ギャルの神様・くみっきーから学んだ「自分を好きになる方法」

ギャルの神様・くみっきーから学んだ「自分を好きになる方法」

2024.06.14 11:10

アラサーの私にとって、くみっきーさんは文字通り「ギャルの神様」だった。

田舎の進学校に入学し、校則を守ることを大切にしていた部活に入っていた当時の私は、くみっきーさんのような明るい金髪をMIX巻きにしたヘアスタイルも、カラコンやつけまつげをつけたバチバチのメイクも、スカートを短くしたり、シャツのボタンを開けてリボンをゆるくつけたりするファッションも何一つできなかった。

けれど、毎月発売日に本屋に立ち寄っては『Popteen』を買い、次の発売日まで何度も何度もメイクの解説ページやファッションのページ、彼女の言葉を読み返すのが大好きだった。

同じような日常を送れなくても、同じコスメや服を買えなくても、似ているものを探して真似てみる。洗面台の前で雑誌を開き、何度も鏡と誌面を見ながら髪を巻いて練習する。くみっきーさんのような金髪に憧れて、金髪のウィッグを買ってかぶってみたり、新品じゃ高いからと、誌面で着ていたパステルピンクのココルルのオーバーオールをフリマサイトで買ったりもした。

きっと、私だけじゃない。同じような女子中高生は、東京だけに限らず、たくさんいただろう。自分とは全く違う、東京という都会で生きるキラキラした、16歳の女の子。自分とは違う、憧れの存在。

そんなくみっきーさんが2024年5月に出した『ちゃんと自分を好きになる。(舟山久美子/KADOKAWA)』には、ギャルマインドとはまた違った、「わたしはわたし」のマインド術が書かれている。

冒頭の、“わたしは長い間、「自分が好き」なふりをしてきました”という言葉には、当時の裏側に触れた気がして少しドキッとさせられたが、当時のくみっきーさんも同じように、家族との関係や、友達との関係に悩む、一人の普通の女子高生としての一面を持っていたのだと、改めて感じて少し安心もした。

この本には、女子中高生の憧れだったくみっきーさんが活躍の裏で悩み続け、走り続け、そして休むことを余儀なくされた当時のこと。そこから丁寧に時間と努力を重ねて、自分を好きになっていったこと、そして、これを読んだ読者が“ちゃんと自分を好きになる。”ように、決して上から目線でも、「こうしなさい」という命令でもなく、心に寄り添うように書かれている。

■ギャルの神様から、母親へ

この本の最初の項「PART1」で、くみっきーさんは自分が選んだ最初の一歩としてギャル時代のことを語っており、そこからはさまざまな葛藤や苦労がありながらも、並々ならぬ努力を重ねながら世間から求められる、当時の“ギャルの神様 くみっきー”を創っていたことが窺える。

「家族も事務所もわたしが!」と、たった10代の女の子が背負うには大きすぎたであろう責任を背負いながら、27歳で体調を崩して入院するまでひたすら頑張り続けてきたくみっきーさん。

入院をきっかけに、“頑張っているはずなのに上手くいかない”という現状を作り出しているのは、自分かもしれない、とふと思い、これまでアウトプットの連続だった日々や、話し合いを避けていたことからくる歪みであることに気づいたというが、これは他人からの期待に応えようと頑張る人、真面目な人、心優しい人など、多くの人が陥りやすいことだと思った。

頑張り続けることにも、自分で解決できることにも、限界がある。けれど、一人で頑張り続け、解決していく経験を重ねれば重ねるほど、人は他人に頼ることが苦手になっていくだろう。

本の中でくみっきーさんは「旦那さんとお付き合いをして、ようやく『わたしはくみっきー』じゃなくても一人の人間としてここにいていいんだ』という感覚を取り戻すことができました」と振り返る。そして、自分がゆっくりと解けていく感覚があった、とも。

自分の理想像を作ることは悪いことではない。けれど、“自分はこうでなければいけない”と勝手に自分に課せば苦しくなってしまう。それはくみっきーさんと同じように、表に出る仕事を続けてきた人間だけに言えることではなく、さまざまな場所で生きる私たちや、妻や母になる際にも言えることだ。

