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「『延命治療しますか?』まで言われて」大病の父親と並んで立つ町中華の厨房…元カリスマホスト・城咲仁の現在「今、俺が『親父やろうぜ』って言わなきゃ」
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東京・板橋区の町中華で鍋を振っているのは、元カリスマホストの城咲仁(46)。“ホストタレント”として一世を風靡した彼が、なぜ今、修行が嫌で18歳の時に飛び出した実家の中華料理店に戻ってきたのか。父を思う“息子”としての思いに迫る。
【映像】実家の中華料理店で働く城咲仁と父・実さんの姿
「『延命治療しますか?』まで言われて」父親の大病をきっかけに“店”に戻った城咲仁
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城咲の父・実さん(78)が19歳の時に創業した中華料理店「丸鶴」。週末には行列ができる人気店で、看板メニューのチャーハンは、地元民のみならず、その味を求めて全国からお客さんが訪れるという。
そんな実家の味を残したいという思いから、城咲は冷凍チャーハンの販売を考案。2021年、26年ぶりに厨房に入り修行を始めた。
城咲「チャーハンを1から教えてくださいって言ったら、包丁さばきから直されて。『何にもお前できねーじゃん』って。(厨房に入るのは)高校卒業してお手伝いして家出てからなかったですからね」
息子が作った冷凍チャーハンの出来栄えについて尋ねると、実さんは辛口なコメント。
実さん「まぁ8割くらいかな?」
城咲「でも冷凍にしてはかなり再現度が高い。お肉と卵は一緒の所を使ってるから」
――10割ではない?
実さん「やっぱりキャリアが違うもん。私は10歳からやっているんだから。もう68年やってる」
親子で作った冷凍チャーハンは予約販売するたび完売という好評ぶり。チャーハン作りの修行を終えても城咲は店の手伝いを続けている。その理由は、父親の体調だ。
実さん「(レントゲン見せながら)あんまり見せたくないんだけどこれが背中」
城咲「ボルトが入っているんですよ10本」
実さん「『延命治療しますか?』まで言われて。背中を10カ所切っている」
城咲「ウイルスが入って背骨が溶けちゃったんです。だから今ボルトを10本入れています。親父は『持って今日か明日』ってところを越えたんですよ』
――お店はどうしていたんですか?
城咲「閉めましたよ。親父しか鍋触れないから。それでやっと6月から再開しました」
2023年、実さんの大病がきっかけで「丸鶴」は一時休業に。その後、城咲と職人さんが手伝う形で今年6月に営業を再開した。
「ずっといてくれないかな」「応援したい」常連客にも受け入れられる城咲仁
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毎日11時の開店とともに、店内は満席。
――1番人気は?
城咲「女子はとびっこチャーハンとエビ。メンズはチャーシューチャーハン」
――値段は変えてない?
城咲「変えていない。何年か前に1回だけ苦肉の策で変えたけど。とにかくチャーハンで1000円を超えたくないんですって。親父は『(チャーハンは)下町の食べ物だろ、庶民の食べ物だろ、それを1000円に上げてるってなんなんだよ』と。だから戦っているんですよ。でも中身を減らすとかもしていない」
営業中の城咲は、皿洗いに、ホール業務、注文が飛び交う店内で忙しなく動いている。
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1人で5人前以上の料理を食べた男性客は城咲が店に立つことを喜んでいるという。
男性客「店主さんが体調崩されてたりして(自分は)大量注文するので作るのが大変そうかなと思って気を遣ってたいんですけど…仁さんや補助の方が入るようになって、大丈夫かな?と思って勇気出してきた。みなさん思っていたかもしれないですが、(城咲が来て)良いところに落ち着いたなって感じ。(城咲が)昔修行して諦めたってエピソード聞いたんですけど…」
――城咲さんの働きぶりいかがでした?
男性客「すごいこんなガッツリ。もうずっといてくれないかな?他の仕事も忙しそうだけど、入れる限りはいてほしい」
他にも「仁さんは同世代で。新宿でホストやっていた時に私も新宿でホストやっていたので知っているんですけど。最初は継がないって話だったんですけど、今一生懸命頑張られているので応援したいです」と、城咲の“帰還”を喜ぶ声が聞かれた。
「あと2年だから。60周年を現場で迎えて勇退させてあげたい」父に中華鍋を振るわせ続ける理由
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――どういうきっかけで家を飛び出したんですか?
