「ウィン or ルーズ」より

“吹っ切れた”少女が選んだ結末に「胸が苦しい」…ピクサー新作が心に刺さる<ウィン or ルーズ>

2025.02.22 08:10
「ウィン or ルーズ」より

ピクサー・アニメーション・スタジオ初の完全オリジナルアニメーションシリーズ「ウィン or ルーズ」の第1話、第2話が2月19日に配信された。世界的ヒットを記録した映画「インサイド・ヘッド2」(2024年)の製作総指揮を務めたピート・ドクターCOOが本作でも製作総指揮を担当しており、それぞれのキャラクターの視点で描かれるストーリー構成に「心に刺さるシーンが多い」といった反響も上がった。(以下、ネタバレを含みます)

さまざまなキャラクターの視点で描かれる8つのエピソード

同作は、中学生男女混合ソフトボールチーム「ピクルス」のメンバー8人を中心に、1週間後に迫る大きな試合までの期間をさまざまな思いを抱えて過ごしていく様子を描いた物語。全8エピソードで構成され、選手、彼らの家族、審判員など各話ごとに異なるキャラクターがフィーチャーされ、複数の視点で同一期間の出来事を多角的に映し出している。

脚本・監督を務めるキャリー・ホブソンは幼い頃にソフトボールをやっていたということで、所属するチームの監督が自身の父親だったという境遇から「実際に自分自身に起きた経験から生まれたキャラクターだった」と、経験からインスピレーションを受けたキャラクターも登場しているとコメントしている。

第1話の「コーチの子」は、そんな彼女自身を投影したようなエピソードがブラックユーモアあふれる表現とともに展開。このエピソードの主人公は、ピクルスのメンバーで“コーチの子”ローリーで、「誰かが勝てば誰かが負ける。だけど勝つって何? どう見るかで変わるんじゃない」というモノローグから始まる。

試合への不安とチームのコーチを務める父親からのプレッシャーに押しつぶされそうなローリーは、いつしか不安の塊“汗ボール”を背負うことに。ローリーにしか見えない汗ボールは、励ますどころかさらに彼女にプレッシャーを与え続ける厄介者。そんな中、ローリーは父をがっかりさせたくない一心で猛特訓を決意し、試合に挑むことに。当日のバッターボックスでも精神的に追い込まれるローリーだったが、ひょんなことからプレッシャーが吹っ切れたことで“勝利”のために大胆な選択をする――。

誰もが人生で一度は経験したことがあるプレッシャーだけでなく、親との関係性などが複雑に絡み合い、あたふたするローリーを見ていて胸が苦しくなる瞬間が多々訪れた。また、どこか的外れのような励ましをする彼女の両親にも少しいら立ちを覚えてしまう。

そして彼女が「自分のため」ではなく「誰かのために」と選んだ“デッドボール”という選択には思わずゾッとしてしまい、第1話からパンチが効いたストーリー展開だ。

自己防衛し続けた主人公・フランクの切ない恋物語

第2話の「審判」では、ソフトボールの主審を務めるフランクの人生がコミカルに描かれている。審判であり学校の教師でもある彼は、どのチームにも贔屓(ひいき)をしないフェアな存在であろうとしている誠実な男性。そんな彼は恋愛になるとどこか殻を破れず、元交際相手で同僚のパク先生とは気まずい関係性が続いていた。思い切って恋愛アプリに挑戦した彼は、自分の本心にようやく気付き思い切ってパク先生に思いをぶつけようとするも、彼女には新たな相手が既に存在していた――という切ないストーリーだ。

崖から一気に落とされたような気分になるラストシーンにすべてを持っていかれそうになるが、フェアであろうとする彼が学校の教師として“毒親”たちと向き合う姿も描かれている。冒頭の試合では正確な審判をしたがゆえに親たちからクレームを受けるような場面もあり、学校でも同様にカンニングを注意したことによって親からのクレームに対応している。

審判を主人公にしようとした理由をホブソン監督は「私はいつも審判がかわいそうだと思っています。どんなスポーツのレフェリーたちも。彼らは自分の仕事をできるだけ正確にこなそうとしています。特に中学生くらいの年齢だと、プロではないですが、審判の内容によっては親たちが怒るのです。だから、私たちはそれを表現したかった。第一に、『このかわいそうな人を罵倒する前に、よく考えなさい』」と述べており、劇中では彼女のメッセージが表現されていることが伝わってくる。

結果的にはフェアであることで自身を過度に守り続けてきたフランクが、親からのクレームにより殻を破る決意をするという展開を迎えるのが、最後のオチも含めてリアルな人生っぽい。どちらかといえば大人に刺さりそうなエピソードだった。

プレッシャーを抱えるローリーや自己防衛が強いフランクとどちらの主人公に対しても、SNS上では「大人向けな気がする」「抱えるプレッシャーに感情移入してしまった」「胸が苦しい…」「心に刺さるシーンが多い」など、視聴者から共感の声が寄せられている。

「ウィン or ルーズ」はディズニープラスにて毎週水曜に2話ずつ最新エピソードを配信中。

◆文=suzuki

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