DtoCブランド「アクレント」 在庫に希少性を持たせて客を引き付ける

2021.05.17 06:30
提供:繊研plus

ライフェストジャパン(東京)が運営しているDtoC(メーカー直販)ブランド「ACLENT」(アクレント)が売り上げを拡大している。20年の売上高は1億3000万円だったが、21年は3月までで7000万円となり、年間では3億円に達する見込みだ。

(藤川友樹)

アクレントは19年6月に立ち上げた。2人のブランドディレクターがインスタグラムでファンを作り、毎週日曜日にECで新商品を販売すると数分で売り切れる。「長くブランドを続けるために、プロパーで売ることを重視」し、在庫に希少性を持たせて客を引き付け、うまく枯渇感をあおる。実際に商品を見て試着したいというニーズも高まり、期間限定店にも力を入れるほか、他ブランドとの協業なども視野に入れて事業を拡大する。

2人のディレクター

〝アーバンビンテージ〟をコンセプトに、露出が多い海外テイストを、日本のトレンドにあわせて少しアレンジしている。ショート丈トップにハイウエストボトムの組み合わせや、スウェットのセットアップといった提案を行っている。

20年4月ごろからコンセプトが定まり、膝下丈のロングブーツなどのヒット商品も誕生。そこにコロナ禍での外出自粛によるECシフトの流れもあり、「急速に売り上げが伸び始めた」という。顧客層は20代後半の女性が中心で、109系ブランドとの買い回りが多い。

好調ポイントの一つが、背景が異なる2人のブランドディレクターを置いていること。1人はマークスタイラーでSHIBUYA109の「エモダ」の販売員出身の高嶋未来さん(25)。もう1人はモデル出身で旅行系のインスタグラマーとしても活躍していた宮川由衣子さん(25)。商品企画からインスタグラムへの投稿、ライブ配信、顧客とのやり取りまで2人で行っている。高嶋さんは身長160センチ、宮川さんは170センチで、それぞれがコーディネートを提案しているため、ブランドの魅力を多面的に見せるほか、サイズ感をつかみやすくしている。

高嶋さんは「販売員時代の顧客がブランドを購入してくれることもある。商品知識の面でも接客していたことが今に生きている」、宮川さんは「誰でもブランドを立ち上げられる時代、ただのインスタグラマーブランドだとは思われたくないから、ちょっと一癖あるアイテムを2人で相談しながら企画している」と話す。

ブランドディレクターの宮川さん(左)、高嶋さん

毎週日曜日に一気に

新商品を毎週日曜日に投入し、一気に売り切る販売手法で、毎週3~6型を日曜日の午後8時にECサイトに掲載している。発売2日前の金曜日の午後6時~7時にインスタグラムのライブ配信を実施して、商品の特徴やコーディネート紹介、視聴者からの質問回答などで告知する。ライブ配信は「質問系のコメントは極力すべて拾う。ECに掲載しきれないコーデ提案やサイズを伝えるのに有効」だ。販売期間は1~2時間で、早いものだと1、2分で売り切れる。発売日に完売することが認知され、毎週日曜日にECに訪問することがユーザーに習慣化している。

期間限定店は東京、名古屋、大阪でそれぞれ年2回のペースで開いている。新商品を先行販売したり、限定カラーを出すことで、店に足を運んでもらう工夫も欠かさない。ブランドディレクターが必ず店頭に立ち、顧客の生の声を取り入れて、商品企画に反映する狙いもある。「ブランドディレクターは遠い存在ではなく、身近でおしゃれな存在。直接会って話す中で、インスタの発信とのギャップも感じ取ってもらい、ファンになってもらえる」という。3月にSHIBUYA109に出したショップではオープン初日403万円、10日間の会期で1305万円を売り上げた。

今後は他ブランドとの協業を積極的に行い、希少価値やブランド価値を高める。売り上げアップに向けて、今後は完売した商品の追加生産も行う予定。ただ、「発売日に楽しみに購入してくれた人の気持ちを裏切ることはしたくない」と、あくまで抽選による限定販売にとどめる。

身長の異なる2人がコーディネートを発信(ウェブサイトから)

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