「経験を積んでから」と提案を流された新卒の私→1年後の全社会議で社長が出した結論
笑顔で資料を返された日
1ヶ月かけてまとめた資料を、企画営業部の月例ミーティングで発表しました。経費精算の手順を変えれば、月に約30時間の業務削減ができるという内容です。 発表が半分ほど進んだところで、部長が穏やかに微笑んで言いました。「これは経験を積んでからまた持ってきてよ」。私はそのまま資料を返され、次に何を言えばいいのか分からなくなりました。会議室にいた先輩たちは、誰一人として顔を上げません。会議のあと、部長は廊下ですれ違いざまに「若手はまず仕事を覚えるところから始めようか」と笑いかけてきました。
黙ったまま座り続けた1年間
その日から私は、会議で発言することをやめました。手を挙げかけては引っ込め、意見を求められても「特にありません」と返すようになったのです。提案書はパソコンの中で眠ったままでした。 同期に話しても「うちの会社、上の人そういう感じだよね」で終わりました。転職サイトに登録して、夜遅くまで他社の求人を見る日が続きました。仕事は普通に続けていましたが、自分の中の何かが薄れていく感覚がありました。1年経つ頃には、自分はこの会社に必要とされていないんじゃないか、という思いが膨らんでいました。
全社会議で挙げた手
2年目の春、初めての全社会議に参加しました。社長が議題の最後に「現場から改善案はないか」と問いかけたのです。会場には誰の声も上がらず、手を挙げる人もいませんでした。私は隣の席にいた部長の様子をうかがいました。眉間にしわを寄せ、明らかに「黙っていろ」と伝えてくる空気でした。 それでも、私は手を挙げました。1年間しまっていた提案書を、自分でも頼りなく感じる声で読み上げ始めました。経費精算の手順を変えれば、月に約30時間の業務削減ができるという内容です。会場の空気が、少しずつ変わっていくのがわかりました。
そして...
私が話し終えると、社長は私の顔をまっすぐ見て言いました。「これは素晴らしい。なぜ今まで上がってこなかった?」。そして、視線を部長に移したのです。部長は何も言えませんでした。会議室には、本物の沈黙が流れていました。 会議のあと、別部署の課長から「うちで一緒にやらないか」と声をかけていただきました。私は今、改善案を採用していただいたチームに異動して、毎日が新鮮です。あの1年間、黙っていた自分を悔やむ気持ちもあります。けれど、もう一度手を挙げられたあの瞬間が、私の社会人人生の本当のスタートだったのだと、今は思っています。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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