

原田龍二、主演映画『ハオト』での役作り「脚本を読むときに一番のヤマ場を考える」
30年以上に渡って第一線で活躍し、様々な作品に出演してきた俳優の原田龍二。戦後80周年を迎えた2025年夏に公開される映画『ハオト』では主演を務め、二面性のある元エリート海軍兵を熱演している。『ハオト』の撮影エピソードを中心に、俳優としての矜持や、個性豊かな共演者たちの印象などを中心に話を聞いた。(前後編の前編)
――映画『ハオト』で原田さんが演じるのは、戦争や軍を批判し、精神病扱いをされて精神病院に入れられた元エリート海軍兵の水越です。
原田 水越の二面性を演じられるのが、この役の魅力だなと。いろいろな感情を駆使しなければいけない、やりがいのある役だなと思いました。
――どんな役作りを意識しましたか。
原田 事前にあれこれ考えて、「こういう風に演じたいんですけど」と提案しなくとも、脚本に忠実に演じれば、それらしく見えるんですよね。映画やドラマは衣装合わせから始まることが多いんですけど、そのときに「何か役のイメージはありますか?」と聞かれるんです。でもスタッフの方々は僕よりも先に台本をもらって、その部門のスペシャリストが準備しているものがある。
たとえば衣装さんなら、役に合うと思う衣装を何パターンも用意されているんです。だから、よっぽどのことがない限り、衣装合わせのときに僕から意見を言うことはありません。それは自分のポリシーがないということではなくて、スタッフさんを信頼しているということです。監督を始め、それぞれが用意してくれたものを大切にしたいんです。
――今回、脚本・プロデューサーも担当した丈監督とは過去に共演経験があるんですよね。
原田 大地真央さん主演の舞台『大江戸緋鳥 808』で共演しました。あと丈さんがドラマ『おみやさん』(テレビ朝日)にレギュラー出演していた時期に、僕も同じ東映京都撮影所で『水戸黄門』(TBS)の撮影をしていたので、よく顔を合わせていました。ただ監督としてご一緒するのは『ハオト』が初めてです。丈さんから直接オファーをいただいたのですが、20年前に舞台で上演したものを映画化するって相当な思いがあるんだろうなと感じて、脚本を読んだ上で快諾しました。
――丈監督の演出はいかがでしたか。
原田 僕に限らず、現場で役者に対して細かい演出というのはされていなかったと思います。出演している方々の個性や魅力があってのキャスティングで、「この人がいるんだったら成立するだろう」という前提でオファーされていると思うので、役者に委ねてくださっているのが伝わってきました。
――キャリアのある俳優さんが一堂に会していますが、皆さん伸び伸びと演技をされている印象を受けました。
原田 それぞれアドリブっぽく見えても、意外と台本に書かれている通りに皆さんやられているんです。(片岡)鶴太郎さんも一見ふざけているように見えて、お芝居の流れは台本に忠実にやられています。
――そこが丈監督のキャスティングの妙なんでしょうね。水越が特攻を志願した弟を見送るシーンは、とても感動的でしたが、どういう気持ちで臨みましたか。
原田 僕は脚本を読むときに、どこが自分の役にとって一番のヤマ場かを考えるんです。そこを自分の中で大事にして、先ほど仰られた役作りというほど大それたものではないですが、お芝居を作っていくんです。この作品で言うと、まさに弟との別れがヤマ場で、あのシーンがあることによって、前後も引き立つんです。ただ一人芝居ではなくて、弟を演じた石田(隼)君とのお芝居なので、二人の波長が上手く合ったお芝居ができれば、僕の役は成功するんじゃないかと思いました。
――石田さんと事前に話し合いなどはされましたか?
原田 もともと僕は、お芝居について共演者と事前に話すことはないですし、初共演の役者さんでも、どういう人なのか調べません。本番のちょっと前に顔を合わせて、そのときに感じた印象を大切にしているんです。石田くんとはフィーリングが合ったし、良いご縁だったと思います。
――昔からそういうスタイルだったのですか。
原田 そうですね。僕の場合は、余計な情報を入れないほうが結果的にいいです。たとえば、これから二人で取っ組み合いのアクションシーンがあるとして、相手が前科者だったら、「どこまでやったら怒るのかな」とか「殺人事件に発展しないかな」とか、いろいろ考えると思うんです(笑)。
お芝居と直接関係のないことを考えないで済むように、その役者さんがどんな人かも聞いたことがないし、聞いたとしても当てにならないですからね。そのときに自分が感じたバイブレーションみたいなものを頼りにしたいという思いがあります。石田くんは会ったときに、特攻に行って死ぬ覚悟が決まっている顔をしていると感じたので、これはいけると確信しました。
――俳優としての経験が豊富だからこそ、セッションのようなお芝居に入り込めるのではないでしょうか。
原田 どうなんですかね。僕の場合、本当に技術がないと思っているんです。もちろんアクションシーンは危険が伴うので綿密に打ち合わせをしますが、シリアスな感情を大事にするようなお芝居については、あまり事前に話すことはないですね。
――倉野尾成美さん演じる、水越に思いを寄せる真関看護師との、ほのかなラブシーンも印象的でした。倉野尾さんの印象はいかがでしたか?
原田 余計なことを考えないで演技をされているなと。いろんな技術を頼りにお芝居をするのではなく、僕と同じで、その場で感じたものを大切にしていたのではないかと思います。小手先で勝負しない方でしたね。
――本作には豊富なキャリアを誇る錚々たる個性派俳優が一堂に会していますが、特に注目してほしい方を挙げていただけますか。
原田 鶴太郎さんと三浦浩一さんです。お二人とも年相応の人間しか出せない雰囲気があります。ご本人に聞いた訳ではないですが、面白くしようと思ってやられていない、計算していない感じがいいんです。どんなにお芝居が上手い役者でも、年を重ねないと出せない味・雰囲気があり、若い人間が同じことをやってもあの面白さは醸し出せないと思います。
▼『ハオト』2025年8月8日(金)より池袋シネマ・ロサほか全国順次公開
原田龍二 長谷川朝晴木之元亮 倉野尾成美 村山彩希 三浦浩一 二瓶鮫一 植松洋 マイケル富岡 金城大和 バーンズ勇気片岡鶴太郎(特別出演) 高島礼子
監督・脚本・プロデューサー:丈配給:渋谷プロダクション製作:JOE Company2025/日本語/STEREO/アメリカンビスタ/117min(C) JOE Company
公式サイト:http://haoto-movie.com/X:https://x.com/haotomovie
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