「出戻りだからね」ママ友の輪から外された半年間→娘の一言で気づいた、壁の向こう側にあったもの
駐車場で聞こえた声
4月、娘の入園式を終えた駐車場でのことです。先に出ていたお母さんたちの会話が、春の風に乗って聞こえてきました。
「あの人、出戻りだからね」
声の主はすぐにわかりました。同じクラスの女の子のお母さんで、教室で目が合ったとき、ふいっと視線を外した人です。鞄の持ち手を握る指先が冷たくなりました。
聞こえていないふりをして、娘の手を引いて車に乗り込みました。エンジンをかけてから、自分の手が小さく震えていることに気づきました。
どこにも座れない場所
それから半年、行事のたびに胃の奥がきゅっと縮みました。親子遠足のお弁当の時間、周りのお母さんたちは自然と輪を作りますが、私たち親子の隣に座る人はいません。
「ママ、あっちで食べたい」と娘が指さす先には、いつもあのママ友たちのグループがありました。「こっちのほうが気持ちいいよ」と笑ってみせるのが精一杯です。
帰りの車でため息をつく日々が続きました。私が何をしたわけでもない。ただ「別れた女」というだけで、この場所には私の席がないのだと、少しずつ思い知らされていきました。
娘からの問いかけ
秋の発表会の帰り道、娘が不思議そうに聞いてきました。「お母さんたち、なんで一緒に遊ばないの?」
娘が毎日のように園で遊んでいる女の子、そのお母さんが駐車場で「出戻りだからね」と言った人だと、娘は知りません。「大人はちょっと複雑なの」としか答えられませんでした。
すると娘はまっすぐこちらを見て、こう言ったのです。「じゃあ私が関わったら関わりたくなるかもね」5歳の言葉に、返すものが何も見つかりませんでした。
そして...
翌週の参観日。教室の前で、あのママ友と向かい合う瞬間がありました。娘たちが並んで絵を描いていて、2人でこちらに何かを見せようとしています。
逃げられない空気の中、私は小さく頭を下げました。「いつもうちの子がお世話になってます」相手も一瞬だけ間を置いて、同じ言葉を返してくれました。
ぎこちない挨拶でした。でも娘が隣で嬉しそうに笑っていたあの顔を見て、壁が溶けなくても、小さな窓くらいは開くことがあるのだと、少しだけ思えたのです。
(30代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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