縫製業界から喜びの声 特定技能への対象追加決定を受けて

2024.04.01 06:27
提供:繊研plus

特定技能制度における工業製品製造業分野の新たな業務区分の一つに縫製が追加された。これまで技能実習制度を活用し、技能実習生が物作りの一端を支えていた国内縫製業や関係者からは歓喜の声が上がる。

(森田雄也)

岐阜市で縫製工場のアイエスジェイエンタープライズを営み、技能実習生の受け入れ窓口となる監理団体、MSI協同組合の代表理事も務める井川貴裕さんは「この時を切望していた」と喜びの声を上げる。生産の海外移転で衣料品自給率が低下し、国内の物作りの存続が危ぶまれるなか、井川さんは繊維職種追加を求めて、かねてから署名活動を行ってきた。制度が実施されると、「もちろん活用し、外国人材を入れていきたい」とする。

岐阜県関市で縫製業のオールウィンを運営し、岐阜県既製服縫製工業組合の理事長の野呂誠さんも、今回の決定を「良かった」と話す。国内とフィリピンのセブ州マクタン島に自社工場を持つ同社は、現地の工員を技能実習生として日本に招いてきた。帰国後も現地で働いている縫製工員が今も複数いる。特定技能追加でそういった人材を「再度日本に呼べる」という。

一方で懸念もある。一つは制度の正しい活用だ。MSI協同組合の井川さんは、「制度を正しく理解・活用し、共生社会への実現に向けて動いていく必要がある」と強調する。かつて制度を不正利用する縫製業者が後を絶たなかったことを踏まえての発言だ。

運用の全容が周知できていないことへの不安も募る。岐阜市の縫製業、サンワークの浅野勝三社長は「今回の決定は業界にとって良かった」としながらも、「試験が増えるなど、企業のコストや労力といった負担が増える可能性がある」と指摘。さらに、「円安もあり、外国人材がそもそも集まりにくくなっている」ことも危惧する。

関連リンク

関連記事

  1. 坪由織物、パリ単独展で商談進む 環境配慮に美しい色
    坪由織物、パリ単独展で商談進む 環境配慮に美しい色
    繊研plus
  2. 豊島 韓国サンダル「ミュールボーイ」の独占輸入代理店契約
    豊島 韓国サンダル「ミュールボーイ」の独占輸入代理店契約
    繊研plus
  3. 【早割あり】23年秋冬 繊研レディストレンドセミナーのご案内
    【早割あり】23年秋冬 繊研レディストレンドセミナーのご案内
    繊研plus
  4. レリアン 新社長に石田俊哉氏
    レリアン 新社長に石田俊哉氏
    繊研plus
  5. 2023年秋冬メンズコレクションのトレンド10選【前編】
    2023年秋冬メンズコレクションのトレンド10選【前編】
    GQ
  6. ホープインターナショナルワークス、自己破産申請へ
    ホープインターナショナルワークス、自己破産申請へ
    繊研plus

「その他」カテゴリーの最新記事

  1. 桂文枝 師匠の先代文枝夫人の死去を明かす「奥様が旅立たれました」96歳、優しさに感謝
    桂文枝 師匠の先代文枝夫人の死去を明かす「奥様が旅立たれました」96歳、優しさに感謝
    デイリースポーツ芸能
  2. 柏木由紀子、夫・坂本九さんの思い出を語る「いつもニコニコニコニコ笑って」日航機事故から40年
    柏木由紀子、夫・坂本九さんの思い出を語る「いつもニコニコニコニコ笑って」日航機事故から40年
    デイリースポーツ芸能
  3. 滋賀の湖東繊維工業協同組合が新ブランド「蒟蒻麻絲」 こんにゃく糊付け加工を駆使
    滋賀の湖東繊維工業協同組合が新ブランド「蒟蒻麻絲」 こんにゃく糊付け加工を駆使
    繊研plus
  4. プロ野球選手会がSNS投稿の規制緩和&見直し求める「ファンの声を大事にしてほしい」NPBとの事務折衝で訴え
    プロ野球選手会がSNS投稿の規制緩和&見直し求める「ファンの声を大事にしてほしい」NPBとの事務折衝で訴え
    デイリースポーツ
  5. 「あんぱん」の貴島中尉、10年前のXで「かつぶしまん」に触れていた…「あさイチ」で似てる指摘
    「あんぱん」の貴島中尉、10年前のXで「かつぶしまん」に触れていた…「あさイチ」で似てる指摘
    デイリースポーツ芸能
  6. 大谷翔平 第3打席は得点圏に走者置くも空振り三振 豪快なフルスイングもファウルに ド軍は1点差に迫られる
    大谷翔平 第3打席は得点圏に走者置くも空振り三振 豪快なフルスイングもファウルに ド軍は1点差に迫られる
    デイリースポーツ
  7. 大谷翔平 特大の6号先頭弾で異例の飛距離訂正 約7メートル伸びて137メートル 記録係は「わからない」右翼手がぼうぜんと見上げた驚異の一撃
    大谷翔平 特大の6号先頭弾で異例の飛距離訂正 約7メートル伸びて137メートル 記録係は「わからない」右翼手がぼうぜんと見上げた驚異の一撃
    デイリースポーツ
  8. ドジャース 楽勝ムードが大暗転 先発のミラーがグランドスラム&ソロを連続被弾 3回6失点KO 最大6点リードがまさか 本拠地が騒然
    ドジャース 楽勝ムードが大暗転 先発のミラーがグランドスラム&ソロを連続被弾 3回6失点KO 最大6点リードがまさか 本拠地が騒然
    デイリースポーツ
  9. 紙通帳派のダイアン津田 母からの「元気にしてる?」電話は「催促の言葉」毎月仕送りの親孝行
    紙通帳派のダイアン津田 母からの「元気にしてる?」電話は「催促の言葉」毎月仕送りの親孝行
    デイリースポーツ芸能

あなたにおすすめの記事