシュにならないためです。
全く違う環境に切り替え、本当にやりたいことに没頭することで、不安が薄れ、自然と新鮮な気持ちで再び行動できるようになるでしょう。
最後に、よく眠れない、食欲がわかない、体が動かないといった心身の不調が続く場合は、無理をしないことが大切です。一人で抱え込まず、専門家や信頼できる人に相談することをおすすめします。
薬学博士・大学薬学部教授。東京大学薬学部卒業後、同大学院薬学系研究科修士課程修了。東京大学薬学部助手、米国ソーク研究所博士研究員等を経て、現在は武蔵野大学薬学部教授として教鞭をとる。専門である脳科学・医薬分野に関し、新聞・雑誌への寄稿、生涯学習講座や市民大学での講演などを通じ、幅広く情報発信を行っている。
執筆者:阿部 和穂(脳科学者・医薬研究者)
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