外から見える自分ではなくて、ありのままの自分に向き合うこと。本当の自分の心の声に、素直になること。

自分を好きになることは、簡単ではない。でも、少しずつ認め、好きになっていくことはできる。自分の内側に向き合い、素直になることがその第一歩なのだ。

仕事のこと、結婚のこと、身体のこと。将来のことについて考えると、不安になる。だから、考えなくていいように、前だけを向いて目の前のことを必死にやっていく。けれど、そんな日々には限界があるし、疲れてしまう。

現代社会と闘う私たちだからこそ、幸せに生きることができるように、一度立ち止まることが大事なのだと改めて感じた。

■丁寧に積み重ねて作られたマインド

この本を純粋に“いいな”と感じ、実践していきたいと思えたのは、自己啓発本にありがちな、自身の経験から指導するようなやり方や言葉ではなく、あくまでもくみっきーさん自身が長い時間の中で、少しずつ丁寧に積み重ね、「わたしはわたし」マインドでいられるようになったことが、同じ目線で、あくまで経験として書かれているから。

「〇〇しなさい!」「××するべきだ」と言われると、できていない自分に自己嫌悪を抱いたり、こうしないと! と、また自分に理想像を押し付けてしまうだろう。

決してそうではなく、この本の「PART 2」の項目では、自分を好きになるために、どういったことを大切に積み重ねていったかはもちろん、実際の一日のタイムスケジュールや、ルーティンが紹介されており、当時の雑誌を読んでいたかのように構えず読むことができる。

「なりたい自分」になり切ってみること。「なりたい自分」ならどんな選択をするか考えて、自問自答と、少しずつその選択ができるようになる成功体験を重ねる。心にも、時間にも「余白」を作って、気持ちや人と向き合う。それを少しずつ、少しずつ、できるようにしていく。

「PART3」の項には「ちゃんと自分を好きになる」ための10のアドバイスが書かれているが、こちらにも、上から目線の言葉も、否定的な言葉も、一切出てこない。

あくまでも、「こういう経験があって、こういう考えだったけど、こうすることで良くなったんだよね」くらいのスタンスで、くみっきーさんが心掛けていること、大切にしていることが書かれている。だからこそ、スッと心に入ってくるし、自分の心の絡まりが解けていていくヒントになるのだ。

■「ちゃんと自分を好きになる」ために

わたしはこの本そのものが、そっと寄り添ってくれる、自分のお守りになるような本だと思った。

世間一般で求められる、“自分を好きになること”や“自己肯定感をあげること”を強要したり、「これを読んで変わろう!」と外側から第三者の言葉で人を変えていったりするようなものではない。自分が、この本を読んでヒントを得ることで、改めて自分に向き合うきっかけをくれ、少しずつ、“じゃあ、どうしよう?”と自分で考えるように寄り添い、導いてくれる本なのだ。

本の最後には「わたしプランノート」というものが設けられており、実際に書き込むことができるのだが、そこには「最近、幸せだなあと感じたのはどんな時ですか?」「子どものときからいままで、ほめられて嬉しかったことはなんですか?」など、自分を紐解いていくような質問が並んでいる。

実際に書き込んでみると、“そういえばそうだったな”と、忘れがちな本当の自分の一面を知ることができたし、くみっきーさんと同じように向き合うことを避けてきたはずなのに、なんだか自分に向き合う「わたしプランノート」を書く、その時間そのものがとても愛おしかった。

■ゆっくり、少しずつ、時間をかけて、自分と向き合う

現代社会を忙しなく生きる私たちは、すでに頑張っているし、偉い。だからこそ、これからも、無理せず、幸せに生きていくために、時間と心に「余白」を作るきっかけが必要なのだと、改めて感じさせられた。

当時高校生だった私がくみっきーさんのカレンダーのお渡し会に参加した時、憧れだった彼女は眩しいくらいに強く輝いていて、口から心臓が飛び出そうになるくらいドキドキした。けれど、今回この本の中で感じた彼女は、まるで柔らかい光のように、そっと寄り添うような安心感をくれた。

これから先、何かに悩み、立ち止まり、自分が分からなくなることもあるだろう。そんな時は、改めてこの本を、自分で書き込んだ「わたしプランノート」を読み返したいと思う。

「本当の自分は何がしたいか」をいつでも思い出すことができるような、人生に栞を挟むことができる、そんな本だと思った。

(瑞姫)

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