スタイレム瀧定大阪、独自のスポーツ素材開発に力 登山やマリンへ拡販
スタイレム瀧定大阪は、スポーツ・アウトドア分野に向けた独自の機能素材開発に力を入れている。21年に立ち上げたm.o.v.e.室が中心となり、開発、販売を強めている。用途はゴルフウェア向けが多いが、「市場が限られる」(飯田悟司事業本部第一事業部副事業部長兼m.o.v.e.室室長)として、登山やマリンスポーツ、スポーツファッション分野へ拡販する。輸出先も中国、韓国に加えて欧米に広げる。
注目素材を複数揃える。汗冷えを防いで暖かさを保つ軽量素材「PPコンポ」は、ポリプロピレン(PP)を裏面に使うことで肌面の水分を素早く表面に吸い上げてドライ感を保ち、衣服内の熱を逃がさない。ウィンタースポーツやマリンスポーツ向けのパーカやパンツ向けで好評だ。
住友化学の温度調節樹脂を使った調温素材「パッシブ・コントロール」も、好評を受けている。固体ポリマーを芯に、フルダルのポリエステルなどを鞘(さや)に使う芯鞘構造で、温度調節材料の含有量が多い糸を開発した。気温が急激に変化しても繊維の温度変化は緩やかで、快適な温度を長時間維持できる。洗濯耐久性も高く、調温効果が長く続く。インナーやパンツなどでの採用を想定する。
協業商品も充実する。防風素材「ウインドディフェンダー」では、三菱商事ファッションの高機能素材「ディアプレックス」と協業し、高い撥水(はっすい)性と透湿性、防風機能を備えた高機能素材を開発した。ウインドディフェンダーを使った3M(スリーエム)との協業商材は、中国での展示会で出し、海外にも広げる。
環境配慮素材の引き合いが強い。ダイキン工業が開発した非フッ素系撥水剤「ユニダイン」を使った生地は量産し在庫する。コートなどアウター向けで、複数の有力ブランドが採用する。無水染色素材「ゼロアクア」にも注目が集まる。タイに加え、ベトナムでも量産化しており、今後はベトナム製が中心になる見通し。欧米スポーツ向けに広げる構えだ。
カジグループのテキスタイルブランド「カジフ」との協業では、レディス、スポーツ向けを充実する。仮撚り加工糸でナチュラルな表情に仕上げた7デニールの超軽量撥水ナイロンタフタが特に人気だ。ダウンジャケット用途で複数のグローバルファッションブランドに採用されるなど勢いがある。
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