誰にどのくらいあげるのがいいの? お年玉の由来と始まりとは
お正月といえばお年玉ですよね。恒例のものだから…… と特に深く考えずにあげている人が大半だと思いますが、お年玉には意外な起源があったんです。お年玉は誰にどれくらいあげるのが適当なのかについてもご紹介します。
お年玉の起源とは?
お正月、特に子供達が楽しみにしているのがお年玉です。お年玉が始まったのは、諸説ありますが、鎌倉時代頃だといわれ、江戸時代には庶民に浸透していたようです。
さて、お年玉にはさまざまな由来があります。ここでは3つの由来についてご紹介します。
無病息災を願う縁起物
ひとつ目は、無病息災を願う縁起物として始まったというものです。
お年玉は、もとは「御歳魂」と表されていました。
この御歳魂というのは、新年を迎えるために年神様をお迎えするためにお供えされていたお餅のことを言います。
年神様とは、一年に一度、お正月に一年分の福徳を持って高い山から人々が暮らすところに降りてくる神様のこと。
昔から人々は、豊かで幸せな生活をもたらす年神様を大切な存在としていました。
そのため、目印にしてもらうもの(依代)として門松を、お供物としてお餅を供えて迎える準備をしていました。
お供え物としての役目を終えた後は、家族に分け与えられ、御歳魂を受け取ると、その一年は無事に暮らすことができると言われていました。
豊かな生活を願うもの
この御歳魂は、年神様の生命にも例えられることがあります。
年神様がお正月に山から降りてきたとき、お供えであるお餅に自身の魂を込めて帰ると言われていました。
年神様は穀物神で、五穀豊穣のご利益があります。
年神様が魂を込めたお餅をいただくことで、健康長寿を願い、食べ物に困ることなく豊かな生活をすることができるといわれたのです。
当時、人々の主な収入源は農業でした。
同じように五穀豊穣を願う神様として宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)がいます。
この神様はお稲荷さんとして知られており、昔から人々の身近にいて厚く信仰されてきました。
それほど五穀豊穣というのは当時の人々にとって重要な生命線であり、大事なものだったのです。
このお供え物として用意されたお餅は、残さずに全て食べ切ることがよしとされていました。
そしてこの魂をいただくお料理としてお雑煮が始まったといわれています。
年の初めに賜るもの
お年玉と呼ばれるようになった由来は、「年の初めに賜るもの」だからともいわれています。
年神様のお供えのお下がりとして賜るもの、つまりお餅が始まりです。
しかし、時代が進むにつれて、お金にかわり、一年の一番初めにもらうお小遣いのことをお年玉と呼ぶようになったというものです。
ちなみに、お年玉の「だま」が「玉」と書かれるのは、年神様にお供えしていたお餅が丸餅だったからだといわれています。
ポチ袋にも由来があった!
ポチ袋の「ぽち」とは、関西弁で小さいとか、ほんの少しということを表します。
つまり、ポチ袋とは「ほんの気持ちです。」とか「ささやかなものですが……。」という謙遜を表すことから名前がついたといわれています。
謙遜の気持ちをポチ袋という名前に込めるなんて、いかにも日本人らしい発想ですよね。
お年玉はなぜお金なの?
お金になったのは昭和からお年玉がお金で渡されるようになったのは、昭和に入ってからだといわれています。
それまではお年玉としてお餅が渡されていました。年神様のお供えのお下がりとして配るというのがスタンダードです。
年末の餅つきでお供え物の他にも丸餅をたくさん作って、新年の挨拶などで配ったケースもあったようです。
ですから、大人も子供も年齢に関係なくお年玉をもらうことができました。
昭和に入り、高度経済成長を迎えると、お年玉はお小遣いの要素が強くなります。
餅ではなくお金で渡されるようになり、子供だけがもらえるものにかわってきたそうです。
お年玉を渡す時のマナーとは?
年上の人、目上の人には渡さないお年玉がお金で渡されるようになってから、年上の人や目上の人に渡すことはマナー違反となりました。
お金を渡すというのは、基本的に「上から下」にすることで、下から上に渡すことは失礼だとされたのです。
ただ、自分が社会人の場合、高齢の親や親族に渡すのはあり。
今までお世話になった恩返しや日頃の感謝を表すものとして渡すことは、マナー違反ではありません。
必ず袋に入れる
お年玉を渡す時には、必ず袋に入れましょう。基本的に袋であればなんでもいいのですが、せっかくなのでポチ袋に入れることがおすすめです。
お年玉は、年の初めに渡すものであり、「一年元気で過ごしてね」とか「楽しい一年にしてね」などの想いを込めて贈られるもの。
だからこそ、明るい色合いだったり、縁起のいいモチーフのイラストが入っていたり、もらった人が明るく楽しい気持ちになることができるものを選ぶのがいいですよ。
新札を用意する
お年玉で渡す時には、できるだけ新札を用意しましょう。
一年のスタートには、折り目のない新札がふさわしく、
「これからの一年、さまざまな経験や喜びごとで自分なりのシワを増やしていってくださいね」
という、贈る側としての思いやりでもあります。
小さなポチ袋に入れるときは折っても構いませんが、なるべくやわらかく折り目をつけるようにするといいですよ。
突然お年玉を渡すことになってやむを得ず折り目の入ったものを渡すこともあると思います。
そういったときはしょうがないので、できるだけ手持ちのお札の中でも綺麗なものを渡すようにしましょう。
汚れや破れのあるものは縁起が悪いので渡さないようにしてくださいね。
誰にいくら渡すのか
渡す金額は、奇数が好ましいとされています。
小学生には、低学年だと1,000円〜3,000円、高学年だと3,000円〜5,000円が相場。
中学生以上では5,000円〜1万円くらいが最も多く、最近は電子マネーで送金する人もいるそうですよ。
お年玉の由来を知ってお正月を迎えよう
年神様へのお供え物としてはじまったお年玉は、今ではお正月のお小遣いとして子供達の楽しみの一つとなっています。
お年玉は、みんな知っているものなのにその由来を知らない人がほとんどです。
だからこそ、お正月にみんなで集まったとき、このような由来を伝えてからお年玉を渡すと盛り上がるかもしれませんね。
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