長澤まさみ主演、13年前のお受験ミステリーが不気味「入試をぶっつぶす！」＜高校入試＞

2025.02.17 11:30

2月の受験シーズンは、家族の体調管理やメンタルケアに気を遣う人も増える。大人も子どももピリつく季節に、入試の滑稽さや熱狂する人々の気味悪さを描いたミステリードラマ「高校入試」(2012年、フジテレビ系)でゾクゾクしてもらいたい。入試を目前に控えた県立高校を舞台に、新任教師の春山杏子(長澤まさみ)をはじめ、誰が犯人かわからない展開が視聴者をどんどん引き付ける作品。高校入試の前日、試験そのものの実施が危ぶまれる怪しい事件が発生していく第1・2話を紹介する。 (以下、ネタバレが含まれます)

湊かなえ脚本のオリジナルドラマ

今作は「告白」や「Nのために」などヒット小説を生んだ湊かなえ脚本のオリジナルドラマで、2012年10月期に放送された。県立橘第一高校、通称「一高」で巻き起こるお受験ミステリー。翌日に入試を控え、教師たちが万全の準備を進める中、試験会場となる全教室で「なんだこれは！」「そっちもか!?」と声が上がる。見つかったのは「入試をぶっつぶす！」と書かれた紙の存在。入試をつぶそうとする犯人はいったい何をしようとしているのか、犯人が誰なのかの見当もつかないまま、入試の時間が刻一刻と迫り、校内が騒然とする様子が描かれていく。現在FOD・TVerでは「#ドラ活浸れ、超自分的ドラマ生活。」キャンペーンを開催中で、3月17日(月)まで第1～3話が無料公開されているほか、順次全話を無料配信している。

第1話。学区で一番の進学校として名高い県立橘第一高校通称「一高」の新任教師・春山杏子(長澤まさみ)は、彼女にとって初めての入試を数日後に控え、殺気立つ校内の空気に戸惑いを感じる。入試会議のアナウンスが流れ、杏子が会議室へと向かうと、入試部長の荻野(斉木しげる)が、入試の全体的な流れを説明していく。杏子は水野(阪田マサノブ)と村井(篠田光亮)の3人1組で、試験会場2の試験監督を担当することになる。

会議が終わり、杏子はみどり(南沢奈央)に音楽室に呼び出された。みどりは、元旅行会社勤務だった杏子に予約が困難だというリゾートホテル“インディゴ”の予約を取ってもらうお願いをしてきた。入試終わりに、彼氏と一緒に旅行をする予定だ。その彼氏は一高関係者のようで、杏子は誰がみどりの彼氏なのか気になりながらも、かつての同僚に“インディゴ”の予約を頼んだ。午後5時になり、英語科準備室で英語教師たちが集まり教科会議が始まった。英語教師の松島(羽場裕一)は、息子が一高受験生のため、今年の採点処理は行わない。松島を信頼している小西(徳山秀典)は松島がいないことを不安がるが、松島は「今年は英語科のホープ、春山先生がいるからね」と小西をたしなめる。期待を寄せられた杏子は「頑張ります！」と、入試にますます気合いを入れる。

教師と生徒、互いを疑い始める

続く第2話は入試を明日に控え、教師たちは準備に忙しく取りかかる。杏子は、水野と村井と掃除をするため担当の試験会場となる2年B組の教室へと向かった。杏子たちが教室に入ると黒板には「入試をぶっつぶす！」と書かれた貼り紙があり、3人は驚く。そして他の教室にも「入試をぶっつぶす！」と書かれた貼り紙があった。取り乱す教師も現れるが、冷静沈着な水野が教師たちを落ち着かせ、掃除を始めることになった。すると、2年A組の黒板の上から「杏子LOVE」と書かれたラブレターが、2年B組の黒板の上からは、坂本(高橋ひとみ)の携帯電話が見つかった。坂本の携帯を誰が何のために、黒板の上に隠したのか、教師たちは推測し始める。坂本は、2年B組の生徒・石川衣里奈(山崎紘菜)の携帯を取り上げたことがあり、そのことについて恨みを持っている衣里奈が自分の携帯を隠したのだと疑う。

誰もがピリつく閉ざされた空間において、大きな事件がひとつ起きるとたちまち人々がパニックになり、疑心暗鬼になっていくことは少なくない。一高の教師たちはまだ「入試をぶっつぶす！」の貼り紙が子どものいたずらに過ぎないと思っているが、どこかで何か大きな問題になるのではないかと不安を抱き始めている。英語教師・杏子を演じる長澤の爽やかさとまだ高校の凝り固まった価値観や環境に染まっていないピュアな様子が、ドラマの清涼剤のように感じられるが…それも偽りなのかもしれない。そうやって物語の登場人物のひとりになったかのように話に引き込んでいくのが上手な作品である。