

《私のビジネス日記帳》パンストと創造性 ナオキ・タキザワ・デザイン代表 滝沢直己
2025.05.07 06:26
提供:繊研plus

独立後は、多くの企業経営者と仕事をしながらデザインの気付きを得てきました。中でも、印象に残っている一人が柳井正さん。それまでもデザイナーとしての創造性とクライアントの要望との間で葛藤がありましたが、今回の相手は大躍進中のグローバル企業。自分のデザイン力がどれほど通じるのか。しかし、その不安は柳井さんの言葉で氷解しました。
最初の面談で「滝沢さんにとって、最も素晴らしい衣服のデザインって何ですか?」と問われました。僕はありふれた答えを返しましたが、柳井さんのそれは、パンティーストッキング。びっくりしましたが、その後の柳井さんの話には納得しました。いわく、「パンストの登場によって、女性は気にせず足を出せるようになったから」。つまり、女性の着方を変える新しいファッションを生み出すきっかけとなったアイテムというのです。そんな服がユニクロの目指すところと聞いた時、ぜひともユニクロと仕事をしたいと考えました。師である三宅一生さんも服の着方を変えた一人でしたから。
時に、「実験的な服作り」という言葉を耳にすることがありますが、服によっては着る人を実験台にしているのでは、と疑問を感じることもあります。川久保玲さんなど突き抜けた個人による美を追求した服作りとそれとは違います。先輩デザイナーたちと同じくらい、コンビニに当たり前にあるパンストをデザインされた人に敬意を払いたい。そんな風に思いながら、自己のデザインに対し自問する毎日なのです。
(ナオキ・タキザワ・デザイン代表 滝沢直己)
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「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。
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