『陰謀論を語る人たちはみんな普通の人だった』より

陰謀論を信じ、家族から離れた母との関係に悩む話に「そのうち自分の家族もこうなりそう」「考えを全否定するのも何か違う気がする」の声【作者インタビュー】

2025.02.25 09:00
『陰謀論を語る人たちはみんな普通の人だった』より

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、『母親を陰謀論で失った』(KADOKAWA刊)の1エピソード、『陰謀論を語る人たちはみんな普通の人だった』を紹介する。KADOKAWAコミックエッセイ編集部による新シリーズ「シリーズ立ち行かないわたしたち」が、12月16日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、1.3万件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、原作のぺんたんさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。

理解の及ばない母に寄り添うため、近しい思想を持つ人と関わることに

「ワクチンを打つとDNAが書き換えられる!?」「ワクチン開発で巨額の富を得るB氏!その証拠!」そんなタイトルの投稿を見て肩を落とす男性・ナオキ。ナオキは、仲の良かった母・ケイコが陰謀論を信じるようになってしまい、距離ができてしまっていた。「今の母さんとはまだ話せないな…」と考えたナオキだったが、陰謀論を信じている人の話を聞くことはできないかと考える。自分と逆側にいる人の話を聞けば、母の考えを理解できるかもしれないと一念発起したナオキは、知り合いの伝手もあり招待制音声SNS「ライブハウス」に参加。「ライブハウス」ではつながりがある人同士がラジオ放送のように会話を楽しむことができる。

実際に「ライブハウス」に接続し、大きなトークルームに参加したナオキ。そこでおこなわれている会話の中には聞き覚えのある陰謀論が多数あった。会話の内容を聞きながら、そのトークルームではお互いがお互いを否定せず認め合う雰囲気が広がっていることをナオキは感じ取る。身近な人物よりも、そのトークルームに集まった“真実に気づき目覚めた者”たちの言葉を信じる彼らに、ナオキは意を決して質問する。「それで身近な人との関係にヒビが入ってしまったことはありますでしょうか?」母とのことを伝えたナオキに、“目覚めた者”たちは驚き…。

陰謀論に気づいた数少ない“目覚めた者”である自分たちが、それを多くの人に広げる。そんな使命感にも近しいものを抱き、正しいと信じて広めようとする者たち。ナオキはそんな彼らの側に立ち、母や“目覚めた者”の考えを聞くが…。

この陰謀論によって左右される人物たちを描いた漫画を読んだ人たちからは、「考えを全否定するのも何か違う気がする」「強要するのは良くない」「人がいいから何でも信じやすい」「そのうち自分の家族もこうなりそう」「孤独を埋めるためのコミュニティが必要」など、多くのコメントが寄せられている。

認め合い、否定しない者同士だからこそ居心地の良い場所となるSNS

――本作では、母親の状況を理解するために陰謀論を積極的に発信している人へ勇気を出してDMを送るシーンが非常に印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。

この作品の中で、陰謀論を信じてしまった人たちを、あくまで普通の人であり、悪い人たちではないと言うふうに描いている点に着目していただけるとうれしいです。特に巻末では母親のキャラクターがどのように陰謀論を信じるに至ったのかと言うストーリーを描いておりそこでは多くの方が共感できるような形になっているのではないかと言うふうに思います。

――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。

主人公の直樹が音声チャットアプリで陰謀論を信じている人たちと話をするシーンが特に印象に残っています。エキセントリックな内容ででもネットで繋がった仲間たちと話すことで、それがその人たちの居場所となっている。そしてその人たちは悪い人ではない。陰謀論を信じてしまった方々の根底には、不安や寂しさなどがあるのではないか。そのようなことを読者の方に換気させるようなシーンになっており、個人的にも特に思い入れがあります。

――インターネットが普及し誰でも簡単に多くの情報を入手できるようになったことで陰謀論が広がりやすいと感じました。ぺんたんさんがインターネットを利用するうえで気を付けていることをお教えください。

特に真偽は不明なインターネットの情報に接する際には感情的になりすぎないように気をつけています。陰謀論も恐怖や不安などの感情を打ち消すためのものと言う役割もあるのではないかと思います。なので、怖い情報を目にした際など、周りの人に拡散したくなる気持ちはよく分かります。常に多少疑ってかかるような姿勢が大切なのではないかと思っています。

――この作品を読んだ方へメッセージがあればお願いします。

SNSやインターネットがこれだけ身近になった世界において、陰謀論やデマ情報、極端な言説と言うのは誰1人無縁でいられない社会テーマだと思っています。自分がそうなるかもしれないし、自分の大切な人がそうなってしまうかもしれないと思います。ぜひこの本をあなたのストーリーだと思ってご覧になっていただけますと嬉しいです。

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