「ケイスケヨシダ」「ピリングス」単独で24年秋冬のショー 思い入れのある会場で
東京のファッションウィークは一段落したが、その後もブランド単独のショーが相次いだ。それぞれに思い入れのある会場を選んで見せた。
自然体のドレープ
立教大学の正門を会場にした「ケイスケヨシダ」(吉田圭佑)は、歴史を感じさせるモリス館を通り抜ける演出で見せた。ファーストルックはハーフ丈のトラウザーにランドセルを手にした少年のようなモデル。ソフトスーツを思わせるジャケットは、袖が長く緩やかに落ちる。立教学院は吉田の母校。「小学校から大学までの16年間を過ごした時間のなかで自分の美意識が育まれていった」と振り返った。スクールカラーの紫、聖歌隊のキャソックの赤を差し色に、艶っぽさのあるテーラーリングのスタイルを広げた。
構築的な強さを特徴にしてきた吉田だが、そこから解放されたような、自然体のドレープラインやカットの美しさが目を引く。コンパクトな立ち襟の付いたコンビネゾンやドレス。胸元のピンタックとウエストの切り替えをアクセントに、膨らみを持って落ちるラインが品の良さを感じさせる。キャソックを応用したマント風ウェアは、袖下を開放した布がひるがえり、直線のカットが映える。布の動きを誇張するバランスが新しい魅力となった。「一つの人間像を作らず、自分の心を掘り下げて出てきたイメージから制作した」と吉田。
創造の余白を残す
自由学園明日館の講堂を会場にした「ピリングス」(村上亮太)は、造形的なフォルムでリルクローズアイテムを作った。冒頭に登場するのは様々な色やラメ糸を使った抽象画のような意匠、イレギュラーなうねりを描くケーブル編みのセーター。軸となるハンドニットのアイテムは多彩に広がる。下に合わせるのはドレープがフロントにたまるような膨らみを作るトラウザー。縮絨(しゅくじゅう)したツイードのセットアップもフロントのたまりがアクセントだ。歴史的な洋服の美意識からは外れたフォルムだが、柔らかな色彩やボリュームとともに愛おしい感情や心地よさが湧いてくる。白シャツに合わせたニットパンツもフロントが膨らむ。ねじりのモチーフが施されプリミティブな美しさを放っている。
村上が目指したのは、創造の余白を持たせたクリエイション。「ふと宮沢賢治の作品を思い出し、マルかバツで判断するのではく、不思議なものを不思議なまま楽しむ心のきっかけを作りたいと思った」と話す。ベーシックなケーブルニットのカーディガンはドットの立体モチーフがキラキラと輝く。近づくと、それは天使の人形と分かり、温かな余韻を残す。
(須田渉美、写真は加茂ヒロユキ)
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