結婚前夜、娘に「私を産んで後悔してる?」と聞かれて、20数年開けなかったフォルダを見せた話
後ろめたかった日々
娘が小さいころ、私は仕事と家事に追われていました。夫の帰りも遅く、娘とゆっくり向き合う時間が取れない毎日が続いていたのです。仕事から帰宅して、娘がすでに寝ている家でひとり夕食をかきこむ夜が何度もありました。「私はちゃんと母親をできているのだろうか」。そう自分に問いかけては、答えが見つからないまま朝を迎える、そんな日々を繰り返していました。
「お守り」と名づけたフォルダ
ある夜、夕飯の片づけを終えて娘の寝顔を見にいったとき、私はとっさにカメラを向けて1枚だけ撮りました。仕事で打ちのめされた帰り道に、その写真をそっと開いて見ると、「明日もこの子のために頑張ろう」と思えたのです。それからは、辛い夜のたびに娘の寝顔を撮るようになりました。フォルダ名は「お守り」。誰にも見せたことはありません。気がつけば20数年で、写真は何百枚にもなっていました。
突きつけられた質問
引っ越しを翌日に控えた夜、娘と二人で夕食をとっていました。話題が途切れ、お茶をすすっていたときです。娘がまっすぐこちらを見て、こう聞いたのです。「私を産んで後悔してる?」と。
「ちょっと待ってね」とだけ答え、エプロンのポケットからスマホを取り出したのです。「これ、お母さんのお守り」。フォルダを開いて娘に見せました。「仕事で辛い夜、寝てるあなたの顔を撮ってたの」と、言葉を選びながら初めて打ち明けたのです。
そして...
「後悔したことは、一度もないよ。でも、自信がなくなった夜なら、何度もあった」と伝えました。娘は涙を流しながら「ごめん、お母さん」と謝ってくれました。私は首を振って「謝らないで。聞いてくれてありがとう」と返しました。20数年、誰にも言えなかった本当の気持ちを、ようやく娘に届けることができた夜でした。翌朝、新居へと旅立つ娘の背中を見送りました。届いたメッセージは「お母さん、ありがとう」のひとこと。私はそれを、「お守り」フォルダの最後にそっと保存したのです。
(50代女性・パート)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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