ウエディングプランナーに聞く、現代女性の結婚観は?
2017.06.22 20:30
今春、10代~50代の女性1400人に行った化粧品ブランドSK-IIの調査では、女性の半数近くの人が30歳を節目だと感じていることが明らかとなりました。仕事、結婚、出産、育児とやりたいことがたくさんある女性だからこそ、周囲と比べて葛藤を感じることもあるのかもしれません。
ウエディングプランナー岩泉ピアンが明かす現代女性の結婚観
― まず岩泉さんのお仕事について教えてください。具体的にどのようなことをやってらっしゃるのでしょうか?岩泉:私はウエディングプランナーなのですが、特に「人前式」を専門とした「人前式プランナー」として活動しています。人前式というのは、形式や格式にとらわれず、神仏ではなく、列席された方々に結婚の証人となってもらうスタイルなんです。服装も自由ですし、場所も自由。ご希望に合わせて行うのが人前式です。どちらかというと現在の日本は、「結婚式」となると、結婚式場を探しに行く方が多いんです。「ここで挙げよう」とか「いや、こっちにしよう」とか、ハード面で探される方が多いんですね。私は、新郎・新婦のおふたりにカウンセリングして、そのおふたりにとってベストな結婚式をプロデュースします。例えば列席者のなかに、車椅子の方がいらっしゃったら、その方も参加できる会場を探します。特にうちは30代~40代のお客様が多く、お年を召した身内の方もいらっしゃるので、細かなご要望も聞いて進めています。
― 結婚のスタイルが多様化しているんですね。
岩泉:はい。結婚式を挙げない方もいらっしゃいます。いろいろな意見があると思いますが、式を挙げるお金で新居を構えたり、ちょっと豪華な新婚旅行のために使ったりする方もいらっしゃいます。それに転職する方も、独立される方も多いですよね。終身雇用という時代でもありませんから、会社の方を結婚式に呼ばなくてもいい時代になっているんです。ですから、挙げない方も本当に多くなりましたし、挙げたとしても身内だけであったり、ふたりだけで結婚式をする方もいらっしゃいます。結婚式に関する考え方もすごく変わりました。
― お客様の新婦さんも、ご結婚後も共働きされている方も多いイメージです。
岩泉:はい。ご懐妊されたら考えるとか、産休、育休を取ったあとに復帰される方も多いですね。
― プロデュースといったら、色々と準備することが多いんですよね?具体的にはどのようなお手伝いをされるんですか?
岩泉:まずは会場探しですね。そしてヘアメイクさん、お花を準備する人…フローリストさん、司会者の方など、新郎新婦に合わせたチームづくりも重要です。
― あとは料理をつくる方とか?
岩泉:そうですね。レストランの場合は大丈夫ですけど、何もない場所ではケータリングをします。フロア係の方や、テーブル、椅子なども用意しないといけません。
― 何もないところで、結婚式をする方もいらっしゃるんですか?
岩泉:はい。例えば今週でしたら、古民家でやるんですよ。大学の会議室とかでやったこともありますし。お客様のご要望を聞いて進めています。
SK-IIが10代~50代の女性1400人を対象にした調査結果を発表
― SK-IIの調査によると、30歳を迎えることに葛藤があると感じる声が、他の20、40、50歳という節目に比べ最も多いという結果に。半数近くの方が、年齢の節目のなかで、30歳に対するモヤモヤを抱えているという結果が出ているそうです。岩泉:結婚観が多様化していることもあり、20代の女性の半数以上が「日々の生活には満足している」ものの、「このままでいいのだろうか?」と葛藤することもあるといいますね。
― 岩泉さんは、この調査結果をどうお考えですか?
岩泉:そうですね。確かにそうだと思います。私はずっとウエディング業界におりますので、スタッフも周りが女性ばかりなんです。以前は結婚式場に勤めていたんですが、新卒の8割くらいは女性が入社するんですね。そして20代後半になると結婚して退職する方、そのまま働いてマネージャーなど、責任あるポストに就いている方、さまざまですが、どちらも充実した日々を過ごされている一方で葛藤もあるものと思います。
― 以前働いていらした結婚式場では、女性から結婚したいという想いを感じられたことはありますか?
岩泉:そうですね、やはり女性ばかりの職場でしたから。同期が結婚すると、そんな雰囲気にはなっていましたね。男性が少ないので、よく私も「誰か紹介して」といわれていました(笑)。
― 調査によると、20代の女性の60%以上が、SNSなどの投稿による情報で、周りと自分を比べてしまうという結果も出ているそうです。知人の結婚式とか、パーティの写真とかですね。
岩泉:みなさん結婚と同時に、出産ということも考えてなんですよね。この歳までに結婚しよう、この歳までに第二子を産もうとか。そういう計画を持った方が多いですね。親のこともよく話に出ます。結婚式に関しても、自分たちのためというより、親のために挙げるという方も多いんです。お父さんとバージンロードを歩きたいとか、ウエディングドレス姿を見せてあげたいとか。
結婚と仕事、両立しにくい環境を改善したい
― 30代を迎えるにあたって、親とか家族というキーワードも入ってくると思いますか?岩泉:30歳を迎える頃から、親のことを考え始める女性が多いですね。ちなみに男性は30を過ぎてからの方が多い。
― 昔のイメージだと、親が「早く結婚しなさい」と言ったり、お見合い話を持ってきたりとか、女性は早く結婚するのが良いみたいな風潮が強かったかと思いますが、現在はそういう感じではないと思いますか?
岩泉:はい、違いますね。個人の考えが強くなっていると思います。どちらかというとキャリアの問題の方が強くなっているのではないでしょうか。このまま仕事で昇進したら、役職に就くなど忙しくなるかもしれない。仕事とプライベートのどちらかを選ばないといけないのか。どれも充実させるためには、どうしたら良いか。その狭間が30歳だと思います。
― 最後にウエディングプランナーというお仕事をされている岩泉さんの結婚観をお願いします。
岩泉:女性の人生が多様化している中で、ひとりで生きていくのもひとつの道ですし、結婚するのもひとつの道です。仕事を続けてもいいし、辞めてもいい。子供を産んでも、産まなくてもいい。本来は選択肢が増えているはずなのですが、女性が結婚や出産をしても働ける環境が整っている所が少ないので、結婚をするか、しないかによって人生が変わってしまうこともあります。これだけ優秀な女性がたくさんいるのに、やはりまだまだ日本では、様々なサポートが足りない。結婚するしないに関係なく、少しでも女性が生きやすい世の中を作っていくために何かお手伝いできたらと思います。
― ありがとうございました。
(modelpress編集部)[PR]提供元:VICE
※本内容はVice Media Japanのインタビュー記事をもとに作成しております
岩泉ピアン(いわいずみ・ぴあん)プロフィール
Peanne∞Wedding代表。日本人とフィリピン人のハーフ。幼少期はフィリピンで暮らし、7歳のときに日本へ移住。友人の結婚式を手伝ったことをきっかけにブライダルに関心をもち、28歳でブライダル業界に転身を決意。アニヴェルセル株式会社では、500組以上のプランニング実績を持ち、スペシャリストプロデューサーに認定。その後、株式会社ベストブライダルで支配人を経て、2015年に株式会社PEANNEを設立。関連記事
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