城咲「後を継ぎたくなくて。それでバチバチだった。後継問題で揉めて、手紙置いて勝手に家出したんです。それでバーテンダーやってホストに行ったんです」
現在は、通販専門チャンネルで企画から出演までこなす城咲。一方、プライベートでは、
2021年に 11歳年下のタレント加島ちかえ(35)と結婚した。実は「冷凍チャーハン」を販売するきっかけは、妻の一言だったという。
城咲「父親の病気とうちの妻と結婚したての頃に『もうお父さんもそろそろ辞めたいって言っているじゃん』と。その時に『丸鶴の味残せるのって、あなたしかいないでしょ』って妻から言われて。でもこれ僕が継いだわけじゃなくて。ここは一番はっきりしたいのはあくまでサポートで。周りの方たちから『継いだんですか?』って言われても困る」
店を継ぐと思われている城咲だが、本人にはその意思はないという。
では、なぜ、城咲は、これまで脳梗塞で5回倒れ、背中にボルトを入れて立っているのも辛いという父に中華鍋を振るわせ続けるのか。
城咲「俺は別に強制してない。ただ親父の伝説として60年まで、あと2年だから。60周年を現場で迎えて勇退させてあげたい。まずは、それが目標。迎えさせたいそれだけ。今日明日に倒れてもおかしくない人に鍋を振らせているわけだから」
継ぐわけではなく、60周年という節目を迎えさせる為、親子であと2年続ける。そんな息子の思いを父はどう感じているのか。
実さん「(城咲から)『親父、もう少しやらないか』と。私は自分の立ち位置…昼間2時間くらいしか鍋振らないで、従業員任せも困ったもんだなと。60が来ればもう終わりでしょ」
――お店の60周年?
実さん「うん。彼が何にも言ってくれなかったら、今回の手術で辞めていると思いますよ。あと2年まで持つかどうかね…(継がせる気持ちは)今は全然ない。ただ今は、工場で作って職人さんに作らせてその冷凍チャーハンをちゃんとやりなさいと」
不器用な職人気質の父は、息子なりの親孝行を受け止めていた。
「自分に青春時代なかったから、子どもにはやりたいことをやらせたい」父が語る息子への想い
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午後1時。ピークを過ぎると実さんは体を休ませ、城咲が厨房に入る。しかし、店が心配なのか1時間もしないうちに、実さんが現れ親子で厨房に入ることに。
城咲「(父は休まず)動くんですよね。親父は『調理場で死にたい』っていつも口癖で言っている人だから。今、俺が『親父やろうぜ』って言わなきゃ、あの人心折れて一気に老け込んじゃう」
――ハードル高いですね、60周年。
城咲「だからできないよ。今日初めてこの場で言うけど。それを言って、人が混みすぎても困る。来てもらいたいんですけど。『丸鶴』はもしかしたら来年・今年年内で閉まるのってなっちゃうと、大騒ぎになっちゃうから。『60年やらなくていいんじゃない、今年でいいんじゃない』と思うんだけど。…だけど、湿っぽくなっちゃうから。だから僕が『丸鶴』今日も開けますよってSNSアップする理由は、実はそこで。親父が持たないかもしれないとか、『丸鶴』終わりかもって…。(店が)やっていたらお客さんはただ楽しく美味しく食事したいだけだから。だから親父が久しぶりに鍋を本気で振って、久しぶりに笑顔が出た日、ちょっと外に出て泣きました。 久しぶりに親父の笑顔を見たので」
もしかしたら、60周年に届かないかもしれない。そう思いながらも、18歳で飛び出した店に父と立ち続ける城咲。
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ちなみに、家出した時の心境を実さんに聞いてみると…
実さん「やっぱり親からすれば、自分に青春時代なかったから、子どもにはやりたいことをやらせようと思う。バーテンダーやったりアルバイトやったりホストやったり」
――青春を謳歌させたい気持ちはあった?
実さん「そうですよ」
――お父さん的には青春をしたい気持ちもわかる?
実さん「わかるね」
――それは伝えましたか?
実さん「うん」
――「18の時はバチバチ」って言ったじゃないですか。でもお父さんは、青春したいっていうのも理解してたし、実は応援してたって言ってましたよ。
城咲「いやいや!親族入って、周りの大人入って、半年毎日話し合いですからね。本人はそう今なっているだけであって、その時は辛すぎて飛び出しているから!」
チャーハンが原因で仲違いした親子が、26年の時を経て、チャーハンをきっかけに和解。その味を城咲は伝え続ける。
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