レザーバッグ「KIYOKAWA」のデザイナー松村美咲さん 物作りを未来ある職業に

60年創業で婦人向けフォーマルバッグのOEM(相手先ブランドによる生産)から始まった清川商店(東京)が19年に立ち上げたレザーバッグブランド「KIYOKAWA」。デザイナーの松村美咲さんは自社の強みを生かしつつ、国内の職人の技術を次世代につなげる考えで物作りに取り組んでいる。
(吉野光太朗)
国産だからできる
松村さんは創業者の孫で17年に入社した。入社前は「アトリエフォルマーレ」でバッグ作りを学んだほか、大手アパレルで営業や、デザインを学ぶためにイタリアへの留学を経験した。KIYOKAWA立ち上げの際、〝自社の強みは何か〟を考えた。そして、祖業でアイデンティティーでもあるフォーマルバッグを現代でも持てるようにデザインすること、職人の高齢化が課題となる中、「技術を次世代につなぐ」ために、国内メーカーと作るオリジナルの素材を使うことにした。
〝質の良い素材〟というと、海外の物が挙がることが多い。だが、松村さんは、国内だからこそ密に取れるコミュニケーションを大切に、自分たちがどういう素材を作りたいかをメーカーに丁寧に伝え、やり取りをする中で、理想的なデザインを追求している。アイテムはマチの形や立体的なフォルムにこだわりつつ、シンプルに仕立て、素材の良さが引き立つようにする。

ブランドで特徴的な革は、姫路のタンナーと協力して、薄い色を入れた下地に濃い色を塗り重ねて、グラデーションで奥行きのある色合いを表現している。付属品にもこだわる。例えば、がま口のショルダーバッグの口金。アクセサリーを研磨する職人が、一本一本を手作業で磨き、刷毛(はけ)目を付ける。同バッグは20年度に日本皮革産業連合会(皮産連)が主催する国産の革製品コンテスト「ジャパンレザーアワード」も受賞した。フォーマルバッグは約5万~9万円。



自社工房もある東京都墨田区吾妻橋に直営店を構える。店頭にはKIYOKAWAと、同社のカジュアルバッグブランド「アッズーニ」の製品が並ぶ。浅草駅と東京スカイツリーの中間地点にあり、インバウンドの来店も多い。営業日には、松村さん自ら店頭に立ち接客する。客から得た声を商品製作にも反映している。店には作業場を併設し、ブランドのアイテムは無料でメンテナンスを受けている。


次世代につなげる
自社ECでも販売している。直近で、3月に合同展示会「トラノイ・パリ」に皮産連が主催する日本のブース内で出展したほか、4月には大丸東京店で期間限定店を実施した。「革、金具をはじめ、職人の方々に協力頂くことで、バッグ屋が頑張るだけでは作れない製品を作れている。素材にも職人がいることを伝えたい」と言い、「日本の物作りを未来ある職業にしたい」と考える。
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